税務果会計




税務果会計…買換で負債増・使途不明金は注記・赤字は財産



バードレポート第258号1999年6月7日

「税効果会計」という言葉をよく耳にします。会計上の利益と税務上の課税所得とは違います。その調整を図るためのものです。

銀行の税効果会計


銀行がA社への融資100万円を回収不能と判断し貸倒処理をしました。銀行の利益は100万円減ります。しかし税務署が貸倒処理をそのまま認めるとは限りません。「まだ倒産していないので税務では貸倒とは認めない。」

銀行会計上で貸倒として経費にしても税務署に経費とは認められずに税金が減らないということは多々あります。これを通常「有税償却」と呼んでいます。A社がその後に実際に倒産となると、税務署は「貸倒の100万円は今期の経費に認めます。」となります。(現実の倒産等の認定の基準は複雑です。)貸倒の100万円は倒産になってから経費になります。倒産の年に40万円の税額(100万円×法人税等税率40%)が減ります。

税効果会計では銀行が100万円を貸倒処理(有税償却)した年に、将来の実際の倒産年に減るはずの税額40万円をまるで「未収金」のように資産に計上し、自己資本は膨らみます。この額は大手17行で6兆円を越えます。

買換の税効果会計


税効果会計は99年4月以降開始事業年度での公開企業には強制適用です。そこでは「資産が増え自己資本増だ。」という都合の良い話ばかりではありません。

不動産売却で100の売却益が生じても事業用資産買換特例を使えば課税は20で済みます。会計上の利益は100にしたままで、課税所得だけを20に引き下げることも可能です。税金を払わぬままでも、損益計算書等の財務諸表では利益がだせるのです。

買換特例は非課税と違います。「買換資産を将来売却等したらその時に差額80の利益に課税しますよ。その条件でよければ今回はこの80には課税しません。」という課税の繰り延べです。

80すべてが利益でありません。そこに将来払う可能性のある税額が含まれています。税率40%なら80のうち32(=80×40%)は将来払うべき税金であり将来の負担になる負債とも言えます。これまではこの80全額を利益としてもよかったのです。しかしこれからはそのうち32をまるで「未払金」のように負債として会計処理をすることになります。

買換や収用等の課税繰延の特例を使ってきた会社は、これまでのこの負債を一斉に計上することになります。

銀行の税効果会計は資産が増えるからいいのですが、これら税務特例を適用した一般の公開会社では負債が増えるのです。

交際費・使途不明金の注記


税務申告上の交際費・寄付金・使途不明金の金額は第三者は知ることができませんでした。接待送迎ハイヤー代は交通費でも税務では交際費になることがあるなど、税務上での費目が会計上とは違うことがあります。

バックマージン・リベート等を会計上では堂々と処理しても税務上では支払先不明の闇金となりうる支出も多くあります。

税効果会計ではこれらが一定額を越えると財務諸表にその注記を求めます。疑惑の多いゼネコン等もこれらをオープンにする義務が生じます。商慣行に大きな影響を及ぼすでしょう。

赤字を財産に計上


「借金も財産のうち」「赤字も財産のうち」と言われますが、借金はともかくも、赤字は本当に財産になりました。

字により繰越欠損金が生じると翌期以降に利益をだしても税金を払わずに済みます。言いかえれば繰越欠損金とは「将来の税金を払わないで済む権利」でありそれを「資産」と考えます。

この将来払わないで済むはずの税額(=繰越欠損金×税率)をまるで「前払金」のように資産として計上します。「赤字」は会計上で本当に財産となったのです。


繰越欠損金は5年で切捨です。この「資産」は将来5年間の所得見込額が限度になります。明日のことすら分らぬ昨今、どうやって見積もるのでしょうかね。

注)「税効果会計」は上場企業その他公開企業に対して強制適用されます。公開企業以外は強制されません。


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