抵当権消滅請求




債務者側による抵当権の強制抹消…抵当権消滅請求



2013年11月11日 第952号

社長は会社の連帯保証人です。個人自宅を担保に差し入れ奮闘努力。しかし会社は破綻します。
自宅への抵当権1億円、残債7000万円。自宅時価3000万円。
金融機関と自宅売却による弁済交渉です。親戚や子を買い手にし、ローン等で買ってもらい住み続けたいもの。担保を外して自宅を確保し再生を期します。
難問は価格交渉です。2000万円でどうか。2400万円ならどうか。競売なら普通は3割安くなり2100万円ですから、その辺で折り合いが付きそうです。
ただ怨念や因縁があり、また理屈の通じない相手もいます。
また後順位抵当権者は回収額がなければ数10万円のハンコ代で担保を外すのが普通ですが駄々をこねる相手もあります。

抵当権消滅請求


金融機関と戦う債務者側の武器に民法379条「抵当権消滅請求」があります。昔の名前は「滌除(てきじょ)」でした。
「滌」は洗い流す意味で抵当権を洗い流してしまう制度です。
漢字が難し過ぎ、また乱用も目立ち、2004年民法改正で「抵当権消滅請求」にマイナーチェンジしました。
これを使えば全面戦争です。
「いざとなれば使うよ」と口にするだけで、使わないで済ませたい武器です。
まず、金融機関に無断で、親戚(第三取得者)に、抵当権付のまま自宅所有権を1円(例えば)で売却してしまいます。
その親戚が抵当権者(金融機関)に対して2700万円(例えば)支払うと通知します。
「私(親戚)は土地建物を買いました。御行の抵当権1億円がついたままです。御行が2ケ月以内に競売しなければ私は2700万円を弁済又は供託します。」
通知を受けた抵当権者は2700万円を受取り抵当権抹消に応じるか、それを断り2ケ月以内に競売を申し立てるか、の二つの選択肢しかありません。

後順位抵当権者で無剰余(取り分なし)なら諦めるしかありません。回収のない無意味な競売になるのでギブアップするしかなのです(ただ抹消登記手続きに応じる義務はありません)。 
だから先順位金融機関と合意の上での実行もあるでしょう。

本当に競売になったら


もし抵当権者に本当に競売されたら、その土地建物が幾らで誰に競落されるか分かりません。
(旧制度「滌除」では2700万円の1割増2970万円以上で競落されなければ、競売を申し立てた抵当権者が2970万円で買う義務がありました。そこで、その弱みを逆手にとって「できるものなら競売やってみろ」と無茶な滌除がなされました。)
隣地所有者などの一般人が例えば4000万円の高値で競落してしまうかもしれません。そうなると、社長の自宅は、もう二度と戻って来なくなります。
一方で金融機関も不安です。手数と費用をかけて競売申し立てしても予想以下の2000万円での競落となるかもしれません。また危なそうな人たちが占有し、誰も入札しないかもしれません。
金融機関も競売に躊躇します。
だからその担当者は、その金額が合理的なら、怨念因縁を捨て金額で判断し「仕方がないか」と応じるのではないでしょうか。
つまり、幾らで、抵当権消滅請求をするかで決しそうです。

なお消滅することとなっても抵当権抹消登記に金融機関が応じなければ裁判を起こし、勝訴判決での抹消登記になります。抹消請求の事実確認だけなので負けはしませんが、まさに金融機関相手のチカラ技です。
抵当権を解決しても、社長には4300万円の無担保残債が残り、別途での解決が必要です。通常ならサービサーに売却され、そのサービサーと交渉し一定額で免除等を受けるのが普通です。
抵当権消滅請求は金融機関側からは「ふざけんな」の制度です。債務者側(と思われる相手)が突然現れ勝手に金額を決め勝手な通知をしてくるのですから。
全面戦争(全財産の差押え競売等)覚悟での最終兵器です。


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