相続税の連帯納付義務




他人の相続税…相続税の連帯納付義務が廃止に近づいた



2012年5月14日 第880号

相続税には連帯納付義務


平成3年9月の相続でした。相続人は前妻の子A(実際には3人ですが便宜上3人合計を「A」としました)と後妻の子B(実際には子2人と妻本人の合計)です。

当時の相続税申告期限は相続から6ケ月で、平成4年3月が相続税申告期限納税期限です。

Bは12.5億円の財産を相続し相続税2.1億円です。全額を延納と物納で完納しました。

Aは4.4億円を相続し相続税1.9億円です。1.9億円のうち0.4億円を現金納付し1.5億円について延納許可を受けます。延納には担保提供が必要であり、当時の評価額2.2億分の担保提供を国に対してしました。

Aは申告翌年の平成5年から延滞を始めます。地価急落で担保処分しても納税困難であり「相続税破産」の状況でしょう。

延滞により平成12年10月に税務署は延納許可を取消をします。相続税本税9400万円と利子税2500万円が未払いで残りました。

延納許可の取消後は低利の利子税でなく年14.6%の高利の延滞税が課されます。延滞税は1.1億円に膨らみ本税利子税と合わせ合計2.3億円の未納です。

さて延納ではなく銀行借入だったなら担保処分して、最悪でもAが破産すれば連帯保証人がいない限りそれで終わりです。

しかし延納には「連帯納付義務」があります。Aの相続税についてBには連帯納付義務があるのです。Bは自分の相続税はキチンと納税しても、税務署から突然「Aが相続税を払わないので払って下さい。未払額は延滞税込みで2.3億円です」との不意打ちです。BはAの保証人でもありませんが、相続税では、事前説明なくとも、法的には当然に、連帯納付義務があるのです。つまり相続人全員が相互に連帯保証で縛られているのです。


銀行借入なら担保不動産下落リスクは銀行が負いますが、税務署はそのリスクを他の相続人に押しつけるのです。国は税収確保のためやむを得ないと言いますが、厳しい制度です。

この事例は財務省担当者が税制調査会で報告したもので「実務サイドから酷だと指摘されるケースも生じています」。「実務サイド」とは税務署の徴収担当官でしょう。徴収担当官にとっても酷でつらい仕事でしょう。

連帯納付義務の税制改正


この相続税の連帯納付義務の緩和へ改正となりました。

平成23年改正で延滞税14.6%は連帯納付なら利子税4.3%に代えることになりました。しかし利率が下がっただけです。

平成24年改正で連帯納付義務はほぼ廃止に近くなりました。

まず「5年経過して税務署から請求がなければ連帯納付義務なし」です。Aは5年後には延滞をしていました。税務署は請求してくるでしょうね。

次に「延納許可や納税猶予(市街地農地等)適用を受けた場合は連帯納付義務なし」です。Aは延納許可を受けていました。5年経過せずともこのケースなら連帯納付義務なしです。未納分は過去の相続税も対象です。


実務上の連帯納付義務


注意すべきは延納許可や納税猶予適用を受けない場合です。

物納やこれら手続きを進めたけれど担保や不動産の条件等が整わず延納物納等却下となった場合は連帯納付義務に注意です。

これら手続きの決着は相続税申告時点では未確定ですので、他相続人の納税手続き状況は注意が必要です。相続人全員が納税完了して初めて安心なのです。


1億円を20年延納すると元金年500万円、延納利子税率2.1%として元利700万円。経費にはならず税引後で支払います。

もし適用所得税住民税率50%なら相続アパート等の家賃所得1400万円から700万円の所得税等を納税し、残りから700万円の延納相続税の支払いです。

1-2年の短期ならともかく、こんな延納の長期継続は現実には困難で、更に収益力もないままでのこんな延納なら自殺行為です。計画も工夫もないままで多額の延納をしてはいけません。



過去の相続税の連帯納付義務解除【お詫び訂正】

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