贈与税の時効




贈与税なしでの贈与は可能か?…贈与税の時効に挑む



2014年9月1日 第991号

32億円振り込んで贈与税は


子が株式投資で失敗します。子Aは昭和63年にNTT株の投資失敗で2億円の借金です。
親は、絵画収集で有名だった製紙会社のオーナーです。
平成2年に「出してやれ」と親は経理担当者に指示し、親の口座から子Aの口座に2億円を振り込み、子Aはそれを自分の金として借金返済に充てます。
子Bは投資失敗で借金10億円、平成3年に「出してやれ」で10億円。子Cにも「出してやれ」で20億円。平成2年3年で、合計32億円が子に振り込まれ、子は借金返済に使ってしまいます。
親は平成8年に亡くなり、その相続税の税務調査でこの32億円が発覚。子は主張します。
…32億円は贈与でもらいました。贈与契約書はないし、贈与税申告もしなかったけれど、確かに贈与として受け取り、自分の金として管理し費消しました。ただ贈与税はもう時効です…。
税務署側は、贈与税申告もないし、32億円は贈与でなく親から子への立替金とし、子への立替金(貸付金)32億円を相続財産だとして相続税課税処分します。

「(会社グループの)信用維持を図り、(子ABCの)急場を救うため、子に対し、それぞれの借入金の返済資金として、各金員を贈与し、子もこれを承諾していたと認めるのが自然かつ相当…。また贈与税の申告の有無と贈与は直ちに結びつくものではない(静岡地裁平成17.3.30)」
最高裁まで争い、子の主張が認められ、32億円への課税は贈与税も相続税もなしで済みます。
金額の多寡はあっても一般の相続税調査でもよくある話です。
納税者側が「贈与だ」と主張します。贈与税時効なら贈与税課税などできず、贈与済だから相続税の対象にもなりえません。

贈与税の時効は申告期限から6年又は7年(偽りその他不正)です。以前は5年又は7年でした。

公正証書贈与で贈与税時効は


このような大金や度胸がなくても、工夫で勝負します。
昭和60年3月に土地115坪と建物についての贈与契約書を公正証書で作成しました。「親は子に贈与し、子は受諾した。親は本日引き渡し、子は受領した。」。
贈与税申告をせず、贈与登記もしません。登記さえしなければ税務署にはバレません。
ガス水道は子名義、固資税も子が納税管理人として払い、登記以外の外見につき子の所有物として手続きし、贈与税時効の平成5年までは静かにします。
いよいよ7年経過で時効到来。平成5年12月に贈与登記します。
通達では「贈与による財産取得の時期は、書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時」です。
…信用力ある公正証書だし、書面による贈与であり、その書面書作成日(昭和60年)に効力発生なので、昭和60年の贈与による財産取得。贈与税は当然時効。…と理屈で税務署と戦います。
税務署側は昭和60年の贈与でなく、登記日平成5年12月の贈与と言います。平成5年の贈与なら時効にはかからず、平成5年路線価で贈与税課税処分です。

贈与税本税1.1億円と加算税とになります。
「本件公正証書は…贈与税の負担がかからないようにするためにのみ作成されたのであつて…よって本件公正証書によって…(昭和60年に)贈与がなされたものとは認められない。そうすると本件不動産を贈与したのは書面によらない贈与によるものということになるが、書面によらない贈与の場合にはその履行の時(平成5年)に贈与による財産取得があつたと見るべきである。(名古屋地裁平成10.9.11.)」
最高裁まで争いましたが、納税者の主張は通りませんでした。
公正証書で贈与をして、時効まで待ちましたがダメでした。
平成5年の路線価水準はほぼ史上ピーク。そんなバブル路線価で課税された贈与税1.1億円。
昭和60年路線価ならバブル以前で、贈与税は何分の1のはず。
ちなみに現在の当該土地の路線価評価額は6-7000万円です。加算税を含めその2倍もの贈与税を払ってしまいました。

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