民事信託




高齢地主さんの財産管理なら成年後見よりも民事信託



2013年3月18日 第921号

成年後見での財産管理の限界


高齢で判断能力を失えば裁判所に申し立てて成年後見です。

生活・医療・介護など、そして財産管理についての手続きや契約を成年後見人が行います。

預貯金を管理し、本人の生活費支出や医療費、税金の支払いを行い、領収書等とともに管理します。高齢者本人の利益のため財産管理です。そして裁判所へ毎年の報告義務もあります。

土地担保借金での相続対策賃貸住宅建築や、子孫への贈与は家や子の利益のための財産管理です。直接本人の利益のためとは言えず、身内の成年後見人自身が利益を受ければ、横領罪を問われるおそれもあります。

これら「家として」の相続対策、贈与、積極的資産活用は成年後見では容易でありません。

また所有する賃貸住宅の修繕管理等の支出や様々な契約手続き、所有する貸地管理に付随する底地売却や借地権買取り等を行うのも手続きに苦労します。

つまり成年後見制度での財産管理とは、現状のままで固定することであり、前向きの対応はできないということです。

地主さんならば、積極的資産活用や相続対策も含め、様々な対応や契約が必須で、成年後見で手続きに困ってしまうのです。


一昔前なら、息子が親の印鑑証明をとってきて、親の名前で登記や契約しても、それほどトヤカク言われなかったようです。しかし今は厳しくなり困難です。

認知症で判断力を失えば成年後見が選択されます。そして身内を成年後見人に選任しようとしても、資産家なら身内が選任されるとは限りません。裁判所が第三者の弁護士等を後見人に選任したりもします。更に面倒な事態になってしまいます。

民事信託で高齢者の財産管理


2006年の信託法改正で個人による「信託」が注目されます。

親が元気なうちに、子に不動産を信じて託します。信託です。子との間で、賃貸住宅管理を目的とする信託契約を結びます。

子(信託の受託者)は親(信託の委託者・受益者)の賃貸住宅を管理し、適当と判断する支出を行ない、賃料から諸経費を除いた残額を親に支払等するという、信託契約書を作成します。

そして子に所有権移転をします。登記原因は「信託」です。

(なお税務ではこの信託登記はないものと見なします。つまり税務上で所有者は親のままなので贈与税なし。家賃の確定申告も親のまま。逆にそのために信託は節税に通常使えません。)

信託契約に従い子が賃貸住宅を管理運営します。登記名義人は子なので、子は当然のこととして賃貸借等の契約当事者です。だから親の印鑑証明等は不要です。固定資産税は登記名義人である子に直接課税されます。

後に親が判断能力を失っても信託契約により賃貸住宅管理に支障は生じません。成年後見制度のような心配も不要で、裁判所への報告義務もありません。


親が亡くなれば、信託受益権(賃貸住宅)が相続財産として相続税課税されます。信託をせずに不動産のまま相続したのと同じ評価での課税になります。

かつての信託は信託銀行の独壇場でしたが、今や、業として行わなければ、誰でも可能です。

子でも、子の経営する法人でも信託の受託者となれます。「民事信託」と呼ばれます。

賃貸住宅管理に限らず、貸地管理目的、土地開発目的の信託、定期的な子孫への金銭贈与を前提とする預貯金信託も可能です。

親が判断能力を失っても支障なくそのまま続けられるのです。


信託は委託者の意思実現を、受託者に託すものです。信託法の認める範囲で、税務さえ問題なければ、親の意思実現のための様々な可能性が広がります。

成年後見制度よりグンと自由です。ただし親の判断能力のあるうちに始めることが必要です。

なお賃貸不動産の信託では空室修繕費等で親(委託者)の不動産所得が赤字になると、その赤字は他所得との損益通算や繰越控除は不可です(措41条の4の2)。



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