本社ビルも減損会計




本社ビルも減損会計…国際会計基準で土地所有は危険行為に



バードレポート第275号1999年10月11日

「販売目的不動産」や貸ビル等「投資不動産」について国際会計基準で時価評価による評価損益計上の動きがあることを前回のバードレポートでお伝えしました。では、本社ビルや営業所・工場の土地建物等「事業用不動産」といった有形固定資産はどのように考えるのでしょうか。

売却予定の全くない不動産です。取得金額をもとに減価償却をすればいいのではないのだろうか(取得原価主義)と考えます。しかし世界の常識には我々とは違うことも多くあります。

イギリスでの事情


「イギリスの古い建築物はほとんどが石造りで、二度の大戦の被害にも遭っていない。この国では地震もめったにない。ロンドンをはじめとする都市部には、築後すでに数百年を経ていまなお本社・本店などとして使用されているものが少なくない。

これらの不動産は、建物だけとか土地だけとかで売買されることはない。通常は両者を一括して「土地および建物」として売買される。不動産を貸借対照表に記載するときに、両者を分離せず、「土地および建物」としてひとつの資産のように処理するのはこのためである。

こうして土地とともに取得した建物を減価償却しようとすれば、(1)耐用年数の見積り、(2)土地と建物への取得原価の配分、という二つの問題に直面する。すでに数十年数百年の歴史をもち、手入れさえすればさらにあと数百年の使用にも耐える建物も少なくない。耐用年数を合理的に見積ることが非常に困難なのである。取得原価を土地相当分と建物相当分に分けることはさらに困難なことである。

こうした事情のため、多くの会社は土地と建物を一つの有機的な構成物とみなし、定期的に再評価(時価評価)を実施して建物に生ずる減価を認識しようとしてきたのである。

『時価主義を考える』田中弘著・中央経済社刊より

資産の「減損会計」


国際会計基準によると有形固定資産は取得原価主義が標準となっており、現在の日本基準と大きな差異は有りません。

ただし国際会計基準では取得原価主義であっても、時価が下落し、回収可能額が帳簿価額より下落している場合には、帳簿価格を回収可能価額まで引き下げる必要があるとされています。

つまり売却するつもりがなく、賃貸するつもりもない本社ビルや工場であっても、その価値が下がれば帳簿価格を引下げなくては行けないのです。これを資産の「減損」といいます。

減損会計の例


不動産は特例扱いされません。

 (1)ソニーが1989年米国コロンビア映画を買収し5年後には営業権2652億円を減損しました。(2)1997年に日立製作所が半導体製造用機械装置を443億円減損しました。(3)ブリヂストンは1998年期にバブル期に建設の社宅・研修センター等の土地の34億円の減損を計上しました。(税務通信99.10臨増・日経99.2.17)

急激な国際会計基準の導入

「鯨を食すは日本の食文化」と思いつつ、世界と友好的付合いをするため日本人は世界標準に従い鯨を食すことを諦めました。

企業はボーダレス化しています。そこでの世界標準は国際会計基準なのでしょう。

キャッシュフロー・税効果・連結・退職給付・金融商品時価評価等日本の会計基準は国際会計基準を急激に受入ています。減損会計も早ければ2001年3月期からと報道されています。(日経99.9.6)

不動産の低価法強制や減損会計導入は一部企業を倒産に追い込みかねません。しかし、世界に背を向けることもできません。

企業にわずかに残る日本の不動産神話をこっぱ微塵にするのは国際会計基準となりそうです。

不動産所有は企業経営にとって、経営者にとって極めてリスキーな行為となるのですから。

土地は大企業では売り一色となり、不動産の所有と利用の分離、すなわち「証券化ビジネス」への大きな追い風になります。


ご参考…販売用不動産と投資不動産は国際会計基準で評価損計上

バードレポート前号 第274号1999年10月4日


ご参考…投資不動産は時価主義会計…企業の土地神話は最終崩壊へ

バードレポート第264号1999年7月19日

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