非居住者の源泉徴収




非居住者の売買代金や家賃は源泉徴収…アジアが不動産買い



2015年3月16日 第1017号

アジアが日本の不動産を爆買中です。買えば貸して売ります。

非居住者・外国法人に家賃や売買代金を払うなら、一部は相手に払わず、税務署に払うのがルール。忘れると二重払いにも。


住民票があっても非居住者


不動産会社がマンション用地を6億円で買いました。売主は日本人ですが米国居住です。

非居住者から不動産(1億円以下の自己親族居住用を除く)を買う買主は代金の1割(10.21%)を売主には渡さず税務署に納税します。「源泉徴収義務」です。

買主は6億円の1割の6000万円を税務署に払い、残額5億4000万円だけを売主に払うのです。

日本国内の不動産売却なら、非居住者でも日本で所得税課税です。非居住者が確定申告すれば源泉分の6000万円は清算され、もし税額ゼロならば国は売主に源泉分6000万円を還付します。

非居住者からの取りっぱぐれを防ぐ制度ですが、「結果が同じならいいじゃないか!」。

それに売主も買主も面倒で、やりたくもない手続きです。

だから買主は「預かるだけ」と当事者意識が希薄です。しかし6000万円を納税する納税義務の当事者なのです。売主の申告納税に関係なく、税務署は買主から徴税します。売主事情と無関係に買主に課される税金です。

さて、買主は6億円全額を売主に支払ってしまいました。

税務署は6000万円だけでなく罰金相当の不納付加算税600万円(1割)までも払えと課税処分します。差押えまであり得ます。


この買主は一旦6600万円を払い、裁判で国と争いました。

売買のため売主は来日しました。16日間ホテル暮らし、その間に住民登録と印鑑登録をして売買契約へ。すぐに出国手続きをし、日本で住民税はナシです。

日本に住民登録がなければ印鑑証明書の代わりに現地大使館でのサイン証明が必要等面倒なのでこうしたようですが、買主は住民票があるなら源泉徴収不要だと思ったのかもしれません。

買主側は「売主は日本人だし、印鑑証明書もあるし、非居住者と分かる状況にはない」と主張。


裁判所は、買主は売主が米国居住のことに気付かないはずはないと判じて、6600万円は払ったまま終わります。(東京地裁2011.3.4.後に最高裁で確定)

源泉徴収を漏らしてしまいその分を負担した買主は、売主に請求できます(所得税法222条)が、請求と回収とは別ものです。

いい売主なら応じてくれても、海外からノーと冷たく言われ、二重払いで終わるかもしれません(本事例の結末は不明です)。

貸主が突然に非居住者に


商業ビルを15年契約で個人から借りて家賃を払い続けました。

知らない間に貸主個人が外国企業に転職し外国に移ります。

借主はそんな事情も知らずそのまま払い続けました。

「家賃を非居住者に払うなら2割(20.42%)を源泉徴収しないといけない(自己親族の居住用を除く)」。慌てて家賃の2割分を税務署に払います(貸主が借主に戻したのか?)が、税務署はその額の1割を罰金相当の不納付加算税として課税処分です。

借主は「貸主が転職したなんて分からないよ」。審判所で争い「やむを得ない事由」とし加算税の免除は認められます。ただ源泉徴収本税はそのままです。(国税不服審判所 2013.5.21.) 

非居住者と居住者の境界


非居住者は(1)国内に住所(生活の本拠のことで、住民票ではない)も居所を有しない、 (2)国内に住所がなくかつ居所を有している期間が1年未満の個人。

節税目的で非居住者になろうと、年半分(183日)以上国外滞在しても、数か国を転々移動(いわゆる永遠の旅人)しても、生活の本拠が国内なら居住者です。

職業や家族の所在地等も判断材料となり、出入国を繰り返せば微妙な判断となります。

買主が、その微妙な売主状況を判断し源泉徴収するのです。

契約書等に「日本国」以外の国名があれば要注意。住民票があるからOKだとも言えません。

税問題に仲介業者責任はないとしても揉め事に巻き込まれます。担保付やサブリースは注意。



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