容積率割増と容積率売買




不動産錬金術…容積率割増ボーナス & 容積率売買



バードレポート第204号1998年4月20日

注 その後、三菱商事ビル別館は、借地権付で三菱商事さんに売却されたと報道されています。三菱地所さんは東京駅前の丸ビル再開発計画を発表しました。37階建て超高層ビルです。この丸ビルの裏側には三菱商事ビル別館という築40年近いビルがあります。ビルの名前は三菱商事さんですが、所有者は三菱地所さんです。ここも新築することにしました。

 この三菱商事ビル別館の敷地は約5千平方メートルです。法定容積率は1000%ですから、本来は床面積5万平方メートルのビルが建ちます。しかし、丸ビルとの一体再開発として環境整備を行ない「特定街区」として容積率300%割増しが認められました。割増後の容積率は1300%となりますから、床面積6万5千平方メートルのビルが建てられます。床面積1万5千平方メートル分の容積率割増ボーナスとなりました。

 しかし三菱地所さんはこのボーナスを三菱商事ビル別館の敷地では使わずに、丸ビルの敷地で使うことにしました。容積率を移転するのです。

 丸ビルは東京駅前の立地です。同じ1万5千平方メートル分を建てるのならば、三菱商事ビル別館敷地よりも駅前の丸ビル敷地のほうが収益もよく得なのでしょう。三菱商事ビル別館の敷地で容積率300%のボーナスをもらって、そのボーナス分をより条件のいい丸ビルの敷地で使うことにしたのです。(日本経済新聞平成10年4月13日・同17日号を参照しました) さてこの移転した容積率アップ分の価値はどのくらいになるのでしょうか。土地の価格を容積率100%あたりの価格、すなわち床面積1平方メートルの建物が建てられる容積率の価格で捉える考え方があります。丸ビルの路線価は1平方メートル1000万円です。容積率は1000%ですから容積率100%分(建物床面積1平方メートル分)の価格は100万円となります。建物床面積が1万5千平方メートルならば150億円です。価格をこの150億円とするならば、ふたつの敷地間で150億円分の容積率の移転がなされたことになります。

 今回のケースは両敷地とも同一の所有者ですから、単に敷地から敷地への容積率の「移転」をしただけです。しかし敷地が別の所有者であれば、容積率の「売買」となります。こうなると容積率アップは錬金術です。容積率アップをしてもらい、それを隣地所有者に売ってしまえばいいのですから。

 千代田区内幸町2丁目では、今回同様の特定街区による容積率ボーナス分まで含め2万平方メートル分の隣地所有者への容積率売買がされたことがあったようです。

連担建築物&容積率割増


 建築基準法改正案が今国会で成立の見込みです。

 その改正案には連担建築物設計制度が含まれています。一定の場合は新築建物だけではなく既存建物の余剰容積率を別の新築建物へ移せるという内容です。

 このケースにあてはめるのならば三菱商事ビル別館は新築をせずとも、既存のままで余剰容積率を移せることになります。昨年11月の政府緊急経済対策は、高度利用地区では空地確保をせずとも最大300%の容積率割増ボーナスをすると定め、景気対策の柱にしました。

 連担建築物も容積率割増もどの程度の規模なら認められるか等の運用面がまだ不明ですが、小規模なケースにまで認められればまさに平成の錬金術です。


 ちなみに、アメリカでは公園の余剰容積率の売買までもが行われています。驚くことに市当局が公園の余剰容積率を近隣土地所有者に売却しその土地所有者がその余剰容積率までも使って高層ビルを建てるのです。

市街化調整区域に家が建つ


 今国会でのもうひとつの不動産錬金術、「優良田園住宅建設促進法」が成立しました。住宅建築が原則不可の市街化調整区域に一定条件で戸建住宅建築を認めるという法律です。タダ同然だった市街化調整区域の土地の価値がこの錬金術で市街化区域の宅地並に跳ね上がるかもしれません。


連担建築物設計制度については

バードレポート第193号を参照下さい。

cats_back.gif





バードレポートとは


 
clip_blue_1.gif




前号

次号


関連する項目
不動産賃貸経営
定期借地権定期借家
不動産証券化
不動産ビジネス手法

このレポートと同じ年分リスト
1998年リスト




あんしん生命資料請求
  • 使わなかったら払った保険料が全額戻ってくる医療保険

保険ショップインフォ
  • 地域から探す
  • 保険ショップの使い倒し方

保険ショップ


バードレポート

Google
Web検索
当サイト検索

バードレポート項目別
不動産ビジネス手法
不動産賃貸経営
不動産と金融会計
定期借地権定期借家
不動産証券化
債務整理と企業再生
不良債権処理
債務処理の税務
相続税対策申告
路線価評価相続評価
物納と相続税調査
譲渡税買換特例
住宅税制住宅減税
固定資産税
税制改正
その他不動産税制
その他税制
相続対策と遺産分割
生命保険
その他不動産関連
その他
トピックス版・年別リスト
カネボウ劇場
発行元情報

バードレポート発行順
発行年順リスト
clip_blue_1.gif
clip_blue_3.gif