再開発見込みの贈与




建替えや再開発見込みなら早過ぎるくらいの時期に贈与を



2014年9月8日 第992号

渋谷駅から徒歩7分、4階建て5棟148戸、築50年の団地でした。
敷地1.1万u、建物容積2.2万uまで建つのにゆったり6600u。
平成8年に耐震性と住宅の狭さから建替を検討開始、平成17年にK建設を事業協力者に決定。
建替え等価交換で築50年42u2300万円老朽物件が80u9000万円超の高級マンションに大化け。
相続対策のチャンスです。時価(評価)2300万円のうちに子に贈与します。精算課税なら評価2500万円分まで贈与税ゼロです。
贈与後に等価交換なら高級マンションは子が取得し、将来9000万円で売却したらそのお金は子の財産(譲渡税あり)です。
大化け前は贈与のチャンスです。

贈与税での評価は幾らか?


平成18年2月に団地管理組合は建替え推進を決議し、建替えに向け一直線。同12月にK建設が等価交換担当の税理士を住民に紹介し贈与相談となります。
Aさんは専有42u物件を子に贈与。税理士は税務署へ出向き、「路線価評価だと共有持分が多く約7000万円、路線価を時価で割り戻せば8000万円、売買実例だと2000万円、贈与の評価はどうする?」。税務署からは「鑑定評価という方法もあります」
類似物件の取引事例は平成9年2800万円、平成13年3400万円。
鑑定評価をしたら、積算価格(土地は更地時価)1億1000万円、比準価格(取引事例から)2170万円、収益価格1970万円です。建替えがまだ不透明なので積算価格は参考値に留められて、2300万円との鑑定結果になりました。
同時期の仲介業者数社による価格査定も2300万円前後でした。
Aさんは2300万円評価を前提に平成19年6月に息子に贈与します。精算課税の2500万円控除制度を使い、平成20年3月に、贈与税ゼロで贈与税申告します。
しかし税務署は評価2300万円を否認、評価は、土地持分路線価評価7130万円と建物固資税評価70万円の合計7200万円が正しいとして、21年6月に課税処分、1000万円の贈与税課税です。
実際の中古マンション価格は土地値プラス建物価格ではありません。相続や贈与で土地持分路線価と建物固資税評価の合計額で評価するのは不合理です。
建替え計画がなければ鑑定評価による時価2300万円が正しいし問題なかったでしょう。しかし建替えが進むなら、どこかのタイミングで老朽物件の時価が大化けします。その大化けタイミングは一体いつなのか。

建替え時期での贈与なら


東京地裁判決(平成25年12月13日)は税務訴訟なのに建替え経緯を延々と説明します。タイミングの判断が重要だからです。
平成19年6月贈与、10月管理組合の建替決議、20年9月建築確認、11月の等価交換契約でAさんの取得物件が9000万円超と確定。12月団地内の賃借人立退完了、平成21年4月解体工事、9月新築工事、23年11月竣工。
贈与時点は建替え決議前だし、価格も未確定です。ただ平成19年4月にK建設は旧物件のままでも確認申請後なら8200万円等で買い取ると確約しています。
判決は、建替えは確実に進みそうなので(「建替えが実現する蓋然性が相当程度に高まっていた」)、積算価格を無視した鑑定評価書を否定します。
2300万円老朽物件は贈与時には既に大化け済みとの判断です。
建替えだから更地時価ベースの積算価格が正しいとの判断で、土地路線価(=路線価での更地価格)と建物固資税評価との計7200万円で贈与税課税処分をした税務署の判断を支持します。

早過ぎるくらいで贈与を


旧物件の謄本を見ると、平成13年以降に数多くの所有者が贈与をしていることが分かります。
敏感な人は早々と贈与しました。建替え不確実期なら税務署は手荒な課税処分などしません。

建替え確実になる19年に贈与は急増しますが、駆け込み贈与は、Aさん同様否認されたと思われます。早い贈与は救われ、遅い贈与ではダメなのです。
建替え期待の好立地老朽物件、再開発や区画整理期待の土地、市街化編入期待の農地や調整区域…大化け見込み物件は、早過ぎるくらいの時期に贈与します。



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