銀行に債権放棄をさせる通達




平成の徳政令?…銀行に債権放棄をさせるための通達改正



バードレポート第212号1998年6月15日

債権放棄をしない理由


 金融機関との返済条件変更の調整には苦労します。特に昨年秋以降は、貸し渋り等もあり、金融機関は容易には交渉に応じてくれなくなっています。

 バブル時に土地や株への投資をやり過ぎた。借金全額の返済などできるはずもない。銀行からは「どうやって返すのか」との矢のような催促がくる。

 「全財産を売却して返済するから、残った借金を帳消しにしてくれ。(債権放棄してくれ)」

 銀行としては簡単にはイエスとはいってくれません。銀行員は「債権放棄をしても税務署が認めてくれないから。」という答えをよくします。

 債権放棄をしてもらえなければ、全財産売却で丸裸になったにもかかわらず借金だけが残ることになります。債務者としてもそんな条件での全財産売却には応じられません。

 これまでの税制では、破産や会社更生法の適用などによる融資先への債権放棄ならば経費になりますが、そうでない場合には原則ではダメでした。そのために債権放棄が進まずに、金融機関の不良債権処理もうまく進みませんでした。

金融再生トータルプラン


 政府与党は「金融再生トータルプラン」として、不良債権問題の抜本解決を目指しています。そこで、この税制上の問題が指摘されました。「税制がそんな取り扱いをしているから、不良債権処理が進まないのだ」と。

法人税通達改正


 そこで国税庁は税制上の取り扱いをより明確にするために、法人税基本通達を改正しました。改正された内容を分かりやすく言うと次のようになります。

 「金融機関等が取引先に対し無利息融資・低利融資・債権放棄をした場合において、それが業績不振の取引先の倒産を防止するためにやむを得ず行われるものであり、合理的な再建計画によるものであれば、その無利息融資・低利融資・債権放棄の負担分について経費と認める。なお、利害の対立する複数の支援者により策定された再建計画ならば、それは合理的な再建計画とする。」

 複数の銀行から借金の返済を迫られている。銀行は返済計画の提示を求める。そこで、経費削減・リストラ・不動産売却等を行い、売却金での融資金を一部弁済し、一部残債の債権放棄を柱とする再建計画を提示する。

 その計画を各銀行が認めてくれれば、それは「利害の対立する複数の支援者により策定された再建計画」となります。そしてこの債権放棄は銀行の税務上において経費になるのです。

 銀行はこれまでのように「税務署がうるさいから……」という言い訳を使うことはできません。通達改正の最大の効果は、この言い訳が封じられることでしょう。

 金融再生トータルプランは、借金棒引きの「平成の徳政令」ともいわれています。銀行に対して30兆円の公的資金を導入した上での、ゼネコン等多額の負債を抱える債務者の安易な救済との批判も多いようです。しかし、不良債権処理が急進するということは事実でしょう。

丸裸からの再スタート


 これまでの債務者にとっては、破産でもしない限りは、返済不能の多額の残債が法的な債務として残ります。全財産を売却して丸裸になり、一から出直そうとする債務者が、今回の通達改正をきっかけに増えるでしょう。破産すること無く債務整理ができ、無理な残債なしでの再スタートが可能となるのですから。

 銀行にとってもこれまでは回収不能融資であっても帳簿に残さなくてはいけませんでした。しかし債権放棄ならば帳簿から切り離すことができて、自己資本比率の改善につながります。

臨時不動産関係調整委員会


 なおこの通達においては「臨時不動産関係調整委員会(バードレポート第205号参照)」の認定は必要要件になっていません。 
この改正は法人税基本通達9―4―1及び9―4―2です。


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