国税債権の優先




「目に見えない抵当権」の存在---国税債権は優先される



バードレポート1997年10月6日 第178号

 「目に見えない抵当権」があります。

Aさんに融資しているB銀行はAさん所有地に1番(第1順位)抵当を設定しています。登記簿に1番として登記されています。B銀行はなにしろ「1番」抵当ですから、たとえAさんが返済不能になっても、絶対に融資金は回収できると思っていて気楽なものです。

ところが、Aさんには未払の巨額な相続税があります。

Aさんは銀行への返済が困難となり、同時に未払相続税についても税務署による滞納処分が開始され、税務署はAさんの土地を差押えました。B銀行の融資担当者は、自行が1番抵当だから自行の融資は確実に回収できると依然として気楽に構えています。さて、どうなるでしょうか。

国税の優先


抵当権は設定時期が早いものが勝ちます。土地が競売されたならまず1番抵当をもつ銀行がその抵当権の債権額を全額回収します。余れば2番抵当、さらに余れば3番抵当となります。

そこに滞納した国税債権がはいってくると、順序が混乱を始めます。法律に「国税優先の原則」というものがあり、たとえ抵当権の設定がなくとも、国税は他の抵当権よりも強いことがあるのです。

Aさんのケースで、B銀行の抵当権の設定日よりも、未払いの国税の法定納期限等の方が1日でも早ければ、税務署がB銀行に先立って回収することになります。(なお法定納期限等以前に設定されている抵当権だったなら、B銀行の勝ちです。)なお、法定納期限とは、所得税なら翌年3月15日、現行の相続税なら相続開始から10ケ月後です。

気楽な構えだったB銀行融資担当者は、回収不能の悪夢をみることになります。Aさんに未払いの相続税があることに気付かなかったB銀行の失敗です。

税金については、たとえ抵当権が設定されていなくとも、その税金の法定納期限にその税額相当の抵当権の設定がされたのと同じと考えて下さい。いわば「目に見えない抵当権」が設定されているのです。そして、その税額が納付されたときにその「見えない抵当権」は消滅するのです。しかしながら、納付が完了しなければ、その「見えない抵当権」は存在し続けます。

未払いの相続税


相続税は注意が必要です。まず物納申請中の場合。物納が完了すれば「目に見えない抵当権」は消滅しますが、そうでなければ設定日を当初相続税法定納期限日とするの「この見えない抵当権」が存在しています。延納中の場合。延納が完了しない限りこの「目に見えない抵当権」が存在します。ただし、延納では土地の一部に抵当権設定登記をしますので「目に見える」はずです。

相続税の連帯納付義務


更に恐ろしいのは、相続税には連帯納付義務があることです。他の相続人が相続税を払わぬまま破産等すれば、その相続税は他の相続人を襲ってきます。他の相続人は相続で受けた利益額の範囲内で連帯納付義務があるからです。Aさんの場合でも、Aさんが自分の分の相続税の納税が完了していてもそれだけではダメなのです。

Aさん以外の相続人で相続税未払の人がいれば、Aさんの土地には相続税連帯納付義務として「見えない抵当権」が設定されたままなのです。

債権の保全に際しては「目に見えない抵当権」まで見ようとしないといけないようです。


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