特優賃は破綻する覚悟で




たとえ制度が破綻しても大丈夫、との覚悟で---「特優賃」



バードレポート1997年5月5日 第158号

 首都圏では「特優賃(とくゆうちん)」はすでに一般化しました。全国に広がっています。正式には「特定優良賃貸住宅」制度です。中堅層向け公的賃貸住宅不足を補う為に、土地所有者に対して国・自治体が補助金をつけて、優良な賃貸住宅を供給させるものです。全国各自治体の制度は幾分違います。東京都の場合には、東京都住宅供給公社が管理するものと一定の民間不動産会社等(指定法人)が管理するものとがあり、合計で年間数千戸の供給になり、驚くほど好立地での事例が増えています。

東京都の場合のメリットは、(1)建築費補助(総建築費の1割強程度)(2)低利融資・利子補給(農地転用なら実負担金利1%)(3)入居者家賃補助20年間(4)指定法人管理時には管理費補助(家賃総額の3%)です。

いいことばかりです。でも大丈夫なのでしょうか。

高いけどもよいものを?

「特優賃」は建設会社が特命受注をとるための営業ツールとなっています。通常の賃貸マンションだと壮絶な値引合戦となりますが、特優賃という「付加価値」付きになると競争なしの特命受注が取り易くなります。それは建築費が高めになりやすいこと意味します。また「せっかく建築費に公的補助がでるのだからよいもの(高いもの)を」ということにもなります。

言われるままに「よいけど高かいもの」ができあがり、補助金はそっくり建設会社の利益増になるということにもなりかねません。建築費が高くなると設定される家賃も高くなる仕組みになっています。設定家賃が高くなれば将来になって入居で苦しむ原因にもなります。

入居者家賃のバブル設定

右肩上がりの「バブル」は終息したはずですが、この特優賃にはバブルが生きています。それは入居者家賃です。

特優賃の入居者家賃はその入居者の所得水準ごとに設定されます。設定家賃とこの入居者家賃との差額が自治体からの補助になります。設定家賃が10万円で入居者家賃が4万円なら、差額6万円は自治体から補助されます。この入居者家賃4万円がずっと続くのならよいのですが、東京都の場合には毎年5%づつアップします。この時代に毎年5%アップには驚きです。

数年経過すれば、他の新築特優賃との入居者争奪レースで明らかに負けます。5年経過で5%×5年=25%の割高家賃になっていますから。

「自治体のバックアップだから大丈夫。」と言われますが、空家になれば家賃は入りません(一括借上方式を除く)。あわてて空家を埋めようと思っても、オーナーが自分で探すことは制度上では禁じられています。いつまでも空家のままにもなります。これではまずいと思っても、20年間は特優賃から転用することは禁じられています。

公団の失敗を忘れずに

住宅都市整備公団のスライド家賃制度は破綻しました。空室増で当初条件を大きく変更しています。公団の建物は高いがいいものといいますが、公団は今や整理対象です。親方日の丸に安住して採算性が弱かったようで、どこか「特優賃制度」と似ていませんか。

公的補助は麻薬です。最後は自己責任です。経済性を無視して「公的制度だから安心」と当面はドップリぬるま湯につかるのもいいですが、湯冷めのことも考えましょう。特優賃制度が破綻しないまでも、現状の制度・現在の家賃のまま未来永劫続くはずもありません。特優賃での土地活用はたとえ制度が破綻しても耐えられるという資金計画・経営計画・覚悟が必要です。

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