署名が違う金銭消費貸借




親のすべき署名押印を長男が行った借入金の行方



バードレポート1997年5月26日 第161号

大蔵省通達の内容はレポート発行当時のものです。

バブル時の相続税対策をすすめる上での大きな心配の一つは「寝たきりの親に、しっかりとした意思能力があるのだろうか?」でした。

親の意思で借金をし、親の意思で不動産を購入する。こうでなければ、相続税の税務調査で否認されてしまうからです。また親の意思で抵当権設定し、親の意思で長男への保証人になるというのも、対銀行上で必要不可欠でした。

しかし、借入や売買時の書類は膨大な量です。寝たきりの老人が、その書類すべてを理解し署名することには無理がありました。書類はすべて長男等がサインしているというケースが随分とあります。それが今になって問題化しています。税務上の問題ではなく、対銀行での問題です。

保証人のサイン偽造


特に問題が多いのは保証人のサインのようです。「連帯保証契約」「抵当権設定契約」に親の実印と印鑑証明がついていれば、まさか問題はないだろうと普通は考えます。しかし違います。いくら書類や印鑑が整っていても保証人その人にその意思がなければその契約は無効です。銀行の規則では保証人に直接意思確認を取るようになっていますが、すべてできているようでもありません。

長男等への貸付金につき寝たきりの親を保証人にしたり、その所有土地を担保にすることはよくありました。長男は真面目な人柄だし、信頼できるし、実の親子だし、「長男のサインで、まあいいか」という銀行員も多かったようです。

うまくいっているときはなにも起こりません。起こるのは返済不能となり、銀行が強く返済を迫ったときです。次の主張が出てきます。

長男を訴えてでも・・


「連帯保証の契約も、抵当権設定の契約も、寝たきりの親は全く知りません。長男が勝手にやったのです。銀行はそれを知っていたはずですから、連帯保証も抵当権もすべて無効です。銀行に被害があるのならば長男を訴えればいいでしょう。なんでしたら、筆跡鑑定をしましょうか?親が長男を裁判で訴えましょうか?」ということになります。

このままならば、借金のお陰で、先祖代々すべての財産を銀行に取られてしまいます。しかしその所有者はまだ親です。長男に財産はありません。この主張の通りなら、いくら長男を訴えても銀行は回収できないでしょう。長男ひとりを犠牲として、「家」を守ることになるのです。保証意思の確認を怠った銀行のミスです。

法人を保証人にする場合には、取締役会議事録等の保証意思確認方法があり問題は少ないのですが、個人の場合にどのように保証意思を確認し記録に残すのかは銀行にとってなかなか難しい問題のようです。銀行は契約上の保証人である親に追認を求めてくるでしょうが、覚悟を決めた債務者は応じるはずもありません。また表見代理(実印を持ってたのだし長男だから親の代理人だ)を主張するでしょう。結局のところ、スムーズな回収は難しいでしよう。そしてその時が債務者にとって返済条件交渉のチャンスとなっていきます。

銀行の償却は


銀行は回収不能額を償却します。その際には保証人からの回収額・回収見込額を考慮しなくてはいけません。しかし、「保証債務の存否に争いがある場合で、そのことに相当の理由のある場合」には保証部分を考慮しないで回収不能見込額を償却(経費にして法人税を減らすこと)してもいいと、大蔵省は銀行に対し通達で指導しています。


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