ビルオーナーの破綻




ビルオーナーの破綻---テナントがする家賃保証金の相殺



バードレポート第244号1999年2月15日

  通常のビル賃貸借契約では、テナント破産時にはオーナーが契約解除できることを定めています。しかしテナントでなくオーナーが破産するとは誰も考えませんでした。

  今や多くのテナントの心配は、「ビルオーナーが破綻するとどうなるだろうか?」です。

  その最大の原因は「保証金」。かつては家賃何10ケ月分、時には100ケ月分もの高額保証金のやり取りが当たり前でした。

  これら高額保証金は、テナントからオーナーへの無利息貸付金と同じであり、名目は保証金でも単なる貸付債権と変わりません。無担保が多いでしょうから、オーナーが破綻すれば、回収不能の可能性が高いのです。
競売になれば勿論のこと、そうならなくとも借金だらけでお金のないオーナーからの高額保証金の返還は期待薄です。 (名目は保証金であっても家賃数ヶ月分での実質的には敷金のものもあります。敷金部分については競売後の新オーナーが引き継ぐケースもあります。)

テナントの選択


 高額保証金が戻るか否かが心配なテナントが取るべき選択は何でしょうか。早めに保証金を精算し、オーナーの競売等ややこしくなる前にビルから退去することです。具体的には、家賃と保証金との相殺です。 保証金が家賃20ケ月分とすれば、20ケ月間家賃と相殺を続ければ保証金はなくなります。

  「テナントさんにはお世話になったから迷惑をかけたくない。銀行にもっていかれるくらいなら、保証金相殺を黙認しよう。」といったオーナーもいます。(ただし債権者からの家賃差押には対抗できません。) しかし、保証金相殺に応じないオーナーも結構います。

  「オーナーとしては確かに苦しい。しかし、テナントには家賃支払義務がある。だから相殺は許さない。ちゃんと払え。」

 さて、テナントはどうするでしょう。 オーナーが何と言おうとも、賃貸借契約終了時には未払家賃や遅延利息等は保証金と相殺にになりますから、契約違反と知りつつ、一方的に家賃未払いを開始するしかありません 。

オーナーの選択


 テナントの家賃未払いは明白な契約違反です。テナント側に家賃と保証金を相殺する権利はありません。家賃未払いが続けばオーナーは内容証明等により賃貸借契約を解除することになるでしょう。家賃未払が原因ですから、当然に契約解除は有効であり契約は終了します。その後のテナントは「不法占拠」となります。その結果、オーナーはテナントに対して損害金を求めることになります。

 ビル賃貸借契約で損害金は次のような定めが多いようです。

 「本契約終了時から明渡完了時まで、賃料の2倍相当額の損害金を支払うものとする。」

 賃料の2倍相当額と定められていれば、契約解除から明渡完了日までは賃料の2倍相当額がの損害金が蓄積され、最終的に保証金から相殺されることになります。家賃未払を開始し、契約解除を経て、20ケ月分の保証金を使い切るのには1年近くかかるでしょう

最終決着


 オーナー側では、賃料収入が2倍増になることになります。ただし保証金相殺になるので現金は入ってきません。 テナント側では保証金が1円も戻らないより、たとえ家賃は2倍になったとしても、その保証金から相殺したほうがいいということになります。保証金全額を使い切ってから退去しよう、ということになるでしよう。

  2倍相当額でなく単に「家賃相当額の損害金」だったり、損害金条項がなければ、家賃と同額が損害金です。損害金が家賃と同額となり、かつ最終的に保証金から相殺されるのならテナントは望むところになります。

 なお「家賃の5倍とか10倍」との高額違約金は、公序良俗違反として無効となるようです。

cats_back.gif





バードレポートとは


 
clip_blue_1.gif




前号

次号


関連する項目
不良債権処理
債務処理の税務
譲渡税買換特例
債務整理と企業再生

このレポートと同じ年分リスト
1999年リスト




あんしん生命資料請求
  • 使わなかったら払った保険料が全額戻ってくる医療保険

保険ショップインフォ
  • 地域から探す
  • 保険ショップの使い倒し方

保険ショップ


バードレポート

Google
Web検索
当サイト検索

バードレポート項目別
不動産ビジネス手法
不動産賃貸経営
不動産と金融会計
定期借地権定期借家
不動産証券化
債務整理と企業再生
不良債権処理
債務処理の税務
相続税対策申告
路線価評価相続評価
物納と相続税調査
譲渡税買換特例
住宅税制住宅減税
固定資産税
税制改正
その他不動産税制
その他税制
相続対策と遺産分割
生命保険
その他不動産関連
その他
トピックス版・年別リスト
カネボウ劇場
発行元情報

バードレポート発行順
発行年順リスト
clip_blue_1.gif
clip_blue_3.gif