兄弟喧嘩解消の会社分割




長男と次男の会社…兄弟喧嘩解消のための会社分割



バードレポート第253号1999年4月26日

2001年度税制改正及び商法改正での非按分型会社分割の扱い

2000年3月10日に、会社分割をを盛り込んだ「商法等の一部改正案」が国会に提出されました。法案によると対象会社から(1)対象会社の一部を独立した新会社として分社する方法と(2)対象会社の一部を別の既存会社に吸収させることにより分社する方法とが認められます。

そして新会社の株式、ないしは吸収会社から割当てられる株式は(1)対象会社に割当てる、ないしは(2対象会社の株主に平等に割当てる、ということになります。

以下のレポートのように会社を二つに分けたとしても、二つの会社を兄弟ふたりに完全に分けることの可否は明確にされませんでした。このように兄弟を分離するような会社分割を「非按分型会社分割」というそうですが、今回の法案には明確に盛り込まれておらず困難とも言われています。一方で、解釈上可能との意見も多いようです。

なお商法改正があったとしても、税制の対応ができていません。商法改正をみて2000年暮の2001年度税制改正大綱に盛り込まれると思われます。

このぺーじをスクロールすれば法務省のプレスリリースがみれます。

その他

参考資料

2000年3月21日/5月11日加筆

非按分型の会社分割については「商法上はできる」しかし「会計上での簿価引継ぎはできない」そして「税務上では譲渡課税となる」と決まりました。

商法はダメと書かれていないから、株主の反対がなければできるとの解釈です。

会計は日本公認会計士協会「会社分割に関する会計処理」公開草案2000.12.1で「事業の売却とみなして売買処理法を適用する」ということになり、簿価引継法は使えません。

税務は2001年度税制改正大綱の付記により、「分割法人の株主の持ち株数に応じて分割承継法人の株式が交付されるもの」ではないので、適格会社分割ではないこととなり、そのために非按分型会社分割を行えばその分割法人が資産を譲渡したとして課税を受けることになります。

商法でできるといった以上は、会計がどうであっても、税務問題をクリアできれば実行できます。「譲渡課税」だけならば、含み損物件(値下がり)の会社分割や別途損だしで対応できます。課題は分割される会社の株主に対する課税です。

新しい会社の株式を受け取とった株主に対しては旧株式について「譲渡課税」と「みなし配当課税」との組み合わせでの課税になります。「譲渡課税」は税制改正大綱で繰り延べとなりましたから課税回避です。問題は「みなし配当課税」です。課税されることが原則なのですが、当面1年間は「みなし配当課税」の課税凍結となりそうです。税制上で非適格となる非按分型会社分割について、この課税凍結になるか否か、現在のところ明確になっていません。(当初の報道は「対象となる」でしたが、その後「ダメ」との報道が1月の末になってからなされ始めています。)

もし「対象となる」となれば、当面1年間は「譲渡課税」さえなんとかすれば、会社分割は税務上心配なし、ということになります。

長い眼でみれば、このレポートのような相続問題が予想される会社は相続前の会社分割をしておくことです。その場合は課税問題をクリアできることが多いでしょう。

このレポートの最後で触れている不動産M&Aについても税制改正の影響を受けます。⇒

ここをクリックしてください。

2001年1月27日加筆

「みなし配当課税」の適用凍結について

法律案が公表されました。法人税法の附則で、一定要件の上での1年凍結が決まりました。しかし非按分型についての適用は絶望的です。「税制適格会社分割だと思ってやったけれども、最終的に適用できなかった場合」は課税しないとのことです。非按分型は最初から非適格です。凍結を適用するのは困難です。

今回の会社分割税制は、経団連と旧大蔵省主税局による、「大企業」による「大企業」のための税制です。中小企業のことなんか、なーんにも、考えていません。

大企業が使いやすいようにつくられた法律です。錦の御旗は国際競争力の確保です。国際競争力強化を目的としての、企業グループ再編と共同事業支援のためのものです。この法律のなかで5対1の比率を定めているところもあります。これはそうしないと、既に進行中の超大企業の企業再編がダメになるという理由で5対1にしたとか。またグループ再編後事業に大きく変化がなければ繰越欠損金が使えるようにしたのは、持ち株会社方式のある大手銀行グループのグループ再編ためだとか。そうでないと別の合併方式の大銀行再編グループと不均衡になるからだとか。経団連の担当者が、自慢気に、経団連会館で200人以上の前で堂々と明言していました。特定の個別の大企業を救うために法律案を誘導したというのです。もちろん国際競争力が確保することそれ自体に文句はありません。しかし中小企業はどうなるのですか。中小企業だって生きていくための要望があります。中小企業等も多い商工会議所等はいった何をしていたのでしょうかね。ひどいものです。

2001年2月17日加筆


BR990419BR990503BR長男と次男の会社…兄弟喧嘩解消のための会社分割

バードレポート第253号1999年4月26日

不動産の兄弟間共有はいけません。今は仲良くともいずれ、もめごとが起ります。そうでなくとも、次の世代には必ずです。

だから相続の遺産分割協議でも共有を避けるのが一般的です。

しかし会社となるとほとんどのケースで、検討もしないままに「共有状況」になっています。

財産保有会社の共有の解消


「不動産をたくさん所有している同族会社があります。この会社を創業したのは父親です。相続税対策として父親は、同族会社株式を評価60万円分づつ長男次男に毎年贈与しました。そして、父親は亡くなり残った同族会社株式を長男と次男とで相続しました。」

