銀行全支店への一括差押命令




預金差押…銀行全支店への一括差押命令はダメと最高裁



2012年2月6日 第867号

銀行全店一括順位付け差押


AはBに対する裁判で1500万円の回収が認められました。しかしBは払ってくれません。

AはBに対して差し押さえができます。Bの取引銀行支店が分かれば預金差押ができます。しかし取引支店が不明です。

どこかの銀行にBの預金があるはず。そこでAは裁判所に次の差押命令を求め申立てます。

三菱東京UFJに500万円、三井住友に400万円、みずほに300万円、ゆうちょに300万円。

差し押さえに際しては「差し押さえるべき債権の種類及び額その他の債権を特定するに足りる事項…を明らかにしなければならない」と定められています。

「○○銀行□□支店の預金」なら「特定するに足り」差し押さえ可能です。しかし「○○銀行の預金」では「足り」ません。

そこで各行全支店全部を指定して特定しました。そして「複数の店舗に預金債権がある場合には支店番号の若い順に従う」。まず支店番号1番の支店、そこになければ2番、なければ3番…。

メガバンク3行と郵貯の全支店をあたればどこかにはあるだろう。運よく当たれば改めてそこで1500万円全額の差し押さえ、と言うことなのでしょう。


この全店一括方式申立が流行します。認められれば銀行はたまりません。名寄せシステムはあっても、このような預金差押では、預金を正確に把握し支店番号順番で一定額まで検索し、ATMでの払い出しまで止めないといけません。現場では対応困難との悲鳴が上がります。

この銀行全店一括順位付け差押命令申立が急増します。高等裁判所レベルの決定も急増しその判断は分かれます。各行でシステム対応できるはずだから認めるとの判断、特定するに足りないからダメとの判断です。

最高裁の最終判断待ちでした。

平成23年9月23日にAに対する最高裁決定がでました。

「……第三債務者(銀行)において差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかにかつ確実にその債権を識別することができるものであることを要する。大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ては差押債権の特定を欠き不適法である。(最高裁ウェブサイトにある裁判要旨) 」

つまり大規模金融機関への全店舗一括順位付け差押命令は不適法。…では地銀信金はどうか、全店でなく例えば50店舗ならいいのか…。この中途半端な判決からはそんな判断はできません。


預金額最大支店指定の差押


平成23年10月26日に東京高裁が気合を入れた決定をします。

三井住友・みずほ・三菱東京・りそなの全支店が対象の差押ですが、店舗番号順ではなく「預金合計の最も大きな店舗を対象とする」という店舗指定です。

店舗番号順の問題点は1番・2番・3番…と順番に回るので銀行全体が不安定な状況におかれるからまずいのだろうけど、銀行システムで預金額最大店舗ぐらいは確定できるだろうから不安定な状態にはならないはずで、だから前記最高裁判決に照らしても問題がないし、差押命令を認める、というものです。


裁判官は切々と書き続けます。

このケースは貸金業者に対する過払い金返還請求であり(つまり弱者の訴え)、そんな弱者に支店を特定させるという過度な要求は無理だ。また弁護士照会制度により各行に対し「預金のある支店と残額を教えて」と照会したところ、三井住友は「店舗名を特定しろ」、みずほ・三菱東京は「相手方の合意がない」、りそなは「守秘義務」と断った。

東和銀行や神奈川銀行はちゃんとやってくれたのに…。

弱者が頑張って勝訴判決をとっても泣き寝入りではないか…。こんなことしていると「民事執行の機能不全を招きかねない」。

ただ預金を守る立場ならタンス預金・貸金庫に現金・遠隔地の地銀信金の支店が鉄則です。


預金差押…銀行本支店への一網打尽の差押を認める高裁決定2006年6月5日 第595号




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