倒産ゴルフ場…売却損と倒産損




倒産ゼネコンのゴルフ場…売却損と倒産損では大きな違い。



バードレポート1997年9月8日 第175号

 8月19日に東証一部上場の中堅ゼネコン「大都工業」が事実上倒産しました。きっかけは子会社「桂ケ丘開発」が経営する桂ケ丘カントリークラブ(CC)の預託金返還ができなかったことだといいます。

その「桂ケ丘開発」も東京地裁に和議開始の申請をして、事実上倒産しました。和議とは、現在の経営体のままで、債務を一定割合でカットしてもらい、会社再建をすることです。ゴルフ会員権のほとんどは、預託金方式です。「桂ケ丘開発」としては預託金も債務のうちで、カットの対象です。週刊朝日97.9.5.号によると、関係者によれば、会員がすぐに退会して、預託金償還を求める場合には9割程度のカットとなる見通しだといいます。

桂ケ丘CCは、90年6月に1200万円(うち預託金950万円)で特別縁故募集、90年10月に1800万円(うち預託金1450万円)で縁故募集、91年8月の第一次募集は2500万円(うち預託金2050万円)でした。そして92年5月にオープンしています。

第一次2500万円(うち預託金2050万円)で購入した個人Aさんがいたとしましょう。

「売れるうちに売ってしまえ」と昨年売却したらどうなったでしょうか・・・。

桂ケ丘CCは、昨年は800万円程度で流通していたようです。Aさんが会員権を800万円で昨年中に売却していれば、1700万円(=2500万円−800万円)の売却損が出ます。Aさんの昨年の課税所得が1700万円だったならば、この課税所得は売却損と通算されてしまいます。そのためにAさんの昨年の所得はゼロになります。

源泉徴収された所得税は全額還付、住民税もほとんどなしです。所得税と住民税とで数百万は安くなるでしょう。1700万円の損のうち幾らかは税金が補填してくれるのです。

「預託金の償還期限も近いし、このゴルフ場の親会社は東証一部上場企業だから安心だろう。800万円で叩き売らずとも、預託金2050万円満額戻るだろう。」と売りそびれたまま、ゴルフ場倒産に至るとどうなるでしょうか・・・・・。

ここでは雑誌報道のように、退会して預託金は2050万円の9割カットで205万円だけが戻ってきたとしましょう。

2500万円で買った会員権が205万円だけ戻ったのだから、2295万円の赤字です。この場合Aさんの税金はどうなるのでしょうか。

残念ながら税金は減りません。ゴルフ会員権の売却損は前述のように損益通算となり、その分の税金が少なくなります。しかし倒産での損は売却損ではありません。

2295万円の赤字は、預託金の回収不能とプレー権の消滅です。これらの損については、税金は面倒見てくれません。ゴルフ会員権としての売却損に限って認められているのです。(なお個人でなく法人なら大丈夫です。)

日本経済新聞97.9.1.によると預託金の償還総額は9兆5千億円、償還のピークとなる2001年には年間1兆4千億円に達するといわれます。会員から一斉に請求を受けたら事業者はどうなるのでしょうか。償還問題は深刻です。

償還期間延長やゴルフ会員権分割(会員権1口を2口に分割する条件での期間延長)等の交渉がなされています。それがダメなら倒産にもなります。バブル時期には新会社が名乗りをあげ会員に迷惑なしのケースもありましたが、プレー権消滅や預託金消滅のケース、追徴金の支払いを迫られるケース、等様々となります。

高所得の人は税率も高く、減る税金も多いのでこれで幾らかの穴埋めもできます。売れるうちの叩き売りも選択肢です。

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