この結果として、この同族会社の株主は長男次男のふたりになり、会社は実質的にこのふたりの共有状態となります。株式は何株・何十株と分けやすく、不動産のように登記も不用なので、気楽に贈与し気楽に株式が分散してゆきます。長男と次男との仲が良好な時はいいのですが、いつまでも良好とは限りません。

会社をふたつに分けたいと思う時がいつか来ます。同族会社株式を例えば50%づつ所有しているのならば、会社の財産も半分に分けてふたつの会社に分けて、それぞれが100%所有の会社に2社すればいいのです。これが完全な「会社分割」です。

離婚禁止の日本の商法


「合併」が会社の結婚だとすれば「会社分割」は会社の離婚です。日本の商法は「結婚(合併)」は認めていますが「離婚(会社分割)」は認めていません。

長男も次男もお互いに家庭の事情があります。いつまでも仲良くはやっていけず、考え方に差が生じます。そうなると、大変な争いになります。お互いに別れたいのに商法が別れることを認めません。

税金を山程払うなら可能です。下記左のケースなら例えば次の方法もあります。(1)会社が次男に役員退職金を支給する。(2)長男は次男から会社の株式を買い取る。(3)次男はその金で新会社を設立してB不動産を買い取る。

しかし、退職金・株式売却・不動産売買と税金対象ばかりのオンパレードとなり、価格算定も丁度うまくいくとは限りません。

商法改正で会社分割


法務省は2001年の商法改正で会社分割を認める方針にしました。商法が改正されればそれに対応して税法も変わります。

どこまで完全な会社分割が可能になるかは、これからの法制審議会の審議によりますが、これまで不可能だったことが、可能な方向に変わることだけは間違いなさそうです。

兄弟喧嘩の究極の解消策になります。兄弟姉妹その他株主間に争いのある財産保有会社は商法改正を視野に入れて話し合いを進めたらよいでしょう。

不動産売却から会社売却へ


会社分割が認められれば不動産売買も変わるかもしれません。

不動産を会社が売却すると、売却益に対して約40%の法人税等です。その上で売却代金を配当や報酬等として個人に支払うと更に最高50%の所得税等です。

会社分割が可能ならば、まず売却予定不動産だけ所有する会社を会社分割します。そして「その不動産」を売るのでなく、「その不動産だけを所有する会社の株式」を株主個人が売却します。

現行税制なら株式売却益に対する税金は原則では利益の26%だけで済みます。不動産売買ではないので、買手は不動産取得税・登録免許税が不要です。



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平成12年2月22日 -

法務省プレスリリース

「商法等の一部を改正する法律案要綱」の概要


会社が,その組織の再編成を容易に行い得るようにするため,その営業を新たに設立する会社又は既存の会社に承継させるとともに,これらの会社の発行する株式を分割をする会社又はその株主に割り当てる会社分割法制を整備するためのものである。


立法の目的


(1)企業の再編成のための法整備


平成9年合併法制の合理化
平成11年株式交換制度の導入
平成12年会社分割法制の創設(予定)


(2)会社分割法制のニーズ


持株会社の下にある子会社の分割による企業の再編成を促進する。
事業部門の会社化による経営の効率性を向上させ,経営の監督の実効性を確保する。
独占禁止法の市場集中排除規制をクリアするための分割を可能とする。
コングロマリット・ディスカウントの排除による株価の上昇が期待できる。
中小企業の株主間の紛争を会社の分割により解決することを可能とする。
分社の手続を効率化する。


(3)諸外国の分割法制


アメリカ,ドイツ,フランス,イギリス,EU等は,いずれも会社分割法制を有し,企業の再編成のための法整備がされている。


法律案要綱(答申)の概要


(1)新設分割の制度の創設


分割により設立した会社に,分割をする会社の営業を承継させる「新設分割」の制度を創設する。


(2)吸収分割の制度の創設


既に存在する他の会社に,分割をする会社の営業を承継させる「吸収分割」の制度を創設する。


(3)分割に際して発行する株式の割当ての方法


分割に際して発行する株式の割当ての方法として,分割をする会社にこれを割り当てる方式(物的分割)及び分割をする会社の株主に割り当てる方式(人的分割)を採用する。


(4)分割の手続


分割計画書(新設分割の場合)又は分割契約書(吸収分割の場合)の作成
分割計画書等の事前開示
分割計画書等の株主総会の特別決議による承認
反対株主の株式買取請求権
債権者保護手続
分割の登記
分割事項を記載した書面等の事後開示


(5)簡易な分割手続


株主総会の特別決議を要しない簡易な分割の手続を整備する。


(6)分割の効果


分割により設立した会社等は,分割計画書等の定めるところにより,分割をした会社の権利義務を包括的に承継する。


(7)分割無効の訴え


分割手続等に瑕疵があった場合等には,株主等は,分割無効の訴えを提起することができる。



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