こんな定期借家




「こんな定期借家ならいらない…改正法の実務」



バードレポート第232号1998年11月16日

  定期借家制度創設の借地借家法改正案は7月30日に衆議院法務委員会に付託されました。今秋の臨時国会で成立見込みでしたが、審議が遅れ来春にずれ込みそうです。不動産建設業界はこぞって「定期借家制度導入熱烈推進」です。異議を唱えようものなら「石を投げられ、業界から追われる」といった程の状況です。

 かつて定期借地創設の際は、法制審議会が何年もかけ議論して法改正をしました。

 一方、今回の定期借家創設は議員立法でもあり、短期間にバタバタとつくられ、吟味されないままの法律案が国会に提出されました。そのため改正の趣旨はいいにせよ、実務面ではデキの悪い法律です。「定期借家制度は必要だが、こんな法律ならいらない」との声もあります。業務用はともかくも、居住用については問題です。

契約更新は再契約…


 改正案では「定期借家契約は書面に限る」となっています。

 アパート賃貸を2年間定期借家で契約しました。最初の契約は書面で契約をするから問題ありません。さて無事に2年が経過しました。「このままで継続しましょう」との大家さんと賃借人との口約束で2年継続しました。さてどうなるでしょうか。

 定期借家契約とは「更新しない契約」ですから、「継続」とは「更新」ではありません。当初の2年契約は満了し、新たな2年契約が始まったことになります。この新しい契約は「口約束」による契約となっしまいました。これは「書面」によらない契約ですから、お互いに定期借家のつもりでも、定期借家契約ではなくなってしまいます。

 また、2年間の定期借家契約が終わっても賃借人が居残った場合の法律上の位置付けはどうなるのでしようか。いきなり「不法占有」となってしまいます。契約満了の際の法律的位置付けや調整が抜け落ちています。

 カルフォルニア州では賃貸借契約満了後には自動的に1ケ月定期借家契約となり、「不法占有」にはならないまま、常に1ケ月前予告での契約解除できるという仕組みが用意されています。

 このままの法改正がされたなら契約更新は「大混乱」、そして世の中は「不法占有」だらけになってしまいそうです。(それゆえに不動産賃貸管理業にはビジネスチャンスです。)

 定期借家は更新ではなく再契約になります。金融機関から建物が競売されると、当初賃貸借契約時から「更新」が続いていれば競落人に対抗でき保護される賃借人も、定期借家の「新契約」の継続では保護なしになります。

 アメリカには「公正住宅法」があり、入居者を年齢・人種・性・子供の有無等で差別することは禁止されており、連邦住宅都市開発局にその仲裁委員会まで設置されています。この制度の存在が前提で定期借家制度が運用されているのです。日本では「そんな差別禁止制度が必要なら、現行の借家制度のままでいい」という大家さんは多いでしょう。日本での弱者保護は「公営住宅斡旋」で解決するそうですが一体どうなるのでしょう。 確かに定期借家制度は経済的に間違いなく必要です。何らかの手当てがなされての改正がなされるのでしょう。また経済対策の観点ばかりでなく、あるべき住宅政策の観点もいつかは検討されるのでしょう

賃貸の取引慣行はどうなる


 さてアパートの賃貸借での定期借家が標準となったときには、現行の礼金・敷金・家賃・仲介料等はどう変わるのでしょう。契約更新不可でのわずか24ケ月の賃貸借契約ために賃料数ケ月分もの様々な支払をさせるのでしょうか。素朴な疑問です。目論見どおりに借家の供給が増えれば家賃は下がるでしょうし、取引慣行も変わらざるを得ないでしょう。また定期借家になれば、相続税節税効果は薄まる方向に進むはずです。

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