公益法人宗教法人は定期所有権




大使館とお寺と病院と学校の土地なら「定期所有権マンション」



バードレポート1997年7月7日 第166号

「定期借地権」ですらよく分からないのに、「定期借家権」だの「定期所有権」だのもっと分からない言葉が増えています。

東京都港区のフィリピン大使館跡地3200平方メートルに三井不動産・伊藤忠商事・清水建設の3社が「定期所有権マンション」を建設するという記事が伝わりました。(日本経済新聞97.6.24)

「定期所有権」とは何か


「定期借地権」は土地を50年間借用し、当初に土地価格の1〜2割程度の権利金(又は保証金)を支払い、50年間は地代を支払い続ける制度です。

ここで「定期所有権」と言われているものはこの定期借地権の応用です。50年分の地代を当初の権利金に含めて一括前払いしてしまうのです。そして地上権の設定登記を行ってしまい、通常の借地権より強い権利にしてしまいます。最初にその権利金を支払ってしまえば、その後の50年間は地代の支払いが不用となり、50年間経過すればその土地上の建物を取り壊して土地を地主に返還することになります。定期所有権の50年分地代込みの権利金は土地価格の5割程度と言われることが多いようです。ただし、この事例での具体的な金額は不明です。

通常の借地権での転売は地主承諾が必要です。しかし、地上権として地主の承諾不要で自由に転売できるようにすることも可能です。また、地代は全額前払済みですから地代の支払いはありません。

ここまですると所有権とほとんど同じです。ただしその期間が一定期間(50年間)に限られていることから「定期所有権」と呼ばれるのです。地主さんの立場では土地を売却すること無く契約時に権利金としてまとまったお金を手にすることができます。

フィリピン政府の土地活用


フィリピン政府はその所有土地にマンションを建築させ、定期所有権を設定させることにより多額の権利金を手にします。その手にした権利金で新大使館とその職員住宅を取得するとのことです。土地は貸しても、名義はフィリピン政府のまま。50年の期間終了時に土地はフィリピン政府に戻ってきます。その際には建物は取り壊さず同国へ無償譲渡されるようです。

イギリスが中国から一定期間に限って香港を借用したことに、なにやら似ています。50年後には香港返還式典のようなセレモニーも行われるのでしょうか。

定期所有権の税金問題


この定期所有権は、地主さんにとって土地を売らずに大金を手にするいい方法ですが、利用例は少ないようです。大きな原因は地主さんの税金です。権利金をドンと受取ると所得税・法人税がドンと課税です。

個人地主の土地に定期所有権を設定し、その後にその地主さんに相続が起こると相続税が大変です。50年後まで地代をもらえない土地なのに相続税がかかってきます。物納も難しいようです。定期借地権・定期所有権の天敵は税金ともいわれています。税金の問題さえなければこれらの手法はもっと広がっているでしょう。

今回の事例の大きな特徴は、税金をあまり考えないでいいことです。当事者は外国政府です。外国政府に対しては法人税も所得税も課税されません。もちろん相続税もなしです。だから税金の心配がいらないのです。だから定期所有権なのです。

税金の心配が不要の地主さんは、と考えると外国政府の他に公益法人が思い浮かびます。大使館・お寺・神社・病院・学校等の土地活用は定期所有権となるかもしれません。


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