時効取得での名義変更




未分割のままで20年の相続財産…時効取得での名義変更は?



2014年8月25日 第990号


羽田空港一帯は1945年9月にGHQ接収命令で住民3000人が48時間で強制退去させられます。

登記名義は戦前所有者のまま。国は買い取りを続け、残り14件。

内2件は本人も相続人も不明で、国は国名義にしようと東京地裁に判断を委ねます。理屈は(1)GHQ接収時点で既に国のものになった(2)民法上の時効取得。

「20年間、所有の意思をもって平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する(民法162条) 」、占有開始時に善意(自分の財産と思っていた)・無過失なら10年。

国は確かに20年間占有しましたが有償で買い上げ続けました。

それは自ら「所有の意思」がなかったからです。それならば時効取得は難しい…?。果たして判決は…。
(日経2014.8.18.)

今後20年間、所有の意思を持ち占有すれば時効取得できます。

土地所有権の時効取得


20年前に地主から土地を借地し占有。土地所有権を時効取得できるか。地代を払うなら借用で、「所有の意思」はなくダメ。

お隣の敷地内に境界塀を勝手に移し、20年間に渡りお隣の土地を自分のものとして平穏公然と占有し続けられれば時効取得。

土地を守ろうとしなかったお隣がいけないのです。自ら助くる者しか、法は保護しません。

共有不動産の時効取得


「共有物全体に対して単独所有の意思を有しかつそれが他の共有者に表示されていなければならない(東京地裁昭57.1.29)」

「共有者の皆さん今日から私の単独所有です」と共有者に挨拶するのです。共有者は怒って当然です。それならばと、ずっと黙っていて20年後に「私のもの」と突然言ってもダメです。

共有持分時効取得を安易に認めると日本中が時効裁判だらけになるので厳く扱うのでしょう。

遺産分割でなく時効取得


遺産分割でもめたまま相続未分割の土地も法的には共有です。

登記上は亡親名義のままで長男だけが住み続け、20年経ちました。長男は時効取得で自分のものにしたいと思います。


共同相続なのに、長男は家督相続と誤認し単独相続したものと信じて疑いません。登記は親名義のままで相続財産を現実に占有し、その管理使用を自分で行い、その収益を独占し、公租公課も自分の名で負担納付し、これについて他の兄弟(相続人)が何ら関心をもたず異議を述べませんでした。このケースは相続開始時から所有の意思で占有していたとして時効取得を認めました。(最高裁 昭47.9.8)

長男も兄弟も全員死んでから始まったイトコ間の裁判です。

20年前の相続取得や分割なら相続税課税ですが税が時効です。

時効取得なら、時効取得時に一時所得として所得税課税です。


またこの場合、亡親名義のままだった登記は、いったん全相続人の法定相続分による相続登記がされ、その登記された共有持分について登記原因「時効取得」として所有権移転されます。

相続では、どんな場合に時効取得ができるのか。…それは、自分以外に相続人がいることを知らずに単独で相続権を取得したと信じて不動産の占有を始めた場合など、その者に単独の所有権があると信ぜられるべき合理的事由がある場合です(最高裁 昭59.4.17)。例えば…

他に養子相続人がいたが自分一人が相続人と思い込んだ(養子解消していたが養子離縁届提出漏れ)…東京地裁 昭52.2.24。

自分以外に相続人がいることを知らなかった(親が以前に他家に養子に出て、そこで子をもうけてから離別していた)…東京地裁 昭58.9.27。 

民法は占有さえしていれば所有の意思がありと推定します。

しかし相続で時効取得するには、自分が唯一の相続人と思い込むだけの事情が必要です。


「争続」になるのは兄弟がいるからで、自分一人が相続人と思い込む事情はなく時効取得はダメ。つまり単に「遺産分割が成立せず20年経過」はダメです。

大昔の相続で相続人何十人何百人なら、通知の上で欠席裁判を仕組み、判決で一気に時効取得させます。名義整理手法です。



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