松下家と中内家の贈与戦略




「ナショナル」松下家と「ダイエー」中内家の贈与戦略



バードレポート第207号1998年5月11日

 相続税と贈与税。どちらが重い税金でしょうか。一般には贈与税が重い税金といわれます。しかしどちらも最高税率は同じ70%です。相続税は20億円超で70%、贈与税は1億円超で70%になります。そのために、相続税率70%になってしまう超資産家の場合には、相続税でも贈与税でも税率は同じになってしまいます。

松下家の贈与


 故松下幸之助氏の妻むめの氏は幸之助氏から1200億円の遺産を相続しました。そして平成元年に840億円の財産を3人の孫に贈与しました。孫は贈与税600億円弱を払いました。松下家のような超資産家では、相続税も贈与税も税率は同じ70%です。どちらでも同じ税負担なのです。

 贈与財産は松下グループの株式です。当時の松下電器株は一株2300円。贈与税は税率70%で1株あたり2300円×70%=1600円となったはずです。

 さて生前贈与をしなければむめの氏から相続税を払って相続(又は遺贈)することになります。むめの氏の相続時に松下電器株が4000円まで値上りしていれば、1株あたりの相続税は税率70%で、4000円×70%=2800円です。贈与税1600円を払ってでも生前贈与が有利のはずです。

 むめの氏は平成5年に亡くなりました。その時に株価は1400円まで値下がりしていました。一株あたりの相続税は1400円×70%=1000円です。生前贈与をしなければ一株1000円の相続税で済んだのに、贈与をしたばかりに一株1600円もの税金を払ってしまったことになります。

 贈与財産がその後値上がりするなら贈与が得、値下がりするなら贈与は損ということです。

中内家の贈与


 スーパー「ダイエー」の中内会長は、不動産はすでに底値だと考えたようです。

 中内会長は長男中内潤副社長と長女綾氏とに贈与をしました。長男への贈与額は6億4千万円、長女6億2千万円だったと税務署が公示しました。(贈与財産が4千万円超になると、名前と金額が税務署に掲示されます。)贈与税率は当然70%ですから、贈与税額はふたり合計で8億5千万円にのぼります。

 さて東京新聞(98.5.8夕刊)によると、長男が贈与を受けたのは東京都大田区田園調布の中内会長が住んでいる敷地約1800平方メートルの半分で、長女も同じ田園調布にある長女の自宅敷地800平方メートル余りということです。いずれも昨年の12月18日に所有権が移されていいます。

 当該地の路線価はピーク時には平方メートル200万円を超えるまで上昇しました。昨年では70万円程度まで下落しています。中内家の結論は「土地は底値だ」ということのようです。

 地価がまだまだ下がると考えるのならば、なにも慌てて贈与して高額の贈与税を払うこともありません。地価が下がれば路線価も下がり、同じ土地を贈与しても贈与税は減ります。これから地価が上がると考えるのならば、答えは逆です。今が底値ならば、今が絶好の贈与時期ということになります。結果はどうなるでしようか。

値上がり見込み地の贈与


 これから値上がり見込みの土地は早めの贈与がお勧めです。現在は市街化調整区域で評価が低い土地でも、将来的に区画整理対象地に指定される可能性等があれば値上がり見込みになります。評価が低いうちに贈与しましょう。再開発や道路整備が予定される土地も同様です。

一般地主さんの贈与戦略


 超資産家でなくとも相続税対策の基本は贈与です。相続財産3億円で相続人子2人なら相続税は6160万円。税率は20%です。60万円贈与なら贈与税ゼロですし、300万円贈与でも贈与税は31万円で、税率はわずが10%です。相続税率20%に比べ半分で済みます。相続税の税率より低い税率での贈与を続ければ相続税対策効果は必ず出ます。

 現金での贈与なら値上がり値下がりの心配は不要です。
このレポートをお読みになった方からご指摘を受けました。

「今の若い人にナショナルなんていってもわかりませんよ。パナソニックですよ」と。訂正しましょうか。

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