投資不動産は時価主義




投資不動産は時価主義会計…企業の土地神話は最終崩壊へ



バードレポート第264号1999年7月19日

世界統一会計基準


日本の会計制度で、土地は『原価主義』です。土地を購入すると帳簿には取得原価で計上します。その後に値上がりしても値下りしても、売却までは取得原価が帳簿価格に残ります。

戦後の土地値上がりで膨大な含み益が生じ「含み益経営」とも言われ、日本的経営や土地神話の大きな根幹になりました。

それが崩れます。

ワルシャワでは国際会計基準委員会の理事会で世界の統一会計基準作りが進んでいます。

ここで、投資不動産について『時価主義』を導入することが決まりました。(日経99.7.4)

時価主義では、値上りすれば売却せずとも利益等を計上し、値下りすればそれだけで損失を計上します。

ここでの「投資不動産」とは、「所有はしているが自社で使用していないもので、賃料収入や値上がり益を期待するもの、というのが定義だ。

これでいくと三菱地所のような不動産賃貸業はもちろん、生命保険会社の所有するオフィスビルや一般事業会社の持つ遊休地、貸しビルなども含まれる。


当初、賃貸業の集まりである日本ビルディング協会などの要望もあり、国際会計基準委員会で日本代表は投資不動産の概念の中から不動産賃貸業をはずすことはできないかと要望した。だが、これは受け入れられなかった。(日経金融99.3.11)」

原価主義は不動産価格上昇時に含み益を形成し、それが業績落込時の隠し玉になりました。

価格下落時には、いくら値下りしても「値下り損」計上の必要がありません。売却しない限りは会計上の損失がでません。

更に98年には、銀行救済のための「土地再評価法」が立法され、都合のいい場合にだけ、時価主義として事業用土地の含み益を計上できる仕組みにしました。

ゼネコン等所有の膨大な含み損の投資不動産には目をつぶり、銀行等の事業用土地の含み益だけは計上を許すという、何ともウサンクサイ恣意的な仕組みが現在の日本の会計制度です。

そんな日本企業の会計は諸外国から信用されていません。日債銀や山一等の実績を見れば当然とも言えますが。

日本企業への影響


国際会計基準で投資不動産の時価主義が決まっても、そのまま日本の公開企業がすべて従う必要はありません。

しかし日本の会計制度もグローバルスタンダードを無視できなくなっています。一部企業は率先して新基準に従うでしょう。

バブルでしこった土地を抱える企業は、膨大な含み損を隠しきれなくなります。


これまでは資本関係を薄くした受け皿子会社に飛ばして含み損を隠していましたが、それも連結決算の条件が厳しくなり、飛ばしきれなくなります。

一方、含み益の会社はそれ程苦労はありません。時価評価され、含み益が資産に計上され、資産と資本が膨らむだけです。

しかし時価評価されることで「こんなに巨額の資産があるのに、こんな僅かな利益しか出せないのか」、すなわち時価ベースでの総資産利益率や総資本利益率が低下し、無能呼ばわりされる大企業経営者が続出します。

本業がしっかりしていても、不動産価格の変動が会社の利益を大きく左右します。これは経営者には望ましくないことです。

これまで、土地は経営の安定化要因でしたが、これからの土地は明らかに不安定化要因になります。特に公開企業にとっての土地は爆弾ともなりえます。

企業活動の成果は会計の数字により表示され、当然に経営者の意思決定はその会計や会計制度を意識します。土地の継続保有や新規取得が有利でなく不安定材料となるなら、企業の経営者は必要な土地だけを残して、他を手放そうとするでしょう。

ワルシャワで決められる国際会計基準の投資不動産時価主義は、企業にわずかに残る土地神話を打砕く黒船かもしれません。


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