遺言と遺留分放棄




相続争いを完全になくすためには遺言と遺留分放棄



2014年10月6日 第995号

幼い頃にはお菓子の取り合いで争った兄弟なのです。

相続のご相談で「うちの子どもたちに限って」という言葉をよく耳にします。本当にその通りのことも多いのですが、この親の切ない祈りを込めた言葉が儚い夢と散ることもしばしば。

相続のプロなら、この言葉は「よかったですね」と受け流して性悪説に立ち、財産取り合い争いの問題点を潰していきます。

金持ちに子供はいない。相続人がいるだけだ…ユダヤの格言

遺言と法定相続分


私有財産制の日本では、自分の財産の処分は自由です。死後も同じでそれを遺言で行います。自分の財産ですから自由です。法定相続分など関係ありません。

ただ遺言がない場合の遺産分割(財産分け)には何らかの目安が必要ですし、裁判官も目安がないと困ります。そのために法定相続分があるのです。


さて相続人が長男と次男の二人なら法定相続分は各1/2です。

「全財産を長男に」という遺言書は、次男が「それでいいよ」といえばそれでOK、法定相続分などは関係ありません。「飲み屋のママに全財産を」も二人が「いいよ」と言えばOKです。

遺言と遺留分


争い防止の第一歩は遺言作成です。しかし遺留分があります。遺言だけでは遺留分減殺(げんさい)請求で争いが起こります。

民法は法定相続分の1/2を遺留分と定めます。次男は1/4(1/2×1/2)の遺留分です。遺言で相応の財産が与えられなければ、1/4までの財産を要求できます。

「全財産を長男へ」との遺言ならば1/4を長男から取れます。これが「遺留分減殺請求」です。


日本は私有財産制だけれども、無茶苦茶な遺言は遠慮して、多少は法定相続分をも尊重してくれ、と民法は言っているのです。

遺留分が問題となりそうなケースは、事業や農業の後継者が長男で他に兄弟がいる場合、財産が長男同居の自宅だけでその自宅を長男に譲りたい場合等々、財産の殆んどを特定の相続人に引き継がせたい場合です。

長男が不動産の相続登記してしまっても堂々請求できます。

次男のケンカは、判決をとり共有持分1/4を遺留分減殺を登記原因とし長男から強引に取得、次に共有物分割請求です。金銭分割の為の競売申立に進めます。

飲み屋のママに対しては長男次男各1/4ずつ請求します。

遺留分減殺請求は当然の権利で、裁判不要の権利ですが、金額や分け方で争い裁判でしょう。

遺留分減殺請求を防ぐには


さて遺留分減殺請求の防止には遺言書末尾に附言(法律的には意味のない文言)として「なぜ長男に渡すのか」を切々と書き綴ります。「遺留分減殺請求を禁じる」と記すも自由。法的には意味ない言葉ですが。

長男のケンカは、長男の妻や子を次々と親の養子に入れ次男の法定相続分を減らすことで遺留分も減らすことです(養子の数制限は税法だけ)。可能ならば保険等で資金確保も進めます。

「遺言+遺留分放棄」


遺留分減殺請求を確実に消すには「遺言+遺留分放棄」です。

相続争いの心配を完全に消すには「遺留分放棄」が必要です。


親の生前に「相続放棄」は認められません。親と長男の面前で「相続放棄する」との書面を書いても無効です。親の生前に可能なのは「相続放棄」ではなく「遺留分放棄」です。

次男が「遺留分放棄します…遺留分減殺請求をしません。」と家裁に申立てて許可を得ます。

裁判所は理由や親の強制をチェック「アイツと結婚することを認める条件に」はダメ。財産上のつり合いもチェック、財産目録も必要で、「生前に財産贈与を受けたから」ならOKです。

遺言検認と遺留分放棄の件数


遺言検認(遺言書を家裁が確認する手続)は、昭和50年1,870件→60年3,301件→平成16年11,602件→平成25年16,708件と急増ですが、遺留分放棄申立は、1,035件→1,271件→1,117件→1,154件。平成25年の青森家裁と旭川家裁はゼロ件です。

遺留分放棄の申立件数中9割は許可されています。

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