不動産会社はなぜ買わない。




銀座の土地も、汐留の土地も、不動産会社はなぜ買わない。



バードレポート 1997年2月10日 第147号

 「土地の有効利用とは、売る人ではなく、買う人が行うもの。買う人が有効利用できる条件は何かということなのだ。

商業地については、ひとえに銀行と大手の不動産会社の行動にかかっている。商業地は、もともと限られた市場で、三菱地所や三井不動産、森ビルという大手不動産会社の市場だ。中小の不動産業者や個人は手が出ない。

もしいま底値なら彼らは土地に投資しなければならず、汐留に堂々と入ってきたらいいのだが、彼らは入ってこない。……(略)……底だ、底だと言いながら買わなかったなら、周りの人は底だと思わない。商業地については、経済を運営するリーディング企業の責任が大きい。」

週刊エコノミスト2月11日号の対談記事から明海大学教授の長谷川徳之輔氏の談。

銀座の土地


日本の一等地「銀座」の表通りの売買は活発です。

銀座四丁目交差点から三軒目の「日本堂ビル」は田崎真珠さんが80億円で購入。銀座三丁目の「カネボウビル」はダイエーさんがフランスのエルメス社と競って120億円で買いました。土地値は坪5千万円程度のようです。

冒頭の長谷川徳之輔氏は、バブル時期、バブル撲滅派の急先鋒で、不動産業界の「天敵」ともいわれた方です。

大手不動産会社の一部は、「地価は既に底だ。」と言っているそうですが、「地価が既に底と言うのなら堂々と自分で買え。」と言っています。なるほど、説得力があります。

たしかに、銀座の買い手に不動産会社の名はありません。

汐留(しおどめ)の土地


東京新橋の、汐留貨物駅跡地の入札がありました。落札総額3723億円。落札したのは電通・日本テレビ放送網・三井不動産グループの3者です。

自社ビル建設を目的とする電通さん・日本テレビさんにまじっていよいよ大手不動産会社の名前が出てきました。三井不動産さんがビル用地取得に出たのです。まさに長谷川徳之輔氏の記事に応えたか、のようでした。

しかし、残念ながら違うようです。三井不動産さんは松下電工・シンガポールの投資会社と組んで落札はしましたが、「三井不動産は開発計画作りと完成後の施設運営にあたるが、投資額は総事業費(約2500億円)の数%にとどまる見通し(日本経済新聞2月4日)」だそうです。

汐留には「堂々と」入ったのではなく、数%の「ちょっとだけよ」と入ってみたようです。

大手不動産会社はまだまだ堂々と買いません。

買うの? 買わないの?


商業地の地価は収益から逆算する「収益還元価格」だといわれて久しいのですが、銀座の価格は「収益還元価格」ではないようです。汐留の土地も予想価格を上回ったようです。

一方、並の商業地はズタズタです。不良債権処理は、不良債権担保不動産現物処理の段階を迎えています。この処理で更に売り商業地が出てきます。

まさに土地は買う人が有効利用するためのもの。買い手の選別は強くなり、一流優良物件とそうでない物件の格差は開き、単に「連れ高」しただけの物件はダメなようです。

大手不動産会社は皆事情もあり「底値と言うなら堂々と買え」と言われても、マンション用地を除けば、優良物件も並物件もいづれも、手が出ません。

一部でオフィス需要を見込んで、過去既に取得済みの土地にオフィスビル建築を始める動きはありますが、新規土地取得まではまだまだです。

大手不動産会社が「ちょっとだけ」ではなく「堂々と」新規に商業地を買うときが来れば本物なのでしょう。


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