遺留分放棄と相続時精算課税




相続時精算課税での贈与の結末…遺留分放棄しても相続争い



2014年10月13日 第996号

遺留分放棄のための贈与


相続争いを起こさないためには「遺言書+遺留分放棄」です。

遺留分放棄は家庭裁判所に申し立てて許可を得ます。

家裁は申立人に照会状を送ります。真意か・強要されたか・勝手に手続きをされたか。また、生前贈与を受けたか・生活は安定しているかと理由も問います。


資産家なのに贈与等の対価もないのなら家裁は不審に思います。普通なら自ら進んで遺留分放棄などしませんから。

ただ贈与したくても以前は贈与税が重く困難でした。だから多額の贈与による遺留分放棄はスムーズにいきませんでした。

親の財産10億円。次男は1億円を贈与してもらえば遺留分放棄します。しかし1億円贈与なら贈与税4800万円(以下改正税制)。税が重く贈与困難でした。

相続時精算課税で贈与


しかし2003年に相続時精算課税が始まり、贈与2500万円まで無税、それを超えても税率は20%。1億円贈与なら贈与税1500万円((1億−2500万)×20%)。

現金1億円贈与で1500万円納税し手残り8500万円。次男は遺留分放棄します。相続争い兄弟ケンカ完全解決…のはずでした。


数年後に親が亡くなります。1億円贈与したので財産は9億円。遺言書と遺留分放棄とで相続争いとは無縁ですが、相続税です。

9億円への相続税は3.5億円で、全財産を相続する長男が全額負担、と考えそうですが違います。

相続時精算課税の贈与なので、次男への贈与額1億円と贈与税1500万円を相続税で精算します。

相続税課税対象は贈与1億円を加算して10億円となり相続税総額4億円。9億円相続した長男は税額3.6億円(4億×9億/10億)。

次男は贈与1億円へ税額4000万円(4億×1億/10億)。そこから過去の贈与税額1500万円を控除して精算し相続税は2500万円。

さて次男は相続で何も取得しないのに、相続税額2500万円です。次男が資金手当てできなければ大揉めになりかねません。

相続税には連帯納付義務あり


もし次男が2500万円を払えなければ最悪どうなるでしょうか。

相続税には連帯納付義務があります(一定の除外規定あり)。

税務署は次男から2500万円徴収できなければ連帯納付義務のある長男に2500万円を請求します。

最悪なら税務署が長男の財産を滞納処分します。完全解決したはずの兄弟ケンカの勃発です。

贈与から何10年経っても相続税精算します。親が長生きし数10年後の相続ともなれば税金のことなど忘れています。そこへ税務署からの相続税2500万円。

親より先に次男が亡くなっていた場合は更に恐怖の展開です。何しろ次男の妻子(相続人)をこの相続税2500万円が襲うのです。


現金でなくタワーマンション


対応策。贈与は現金でなくタワーマンションのように評価額の低い資産にします。親が1億円で買ったマンションを贈与。その相続評価3000万円とします。

裁判所には堂々「1億円の贈与」と説明、税務署には堂々と「3000万円の贈与」と贈与申告。

贈与税は100万円((3000万−2500万)×20%)で済み、相続税課税対象への加算も1億円ではなくこの3000万円で済みます。

この3000万円加算時の次男の相続税を計算すると前記の2500万円は1000万円に変わります。

次男は時期を見て物件を1億円等で売却換金をできます。

税を忘れずに相続対策を


遺留分放棄目的に限らず、相続時精算課税の贈与は将来のこのような相続税問題を残します。

なお相続税で贈与税を精算して還付になることもあります。

現金1億円贈与後に、親が9億円の財産を残額5000万円にまで使い切ったなら、全体への適用相続税率が下落し、次男への相続税額は1200万円です。そこから過去の贈与税額1500万円を控除して精算し300万円還付です。

一定の贈与には開示請求制度


「他の兄弟が親から幾ら贈与受けたか」を税務署からこっそりと聞ける制度まであります。「何でお前だけそんなに」と新たなケンカの火種になります。 

開示対象は精算課税贈与全てと相続前3年内の通常贈与です。





相続争いを完全になくすためには遺言と遺留分放棄2014年10月6日 第995号





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