買取仲介型の不動産M&A




買取仲介型の不動産M&A・会社売買による買取仲介



バードレポート1997年9月15日 第176号

2001年度税制改正で不動産M&A合併時の課税が変わります。


不動産を買う代わりに、不動産を所有する会社を買い取って合併してから転売や分譲するという、合併方式の買取仲介型不動産M&Aでのポイントは次の2点です。

(1)個人株主が売却代金を直接受取り、税率が26%と低いこと。

(2)合併の際に課税なしで株式が土地に変わってしまうこと。

2001年度の税制改正で4月からは(2)が課税なしから課税を受けることに変わります。


買った会社が買われた会社を吸収合併する際に、買われた会社(つまり被合併会社)が土地を時価で売ったものとして譲渡課税をされることになるのです。(一定の適格条件の場合には課税繰り延べになります。持分100パーセント全部を買い取った場合には課税繰り延べの余地もありますが、以下の当レポートのような合併の処理(抱合株式の償却)はできない模様です。)

土地が時価で時価で譲渡されたものとして法人税課税を受けます。その納税義務を合併した会社が引き継ぐとすれば、買った会社はM&Aの対価に加え、被合併会社の譲渡課税分の法人税を払う義務を負います。改正前であればこの譲渡分の課税はなかったのです。改正によりこの合併方式のM&Aがなくなるのではありませんが、税負担を考えれば、M&Aでの買値がとても安くないと採算が合わなくなります。(清算所得の課税が廃止になりますので、合併に際しての法人税法113条の「みなし合併交付金」もなくなるとは思いますが、「みなし合併交付金」の考え方がなくなるのかは不明です。扱いにより税額が違います。このレポート最下部の法基通4-2-9(抱合株式の償却)の扱いも不明です。)

もっとも、不動産M&Aでも合併を前提としないケースもあります。不動産を所有する会社を買って新たな株主となったままでその土地を持ちつづけるのです。これなら会社合併時の課税はありません。

3月末合併が駆け込み不動産M&Aの期限となります。逆算すると最終期限は2月第一週実行です。将来売却予定の土地についても自己M&Aでの対応策もあります。

譲渡課税部分をだれがどう払うかにより対応は変わることになりますが、不動産M&A物件の実質価格は税負担分について暴落せざるを得ません。

不動産M&Aとは、法人所有の不動産の売買です。しかし見方をかえれば、すでにSPCになっているのです。2000年末から今2001年1月はJ−RETバブル、投資不動産ファンドバブルです。そのような物件ばかりを組み込んだファンドなんていうのも考えられると思うのですが。もちろん対象となる物件は、古い物件、耐震性のない物件、更地なんていうのが多いので、ジャンク(現在は「ハイイールド」とよぶそうですが)のつまったファンドにはなりますが。見方次第では新しい世界が開けるような気もします。


2001年1月19日加筆

合併方式の不動産M&Aの扱い

合併時には、「子会社株式(抱合株式)にいったん株式を割当てて、同時に減資する」という考え方での処理方法になるとのことです。つまり減資ですので、資本取引と考えることになります。だからこれまでのように、法基通4-2-9をつかって、抱合株式の償却損を含み益にぶつけるという損益取引による処理はできなくなります。やっぱり合併方式の不動産M&Aはダメのようです。

でも、それでも、何とかならないか、といろいろ思案をしてはおりますが…。

2001年2月17日加筆

最終的にはこうなりました

買主が発行済株式100%を買い取ってから合併した場合には、「適格合併」といわれ、旧会社の土地の帳簿価格を引き継ぐことになります。対象会社の土地の帳簿価格が1000万円で時価1億円、M&Aの対価が1億円だとすれば合併後は「土地1000万円」となります。以前は合併時の抱合い株式の償却により「土地10億円」となりましたが、そうはならないのです。これはこの土地を商品化して分譲や転売したときには、その土地の帳簿価格は1000万円として課税所得の計算がおこなわれ、課税を受けることを意味します。これまでは帳簿価格を10億円にできましたから課税所得は9.9億円も増加します。この土地の商品化するにはこの税負担をコストとして認識せざるを得ません。つまり買値をその分下げざるをえません。

