贈与なのか贈与の自作自演か




贈与なのか贈与の自作自演なのか…子名義の預金への相続税



2013年6月17日 第933号

子に毎年36万円贈与した?


親(Aさん)は子名義での預金を始めました。3人の子は20歳前後です。一人に毎月3万円づつ積立て一年で36万円です。9年後に親が亡くなり、子にそれぞれ300万円の預金が残されます(他の預金の動きもあります)。
預金の名義人は子です。しかし税務署はこの預金は子の財産ではなく、親の財産だとして相続税課税をしました。国税不服審判所にもつれ込みます。審判所は次のように裁決しました。
「預貯金の帰属については、名義人が誰であるかという形式的事実のみならず、当該財産の出捐者、使用印鑑、管理運用の状況、贈与事実の有無等の具体的事実に基づいて、総合的に判断するのが相当である。」
これら預金は父の給与が入金する普通預金を原資とし、印鑑は、父・母・三人の子供の共通の印鑑として使いまわしています。子は結婚や転居をしても、改名改印届や転居届を銀行に出していません。預金は親の管理下にあり子は管理していません。
「本件定期預金は、本件子供らの大学入学や結婚に際し、その資金に充てるために、被相続人(父)ないし妻が作成したと認められる。」
親が子名義で預金していると子が気付けば心で親に感謝はしても預金への口出しなど普通はしません。それに年36万円なら贈与税基礎控除110万円の範囲内と思うはずです。たしかに「贈与」ならよかったのです。しかし「贈与」ではなかったのです。
民法第549条は贈与を「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによってその効力を生ずる」と定めます。
「贈与するよ」と意思表示をし「ありがとう、もらったよ」と受諾すれば「贈与」です。
また通帳を子が管理し自由にできるなら、黙示での意思表示受諾ありで「贈与」でしょう。
しかし、親が子名義の通帳を勝手に用意して、自分の預金から子の預金に毎月3万円移す作業は「贈与」ではないのです。
このケースは子名義の預金通帳を使った親の自作自演に過ぎないとして子名義の預金は親の財産として相続税課税とされました。(平成18年4月26日裁決)

子に毎年60万円贈与した?


親(Bさん)は税理士に「毎年60万円贈与がいい」とアドバイスを受けます。子4人に毎年60万円(贈与税基礎控除が60万円の時代)の贈与を続け、子は「毎年60万円づつやる」とも聞いています。「贈与した」つもりだったのでしょう。60万円の贈与なら贈与税ゼロで贈与税申告は不要ですから申告もしません。
預金残高は子一人1000万円、総額4000万円にもなりました。この4000万円が親の財産として相続税課税処分を受けます。
「(預金の)管理、運営及び払戻しについては、すべて自ら(父)の判断で行っていたものであり、一方、子はその名義が使用されたほかは預金の形成、管理、運営又は使用に関与することはなかったのであって、かかる場合、この預金は親の財産であって、子の財産ではなかった。(平成2年3月30日名古屋地裁判決)」
税務署は子を思う親心に課税します。子を信じて、子に預金通帳を管理させましょう。「ちゃんと贈与を受けました。通帳は自分で管理しています。」と言えるようにすることです。
娘が社会人になり初月給、「食費を毎月3万円家に入れろ」。
親は3万円を娘名義の預金に積立て、娘が結婚し家を出る時に通帳を渡すつもり。残念ながらこの預金も親の自作自演。厳密には相続税の対象でしょう。
「不動産、株式等の名義の変更があった場合…他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合…は、原則として贈与として取り扱うものとする。(相続税基本通達9-9)」
つまり不動産や株式なら、名義だけでも原則として贈与です。
しかし預金なら形式的事実の名義だけで贈与とはされず、諸事情から総合的に判断されます。

相続税の税務調査…納税者は「贈与だ」、税務署は「違う」。2005年5月16日 第545号




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