アメリカの不動産進化論




アメリカの不動産進化論---それは「貸し渋り」から始まった



バードレポート第222号1998年9月7日

貸し渋りからの不動産進化論


 アメリカは約10年前に金融危機を迎えました。銀行は「貸し渋り」です。不動産に対する融資は危険なものとされ、誰も資金を出さなくなったのです。そうなると、商業用不動産の真の価値は何なのかがあらためて問われることになります。そして不動産の価値とはその不動産が生み出す家賃収入等によるキャッシュフローだとの結論に至りました。(更地のままでは無価値ということです。)突然に価格が上下するといった不明確な価値でなく、安定的なキャッシュフローが不動産の価値であれば、証券化できます。利子収入を安定的に生む国債と変わることがありませんから。

 そして銀行が「貸し渋る」ので、やむを得ず証券化による資金調達に進むことになるのです。銀行融資の代用での、投資家向け証券発行での資金調達です。社債は会社そのものの信用に頼りますが、そうではなく不動産そのものの信用に頼る証券です。

 不動産を保有するだけの会社は不動産価値だけの会社です。その株式を株式市場に公開させます。広く投資家に株を買ってもらいその資金を期待します。会社の価値は不動産価値そのものであり、その株式も不動産の価値です。公開により流動性が高くなり、年金基金など投資家を取り込んで巨大化します。

 これがREIT(リート)です。以前からの優遇税制制度がこの時期に活用されたのです。

 REITは「不動産投資信託」と訳され、日本では「株式投信」を連想しますが、REITは会社の株式そのものでもあります。株式公開はREITの公開です。

 こうして不動産はプライベートなものからパブリックなものへと進化し、直接所有から間接所有へと進化を始めたのです。言い換えれば、一部地主により個人的に直接所有されたものから、いわば公的な場である株式市場を通して間接的に所有されるものへの進化です。

「稼業」から「企業経営」へ


 公開後の経営者は株価を意識せざるを得ません。高株価のための経営競争が始まります。スケールメリットを目指します。合併も進めます。効率経営で利益の拡大も目指します。これは企業間の緻密な「マネージメント」競争です。それまでのどんぶり勘定の「大家さん稼業」は競争に勝てるはずもなく、不動産は巨大なオペレーションに集約されていきます。顧客に喜んでもらい買ってもらい、利益を出すという、企業経営の「常識」がやっと不動産賃貸で成立することになります。

透明性の高いマーケットへ


 そして高株価を維持するには情報の開示が求められます。開示のない会社に対しては臆病な投資家はお金をだしませんから。所有不動産や価格などの詳細が開示され、投資家への判断材料として、格付けシステムや不動産価格指標(インデックス)が提供されます。

 こうして不動産の情報開示が進み、不動産市場は透明性の高い市場に進化したのです。それまでの闇夜の市場では何も見えないので時折おかしな方向に市場そのものが走りますが、透明な市場は市場そのものにコントロールされ安定します。

不動産担保ローンの証券化


 また不動産担保の銀行融資金も証券化され進化しました。数百もの融資金をひとつの「お皿」に入れて混ぜあわせます。担保価値等も勘案し、ごちゃまぜの「お皿」から、おいしい順に格付けされた何種類もの証券(融資金ではなく証券)を切り出し、投資家に売り出すのです。

 不動産融資を避ける金融機関さえもこの格付けのある証券なら安心ということで大量に購入します。こうして資金が不動産に回り始めました。

日本の不動産進化論は?


 これがアメリカの経験した不動産の進化です。スタートは金融機関の「貸し渋り」。さて日本の「貸し渋り」は日本の不動産をどう進化させるのでしょうか。

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