買主がA社株式100%を買収せずに他株主を残したまま吸収合併すれば、「非適格合併」といわれ、被合併会社のA社は合併に際してこの土地を10億円で売却したものとして法人税課税を受けます。その納税義務を合併会社が引き継ぎますので買主会社はM&Aの対価10億円に加え、この法人税を払う義務を負います。改正前であればこの課税はなかったものなのです。

改正によりこの合併方式のM&Aが法的に出来なくなることはありません。しかし税負担を考えれば、M&Aでの買値が安くならないと採算が合わなくなります。もっとも、不動産M&Aでも合併を前提としないケースもあります。A社株式100%を買収し合併しそのまま保有継続したり、合併せずに単に新株主となったままでその土地を持ちつづけるのならばこれらの課税は生じません。

このような状況下でも、会社を買ってから不動産を売却し清算をする、等の迂回手法の検討が専門家によって続いています。

2001年5月10日加筆



新しい不動産M&A手法

「買取仲介合併方式」の不動産M&Aの後継方式は「売却後清算方式」不動産M&Aとなりそうです。上記設例と同じ条件としましょう。

(1)M&Aにて10億円で不動産所有会社を買収します。

(2)被買収会社を清算します。

(3)その手続の中で土地を10億円で売却します。

(4)被買収会社を清算するにあたり法人税5億円を払い、被買収会社の財産は現金5億円になります。

(5)この残余財産の分配をします。残余財産5億円は100%株主である買収会社へ分配されます。

(6)この5億円は買収会社にしてみると「みなし配当」とされ益金不参入、つまり法人税のかからない所得になります。

(7)買収会社は被買収会社株式10億円を資産として計上していますが、被買収会社清算により、この株式10億円は子会社清算損10億円となります。この買収会社が10億円以上の利益を計上しているのならば、法人税等が5億円安くなります。

(8)この結果として、買収会社は5億円の現金と節税分5億円との合計で投資額10億円全額を回収することができます。

(9)こうすれば、これまでの「買取仲介合併方式」と結果的には同じ効果になります。

理屈としては分りますが、なにしろ今まで誰もやったことのない手法です。誰が一番最初に実行するのでしょうか。

2001年5月24日加筆、6月1日訂正加筆
●会社売買なら値引きは当然・・・それで成り立つ不動産M&A

依然として、売主からしてみると「土地で売る」のではなく「会社を売る」という要望は強いものがあります。そしてすでにこの新しい手法による提案書を見かけるようになっています。

上記のように土地売買も会社売買も同じ10億円ならば、苦労はします。しかし、会社売買ならばディスカウントが当然です。面倒な手続をしなくてはいけませんし、融資も苦労するし、手続完了までの期間と金利の問題、対象会社に隠れた債務があるか、等々ですから。3-4割の値引きは当たり前です。

実際には土地なら10億円であっても、会社売買なら6億円というような値付けになります。土地を10億円で第三者に売却するのならば、法人税40%なら6億円はみなし配当で回収してしまいます。あとは「株式整理損」の6億円の節税メリットが残るだけとなります。そうなれば資金的には安心してビジネスにできますし、節税がうまくいかなくても採算が合います。

不動産M&Aの税務がこれまでのようにスムーズに行かなくなった以上、その対価は下がるでしょう。最終的には採算の合う金額に落ちつき不動産M&Aの仲介ビジネスは成り立つようになるでしょう。

税制改正で終焉したかと思われた不動産M&Aもまだまだ使えそうです。なおこの仕組みでの「A社株式整理損」の税務処理についてまだ実績はまだない模様です。実績のない税務上の仕組み案件を実行するのは度胸がいるものです。国税当局と税務専門家との駆け引きは続くようです。
2001年10月11日加筆


