受益者連続信託




受益者連続信託…自分が死んだら妻に、妻が死んだら弟に



2013年4月1日 第923号

「受益者連続信託」とは


ある財産を「Aに相続させる。Aが死んだらBに相続させる。」は遺言では実現できません。

子供のいない夫婦。夫は先祖代々の不動産を相続しその収入で生活しています。妻に不動産を相続させそのまま暮らしを続けさせます。夫に弟がいるので揉めないよう「全財産を妻に」との遺言書を残せば心配不要。

さて夫の心配はその後です。その後に妻が亡くなると妻の相続人は妻の実の兄弟です。夫の家の先祖代々の不動産が妻の実家筋に流れてしまうのです。妻が死んだ後のこれら不動産は弟に相続させたいと考えます。

「自分が死んだ時は妻に相続させ、更に妻が死んだ時は弟に相続させる」という遺言書を残したいのです。しかしこれは「後継ぎ遺贈」と呼ばれ、これを認めると、死者が延々と財産の所有者を指図することになり、この遺言は無効だとされています。

しかし2006年の信託法改正で、民法では無効の「後継ぎ遺贈」が、信託を使えば可能になりました。「受益者連続信託」です。


信頼できる誰かを信託受託者として信託契約を結び、不動産を信託受託者名義に移転登記します。登記原因は信託です(この移転登記の段階では贈与税や譲渡税の課税はなく、税務上では夫が所有し続けるとされます)。

自分を信託受益者とし、自分の生存中は賃貸収益を信託配当として自分が受け取ります。

そして「自分が死んだ時は妻を信託受益者に、更に妻が死んだ時は弟を信託受益者とする」という内容の信託契約にします。

遺言でなら無効でも信託でなら有効です。最終的に弟が受益者になれば信託を解除し現物不動産に戻せる内容にもできます。


「受益者連続信託」です。更に「妻が死んだら弟、弟が死んだら誰々、誰々が死んだら誰誰々」も可能ですが信託から30年経過後の最初の相続までは有効で、それ以降は無効になります。言い換えれば30年までなら死者が財産の所有者を指図できます。変更不可の信託契約なら妻も弟も従うしかありません。

「受益者連続信託」の応用


応用が可能です。息子の嫁に財産を渡したくないが、特にかわいい孫がいれば、「最初は息子に、次はかわいいあの孫に」。

現在の妻に子はいないが、先妻に子がいるのなら、「最初は妻(後妻)に、次は先妻の子に」。

次男に障害があります。長男が面倒を見てはくれても、次男の生活が心配なら、賃貸不動産について「自分が死んだ時は次男を信託受益者とし、更に次男が死んだ時は長男、長男の子」。次男が死んだ時に長男が引き継ぐことになります。

ただし相続税問題が生じます。父相続で次男に相続税が課税、次男相続で長男に相続税です。相続税二回です。相続税が多額ならダメな仕組みと言えます。

工夫しましょう。信託ではなく遺言で「不動産は長男に相続させる。ただし長男は負担として次男に毎月幾らを払う。」この工夫で相続税の二重課税問題は回避できます。

しかし相続税問題は回避できても長男がその通り実行するか心配です。信頼できる信託受託者がいれば心配ないことですが、遺言なら心配になります。「最初は妻(後妻)に、次は先妻の子に」の代わりの「不動産は先妻の子に相続させる。ただし先妻の子は後妻に毎月幾らを払う。」ならもっと大きな心配です。

やりたい放題「連続信託」


自分一代で築いた財産ならともかく、先祖代々の土地も同じ扱いです。偶然にもこの制度ができた現在の所有者にその権利があります。30数年先までの所有者を決定できます。

「最初はお世話になった銀座のママ、次は愛犬ポチの面倒を見てくれたあの人、次に息子」も可能です。ただあんまりな、やりたい放題信託を残すと、線香もあげてもらえなくなります。

なお遺留分減殺請求は信託であっても遺言同様に存在しますのでやりたい放題には注意です。



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