税務訴訟ヤフーとIBM




繰越欠損金の税務訴訟…ヤフーは負けた・IBMは勝った



2014年5月19日 第977号

ヤフーはソフトバンクのお財布


2014年6月にヤフーは通信会社イーアクセスを親会社ソフトバンクから買います。4500億円が親会社へ。…何でヤフーが?
ヤフーの現金残は4800億円もあり、2兆円M&Aを米国で展開中のソフトバンク孫社長に、もし「頼む」と言われたら断れない?。
過去にもありました。
金融危機背景にソフトバンクはユーロ社債500億円の2009年3月末繰上償還を求められます。
2009年2月24日にヤフーはソフトバンク100%子会社のデータセンターIDCSを450億円で買います。…何でヤフーが?。
この時の現金残は1100億円。「頼む」と言われたら…?。
「450億円の買収額は…、被買収会社の純資産評価180億円、のれん代60億円、買収によって引き継ぐ繰越欠損金210億円。(2009.3.1.日経ヴェリタス)」
まさに繰越欠損金(赤字)も財産のうち。合併するIDCSの繰越欠損金を、高収益会社ヤフーが使えば、ヤフーの利益を相殺し法人税を減らせます。
繰越欠損金は540億円で、法人税率40%を乗じれば210億円です。それが買収価格の内の210億円のようです。

繰越欠損金を引き継げるか


ただし合併される会社(IDCS)の繰越欠損金540億円を、合併する会社(ヤフー)がそのまま使えるかは税法上問題です。
買収後合併まで5年待てば税法上では確実に使えます。しかし繰越欠損金には有効期限がありそんなに待てば期限切れです。
だからかヤフーは慌てて合併します。5年どころか1ケ月後の3月30日に合併します。
翌3月31日はヤフーの決算日、早速ヤフーの利益と相殺です。
5年待たなくても「みなし共同事業要件」をクリアすれば「繰越欠損金の合併引き継ぎOK」と認められるのです。
幾つかの要件があり、そのひとつ「役員引継要件」を満たすためなのか、ヤフー井上社長は合併3ケ月前にIDCSの非常勤・無報酬・副社長に就任します。 
それを知った国税当局は「たった3ケ月?形式役員だろう!租税回避目的だ!」と、IDCSからの繰越欠損金540億円を否認して265億円を追徴しました。

この265億円はソフトバンクが2010年特別損失に計上。「税務否認ならそれ面倒見るから450億円で」との約束なのでしょう。
裁判です。国税側は一罰百戒を狙い、井上社長ばかりか孫社長までもが証人出廷に追い込まれ、数多くの高名な税法学者の意見書が乱舞する総力戦へ。
2014年3月18日の東京地裁判決は国の全面勝訴。最高裁で決着するまでにはあと数年です。
判決では、経済合理性や事業目的の有無にかかわらず「税負担減少効果を容認することが組織再編税制の趣旨目的又は個別規程の趣旨目的に反することが明らかであるもの」はダメ。
税法そのものでなく税法の趣旨目的から課税できるとの判決。ダメ範囲が不明確で、税務署は裁量課税のやり放題となります。

ちょっと微妙な欠損金活用をすれば、趣旨目的違反でダメと言われかねない厳しい判決です。

一方でIBMは裁判に勝った


日本IBMは2014年5月9日の東京地裁判決で国に全面勝訴です。
4000億円もの繰越欠損金を国税が否認しました。確かに国税が怒るすごい仕組み事案です(添付の当レポート781号参照)。
裁判で国税側は正当目的や事業目的がなく租税回避だと主張。
しかし判決は、IBMは法に従い経済行為をしただけだと国税の主張を否定したようで、日本IBMは取り敢えず大勝利です。
ヤフーもきっちり準備し時間を掛けしっかりやっていれば…。
IBM判決はともかく、ヤフー判決は広く社会に影響しそうです。
中小企業でも理屈は同じだからです。税務署はヤフー戦勝利に意気盛ん、強気の課税処分に走ります。欠損金も財産の内ですが合併による活用は慎重に。

判断が微妙なら、合併などせずにその欠損金会社に儲かる仕事を与えるのが一番確実です。


IBM株式4000億円売買分は非課税。9月末まで駆け込み可能。2010年4月19日 第781号



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