年内引渡と来年の売買契約の税務




今年12月引渡と来年1月引渡の売買契約の税務有利不利



2011年11月7日 第855号

契約日と引渡日


3つの売買契約があります。売主は個人です。

(1)今年12月契約で12月引渡

(2)来年1月契約で1月引渡

(3)12月契約で来年1月引渡


それぞれで税務は違います。

税務で「いつ売却したか」は引渡日が原則です。ただし契約日を選択することも可能です。

そして税務上はその日(譲渡年)に売却したものとして譲渡税が課税されることになります。

(1)今年12月契約で12月引渡


この場合には契約日も引渡日も2011年ですので、2011年の税制が適用です。そして2011年が譲渡年ですから2012年3月15日までに確定申告をして納税をしなくてはいけません。

(2)来年1月契約で1月引渡


契約日も引渡日も2012年ですので、2012年の税制が適用されます。確定申告は2013年3月15日となり、(1)に比べ1年遅くなり納税額を1年間運用できます。

居住用財産買換特例や事業用資産買換特例を使うなら買換期限が(1)に比べ1年先になります。

これら買換資産の取得期限は譲渡年の翌年末までです。居住用でも事業用でも、土地を探し建物設計し新築となれば1年はすぐ過ぎます。新築建物を買換資産にするのなら忙しい思いをします。買換特例適用なら1年の差はとても大きなものです。


ただ事業用資産買換特例なら(2)は不安定要素を抱えます。

土地売却で一般的に使われる事業用買換(9号買換)は2011年12月31日で適用期限が切れるのです。これまでは延長されてきましたが今回は分かりません。

10月31日に民主党税制調査会は買換特例等の租税特別措置について基本方針を確認しました。

「歴史的使命を果たし終え合理性を欠いた措置は相応の決意をもって廃止縮減しなければならない。」「経済成長としての有効性(費用対効果)、特に経済成長に寄与する措置は納税者の納得を得つつ果断に実施する。」

買換特例は元来工場移転等の産業立地政策でしたが、9号買換は1998年税制改正での土地需要喚起目的の山一破綻後の不況脱却景気対策でした。延長か廃止かは12月まで不明でしょう。

租税特別措置法廃止は法人税率引下げ見返り課税ベース拡大の一項目にもなっています。

(2)であれば、特例廃止になったらその特例は使えません。

それ以外に2012年に増減税があればその影響をうけます。

ちなみに個人は2013年から復興特別所得税として所得税額の4%割増(つまり税額が1.04倍になること、10年間)です(10月28日国会提出の改正税制案)。しかし2012年は影響を受けません。

一番有利なのは(3)12月契約で来年1月引渡とすることです。

年内契約で来年引渡との契約にしておけば、税制改正動向を見ながら今年来年の有利な譲渡年を選択できるからです。

実務では、契約済み年内引渡の売買契約があれば売主買主の合意書で決済を年明けに伸ばします(代金決済も登記も終わっていて、カギ引渡を年明けにするだけでは、引渡完了後の明渡猶予に過ぎないと言われます)。

逆に1月に売買契約締結の予定なら契約日を前倒しします。


法人ならば事業年度でみる


個人の場合は譲渡年を暦年で考えますが、法人なら事業年度で考えます(9号買換の期限は法人も事業年度でなく12月31日)。

個人の不動産譲渡所得は分離課税であり、給与所得や事業所得と通算合算できません。しかし法人はすべての事業と合算なので検討します。また売却損でも繰越欠損金として7年間繰り越せます。同じ繰り越すなら翌期の方が1年長く使えます。

また法人ならば「決算期変更」というウルトラCもあります。

法人は2012年4月開始事業年度から復興特別法人税とし法人税額10%割増(税額が1.1倍になること、3年間)となります(改正税制案)。税務は先行き不透明、たな晒し中の法人税率引下げ減税法案もあり、結果的に割増と減税の相殺かもしれません。


事業用資産買換特例は2011年12月末廃止の可能性あり2011年10月17日 第853号




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