不動産の信用と会社の信用




不動産の信用と会社の信用---500万円単位の不動産証券化



バードレポート 1999年5月10日第255号

各紙に住友不動産さんの「完売御礼」広告が載りました。不動産ファンド一口500万円1302口65億円が完売です。利回り3.5%は銀行預金との比較で魅力です。

この匿名組合方式の公募ファンドは総額93億円で都心のビル1棟を所有し、その70%の65億円が優先出資として販売されました。残りの30%28億円を劣後出資として住友さんが出資します。

この劣後出資は利益分配・出資分配のいずれも優先出資の後順位になるものです。

優先出資は、受取家賃が減っても年3.5%が優先的配当され、その結果、劣後出資の住友さんは配当ゼロでも我慢します。劣後出資は全体の30%ですから、30%空室や30%家賃下落でも優先出資の配当は確保できます。

期間満了時に地価下落でも下落分は劣後出資がかぶるので30%地価下落でも元本確保です。

逆に家賃が値上りし、賃貸利益が増大しても、優先出資には増大利益の5%しか配当されず、95%は劣後出資の住友さんに配当です。キャピタルゲインに至っては100%住友さんのもの。

一定の下落は住友さんがかぶり、一定以上利益は住友さんが取る…というシステム。「信用補完」とも言えますが、買戻特約付サブリース物件のようですね。

さて公募に際し、ビルの価格はどう定めたのでしょうか。

「賃貸利益」(受取家賃等の25%を費用とみなし、受取家賃等から引いた額…すなわち概算純賃料)を4%で割り戻した収益還元価格が93億円で、それがファンド総額です。(物件価格は4%、出資配当は3.5%です)

この価格算定方法なら、家賃が30%上がれば不動産価格は自動的に30%上がり、家賃が30%下がれば価格も30%下がります。

収益還元利回り


では、この利回り4%は誰が定めたのでしょうか?

三菱地所さんが明治生命さんから新大手町ビル等を数百億円で購入するそうですがキャシュフロー利回りは約8%といいます(不動産経済通信99/4/28)。競売物件は10%超も多く、外資のハゲタカファンドが目指す利回りは10%近いようです。

ファンドでは都心の新しく優良なビルなので利回りを低く(=価格を高く)設定したようです。

仮に4%が適切としても、長期国債金利が上がれば不動産期待利回りは当然に上昇です。それが三菱地所さんのように8%となれば、家賃は下がらずともこのビル価格は半値になります。(期待利回りが倍になると価格は半値です。家賃20万円÷期待利回り4%=元本価格500万円⇒家賃20万円÷8%=250万円)

しかしこのファンドでは将来のファンド清算時には不動産価格を4%で評価し、胴元の住友さんが買戻すと約束しています。だから住友さんが元気な限りにおいては4%は心配なしです。

社債か?不動産証券化か?


証券化商品を買ったはずが、不動産価値ではなく住友さんの約束(信用)を3.5%利回りで買ってしまった…ということです。

かつて買戻特約付の投資不動産も有りましたが、胴元破綻で紙屑化したものも多いようです。会社の信用力担保ならば、社債発行か銀行借入が本来です。

住友不動産さんのムーディーズでの長期債格付けはBa3。Baa以上が投資適格ですのでBa3は「投資不適格」です。新規の社債発行は大変苦労するのでしょう。

格付けA3と「投資適格」の三菱地所さんの残3年の既発社債の気配利回りは1%台前半ですが、住友不動産さんでは信用力の違いか同条件で3%台後半です(日本証券業協会99/4/30)。

「財閥だし大企業だから心配ないよ」と考えるならそれもいいのでしょう。利回り3.5%なら社債並ということですから。

収益還元価格は家賃と利回りで決まります。利回り次第で価格は全く違うものになります。

価格とは利回りとも言えます。

米国には不動産インデックスなる不動産価格指標がありますが、「何ドル」単位表示でなく、利回りとして「何%」単位表示です。



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