遺言で保険金受取人変更




生命保険金の保険金受取人の変更が遺言でできるなら…



2011年9月5日 第847号

自分が自分に掛ける生命保険なら保険金受取人を誰にするかはいつでも変更ができます。

遺言書での受取人変更が有効かは、裁判所でも判断が分かれていましたが、平成22年4月施行の保険法で明確になりました。

「保険金受取人の変更は遺言によってもすることができる。」


有効な遺言書に「保険金受取人を甲から乙に変更する」とあれば、遺言者死後に保険契約者の相続人(又は民法でその代理人とされる遺言執行者)が保険会社に通知すれば有効です。

扱いが明確になり相続対策で使いやすくなりました。

債権者を受取人にする遺言書


Aの生命保険の保険金受取人は配偶者です。またAは債権者Bに6400万円の借金があります。

平成17年12月「自分の生命保険で借金返すよ」と合意ができたのでしょうか、Aは次の公正証書遺言を作成し(させられ?)、保険証券をBに渡します。

(1)保険金受取人を配偶者からBに変更する。(2)遺言執行者をBとする。(3)遺言執行者Bは、A死亡後に保険会社に受取人変更の通知をする。

Aは平成18年4月に亡くなります。Bは保険会社に受取人変更通知と保険金支払請求をしますが、保険会社に拒否されます。

実は平成18年2月にAは保険会社で手続きをしました。保険会社から保険証券紛失での保険証券再発行を受け、契約者をAから子へ、受取人を配偶者から子へ各変更していましたのです。


A死亡により遺言は効力を生じます。しかし「受取人を配偶者からBに変更する」との遺言があっても、受取人は配偶者ではなく子になっていたのです。

何よりその保険の所有者とも言える契約者名はAから子に移っているのです。Bは怒り心頭、訴訟に持ち込みます。

裁判では…


Bは遺言時に受取人不変の合意があったと主張しますが、裁判所は、単にAとB間の合意に過ぎず、保険契約の当事者である保険会社の関与なしにそんなことは決められない。債権なら債権譲渡禁止の特約は有効だから受取人不変の合意だって有効だと主張しますが、そんなのは別のものだと一蹴されます。

遺言後に遺言に反する行為をすれば(対象資産を他人に生前贈与など)その部分の遺言は取り消されたものとなるのだから、名義変更により遺言は無効になった、との結論となりました。(仙台高裁平成20.3.27.)

保険法施行前の判決ですが受取人変更を遺言でできるのは当然という前提で議論が行われます。この結果としてBは保険金による債権回収に失敗です。

なお相続人である配偶者や子が相続放棄をしても生命保険金は受け取れます(契約者変更をしなくても)。生命保険金は相続財産でないからです(なお相続税での扱いは違います)。

債権回収のための生命保険


恐ろしい債権回収技法は、保険契約者も保険金受取人も債権者に名義変更してしまうことです。そして債務者の耳元で「死ね」と繰り返し囁くそうです。契約から一定期間経過していれば自殺でも保険金はでますから。

しかし保険会社としてもそんな「危なそうな」第三者への名義変更は簡単には認めません。

そこで遺言による保険金受取人変更は便利なのです。

便箋に自筆で前記(1)から(3)を書かせ日付を書き認め印で自筆証書遺言として有効です。


もちろんその翌日に「保険証券紛失しました。名義変更願います。」と保険会社で手続きすれば遺言は判決と同じ運命です。

遺言の書き直しもあります。翌日に、受取人を別に指定する遺言を書けばOKです。遺言は新しいものが有効ですから。

「お前のために保険に入ったよ」と保険証券を渡しておきながら、不倫相手に対し受取人変更の遺言書をのこすという最も恐ろしい技法もありそうです。

ただ不倫関係維持だけが目的ならその遺言は公序良俗違反で無効になることもあります。


生命保険金受取人は誰になる?…金融業者と不倫相手1998年9月28日 第225号




cats_back.gif



生命保険選びネット

バードレポート発行元が運営する生命保険のサイトです。
保険選び 定期保険 医療保険 学資保険 保険見積 保険比較 保険相談 保険ショップ


バードレポートとは


 
clip_blue_1.gif




前号

次号


関連する項目
相続税対策申告
路線価評価相続評価
相続対策と遺産分割
生命保険

このレポートと同じ年分リスト
2011年リスト




あんしん生命資料請求
  • 使わなかったら払った保険料が全額戻ってくる医療保険

保険ショップインフォ
  • 地域から探す
  • 保険ショップの使い倒し方

保険ショップ


バードレポート

Google
Web検索
当サイト検索

バードレポート項目別
不動産ビジネス手法
不動産賃貸経営
不動産と金融会計
定期借地権定期借家
不動産証券化
債務整理と企業再生
不良債権処理
債務処理の税務
相続税対策申告
路線価評価相続評価
物納と相続税調査
譲渡税買換特例
住宅税制住宅減税
固定資産税
税制改正
その他不動産税制
その他税制
相続対策と遺産分割
生命保険
その他不動産関連
その他
トピックス版・年別リスト
カネボウ劇場
発行元情報

バードレポート発行順
発行年順リスト
clip_blue_1.gif
clip_blue_3.gif