BR970908BR970922BR買取仲介型の不動産M&A・・・・会社売買による買取仲介

1997年9月15日 バードレポート第176号

不動産がらみのM&A(会社売買)のご相談が増えています。昔からの土地を所有する会社がその土地を売却すると税負担が大変です。税を考えるなら、土地売却でなく土地を所有する会社の売却です。「会社を売る」とは、土地を所有している会社の株式や出資金を売却することです。これを不動産M&Aといいます。

土地を売るのに比べて、会社を売るのなら税負担は極めて少なくて済み、会社のオーナー株主の手元に残る税引き後の金額は格段に違います。(売主の立場は

バードレポート第159号を参照下さい。)

さて、実際の不動産M&Aでの売買価額の決定はどうなっているでしようか。不動産売買を会社売買にすることでメリットを受けるのは売主です。税金のメリットを最大限に享受します。ところが、買主にメリットはほとんどありません。買主は「土地」が欲しいのに「会社」を買わされることになり、面倒なことこの上もありません。それに簿外債務等の心配もあります。土地なら転売や分譲もできますが、会社だとそれも簡単には行きません。

買主のメリットは安く買うことができるだけです。売主には税金のメリットがありますから、土地売却に比べ数割安い価額での会社売却になっても手元に残る金額は断然大です。だから安くなっても会社売買を希望します。

ここが売主と買主の利害一致点です。「売主は安くとも会社売買にしたい。買主は会社売買なら面倒だが安い。」

土地値を100とすれば、会社売買は50から70程度の金額になることが多いようです。

また、買主がマンション用地にしたい場合等はどうしても「土地」が必要なのであり、「会社」では困ります。その場合には買収後に合併します。会社を買収後に合併すれば、株式ではなく土地になります。

これを応用して買取仲介型の会社売買もあります。

買取仲介会社が時価5億円の土地を所有する会社を3億円で買います。買取仲介会社の購入財産は「株式(会社)3億円」となり、その会社は買取仲介会社の100%子会社になります。買取仲介会社はその子会社を吸収合併します。合併することで買取仲介会社の購入財産は株式から「土地3億円」に姿をかえられます。買取仲介会社はその土地を5億円で最終の買主に転売します。

買主が大手企業だと、リスク管理の問題や合併手続き等で会社売買による土地仕入れは困難なことが多いのですが、買取仲介型の会社売買とすれば最終的に「土地」に仕上がりますので問題がありません。

買主サイドで一番怖いのは表面化していない借金や債務保証です。債務の多大な会社等は避けるべきであり、十分な注意が必要です。


 

1997年9月15日付 第176号の解説

バードレポート176号の吸収合併については以下の論拠に基づくものです。

論拠 法人税法基本通達4−2−9 抱き合わせ株式の償却損の補てんの順序

子会社を吸収合併する際に、新株式の割り当てをしなければ、保有する子会社株式の償却損が生じます。バードレポートの事例では、帳簿価格3億円の子会社株式に対して、新株が割り当てられないので、株式消滅により償却損が生じます。

その償却損の補てん順位がこの通達により定められています。

(1)減資益に相当する金額(2)資本積立金額(3)利益積立金額(4)これ以外の合併差益金(5)受入資産の含み益

不動産M&Aの場合には(1)から(4)は僅かでしよう。そのためにほとんどが(5)の受入資産の含み益によって補てんすることになるでしょう。

バードレポートの事例で、仮に(1)から(4)がゼロで、土地以外に財産がなく、土地の帳簿価格もゼロだったとして、株式償却損3億円はそっくり土地含み益実現益3億円で補てんされます。その結果として合併により「子会社株式3億円」は「土地3億円」に振り代わります。

なお、この含み益3億円を計上する段階で、土地重課の法人税(長期なら5%)とそれに対応する住民税が課税されます。この税負担をバードレポートでは2000万円程といっています。もちろん、土地3億円を5億円で売却するときの課税関係は別です。




会社分割(2000年商法改正)も活用出切るでしょう。つまり不動産を所有する会社が、不動産だけを会社分割で切り離して会社ごと売却し、株主でお金を分配するのです。

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