集団的消費者被害に係る訴訟制度




集団的消費者被害救済のための新たな訴訟制度が法案提出へ



2012年2月20日 第869号

BR120220 消費者契約法は施行から11年です。賃貸住宅の更新料裁判なども当然に消費者契約法で争われるようになりました。

そして新たな「集団的消費者被害に係る訴訟制度」の骨子を消費者庁は公開しており、今の通常国会に法案提出予定です。

「凄まじい」アメリカの制度


ひとりの消費者が「企業から損害を受けた」と企業を訴えます。その消費者が損害賠償を勝ち取るとどうなるのか。

その消費者ばかりでなく、同じ損害を受けた消費者全員が、「私は訴訟に参加しない」と離脱手続きを取らない限り、見ず知らずの人であっても、全く何もせずとも損害賠償を受けとる対象になる、という仕組みです。


Googleが世界中の巨大図書館で書籍スキャンをして全文検索対象としました。アメリカの著作権者が著作権侵害でGoogleを訴えます。書籍スキャンされていれば見ず知らずの全世界の著作権者も賠償を勝ち取れることになります。つまり同じ被害を受けた誰かが訴えて勝てば、何もせずともその利益を享受できるのです。日本の作家までも含まれるとニュースになり、詩人の谷川俊太郎氏他180人が離脱手続きを取りました。

企業にとっては悪夢の訴訟で、弁護士には夢のビッグビジネス。

集団的消費者被害訴訟制度


これと似たような制度が日本で導入されます。ただアメリカのような「凄まじい」ものではなく、まあ日本らしい常識的な制度に落ち着きそうです。

アメリカでは誰が企業を訴えてもOKです。日本では訴える資格があるのは「特定適格消費者団体」に限定されます。

既に「適格消費者団体」9団体があり、企業に対し消費者に代わり差止訴訟(損害賠償ではない)を起こすことができます。

過去には賃貸住宅原状回復費用等での一定の契約書式の使用差止訴訟も起こされています。

「適格消費者団体」から「特定適格消費者団体」が認定されます。その団体は「消費者にこんな被害が広がっている」と企業を訴えます。判決で被害認定となれば次の裁判手続きです。

「被害を受けた人この指とまれ」とネット等で告知することです。企業は被害者名簿提出も命ぜられ個別に告知もされます。

既に判決による被害認定済みなので、指にとまれば、簡単な書面だけでほぼ勝てるはずです。


消費者被害1万円なら訴訟までできず泣き寝入りが普通です。

しかしある団体が裁判でこの1万円被害認定の判決をとり「この指止まれ」。1万人が指にとまったら1億円、100万人なら100億円です。団体は消費者から報酬や費用を堂々受け取れます。

アメリカは誰でも訴えられるが日本では一定の認定団体だけ。アメリカでは何もせずに勝ち馬に乗りますが、日本では自ら指にとまった人だけ限定です。

随分違います。弁護士主導訴訟ビジネスに至るアメリカ方式の凄まじさとは距離があります。

当面荒っぽいことはなさそうですが、法施行後に制度運用がどう変貌するかは分かりません。

どんな請求が対象か


訴えの対象はかなり限定され、消費者契約(消費者と事業者の契約)における金銭支払いを目的とする一定の請求権等です。

例えば金融業相手の過払い金返還請求、不動産会社相手の賃貸借・媒介・売買契約等での無効や賠償、保険会社相手の保険約款一部無効等々。


更新料返還訴訟は最高裁で家主が勝ちましたが、生命保険の預金残高不足による契約自動失効の無効訴訟は現在最高裁です。

過去には学納金返還や英会話教室中途解約金返還の訴えで消費者が勝ちました。もし団体がこのように勝てば「この指とまれ」と告知することになります。

サラ金各社を倒産に追いやった過払い金返還請求ビジネスは終焉が迫っています。法律家業界は次のネタ探し中です。更新料は最高裁判決のお蔭で危なく難を逃れました。消費者契約法下でのビジネス探しが続きます。


通常損耗負担と更新料の契約条項差止の消費者団体訴訟2010年10月4日 第803号





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