メルマガ20071001




カネボウ劇場第7話 誠意やモラルは無用の株主総会/メルマガ



カネボウ劇場/予告編/第1話/第2話/第3話/第4話・場外乱闘編/
第5話/第6話/スティール&村上編/第7話/第8話/カネボウ再生に学ぶ
▼バードレポート カネボウ劇場第7話
 誠意やモラルは無用のカネボウ総会・鑑定株価はTOB価格の2倍
 オカネの争いでの裁判所を舞台にした戦い方
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●誠意やモラルは無用のカネボウ総会・鑑定株価はTOB価格の2倍
                    (カネボウ劇場第7話)

…これまでのあらすじは、次を参照ください。
○国際金融の常識というけれど…乱用的買収者と実刑判決
                   (スティール&村上編)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM070723.html
○カネボウ解散株主総会 特別背任で告発の取締役は何考える?
                    (カネボウ劇場第6話)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM070630.html
○株主総会の決闘 ファンド資本主義 VS カネボウ一般株主
                    (カネボウ劇場第5話)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM060630.html
○カネボウの営業譲渡禁止仮処分。裁判官と弁護士は。
                    (カネボウ劇場第4話)
 弁護士の始める提案型訴訟ビジネス (カネボウ劇場 場外乱闘編)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM060516.html
○映画「ウォール街」とカネボウ「解体と営業譲渡」
                    (カネボウ劇場第3話)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM060420.html
○国産ハゲタカファンド VS カネボウの一般個人株主
                    (カネボウ劇場第2話)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM060412.html
○「三洋電機とカネボウの正々堂々の脅迫状」
                    (カネボウ劇場第1話)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM060316.html
○カネボウ旧経営陣による粉飾決算2000億円
                    (カネボウ劇場予告編)
  http://www.bird-net.co.jp/rp/MM050420.html


●旧カネボウの臨時株主総会

 旧カネボウ(現社名は海岸ベルマネジメント)の臨時株主総会が9
月26日に行われました。極めて簡単な「解散時財産目録」が提示さ
れ、これにより株主への残余財産の分配が決まります。

 カネボウをずっと見守ってきました。「ひどい」と思ったことは
数知れませんが、今回は本当にひどかった。

 事前質問を含め、個人株主から様々な質問があります。その多く
について「議題に関係ない」「知りうる立場にない」として回答し
ません。

 ファンドから送り込まれた旧取締役(現監査役・新任清算人)、小
森哲郎・竹井友二・林竜也の三氏が並びますが、3名とも一言も言
葉を発しないまま株主総会は終了しています。

 彼らに対する質問も本人は一切答えずに、スタッフ(補佐人)が「
…と彼は言っている」というようにしかしか答えません。答えるべ
き本人がそこにいるのに…。

 もっとも、翌日にはこの旧取締役相手の株主代表訴訟判決を控え
ていますので、仕方がないともいえるのですが。

 旧カネボウの内部関係者による内部告発も、この質問の場で飛び
出しました。

 進行中の訴訟の実態。100億円もの資金を投下したカネボウブラ
ジルが売られたこと。質問者は1ドルで売られたといっていますが、
会社側は海外ファンドに売却したことは認めましたが幾らで売った
のかは答えません。

 ファンドこそ最大の利害関係者のはずです。しかしファンドから
派遣された人間が清算人となって、そのままカネボウを清算してい
きます。

 ある株主は質問で「誠意がない。モラルがない。事実をオープン
にしろ。」。こんな質問もありました。「こんなことをやって、自
分の子供に、親として恥ずかしくないのか。」。

 今回の株主総会はわずか2時間でした。前回は4時間近く。大量の
質問者を残したままで、議場出席者のほとんどの反対の中、怒号が
響き渡る中、議長席に押し寄せる個人株主の前をカネボウ関係者が
壁になってさえぎり小競り合いする中、議長と数人のファンド側株
主とのアイコンタクトだけで、議長解任動議を否決し、議案を次々
議決していきました。

 誠意やモラルはまさに無用の世界です。


●東京地裁 カネボウ株主代表訴訟判決

 株主総会の翌日、500人の株主による株主代表訴訟の判決があり
ました。

 カネボウが営業譲渡した対価400億円余について、譲渡先が免責
的債務引受で別会社に債務引受させまました。

 カネボウ側から見れば400億円を回収する先が実際に営業譲渡し
た先から、カネボウの株式をもつだけの会社に代わってしまったと
いうことです。カネボウの取締役がそれを承認しました。

 カネボウの取締役は1名をのぞいてファンド出身者。譲渡先もフ
ァンド関連。債務引受先もファンド関連。

 このなかで取締役はカネボウの利益のために仕事をしたのではな
くファンドの利益ために仕事をして、カネボウに損害を与えたとい
う訴えです。取締役に400億円を請求します。

 判決は棄却です。取締役への請求は認められませんでした。

 債務引受先の資力は計算上ではありそうだし、産業再生機構がス
ポンサーとして選定したほどの会社の関連会社だから、支払能力は
ありそうじゃないか。だから損害が生じたとはいえないでしょう。
という判決です。

 今回の論点は免責的債務引受だけでした。しかし他に論点もあり
ます。400億円が安かったのではないか、なんで400億の貸付をこん
な低金利にしたのか等。裁判は続くかもしれません。

 http://www.bird-net.co.jp/rp/MM070630.html
 「個人株主質問に沈黙してしまう取締役たち」

 ファンドで仕事をするということは大変です。いちいちこのよう
な訴訟に個人として訴えられます。ここまでやらないといけません。
もっとも負けても賠償額そのものはファンドが負担するのでしょう
けれど。


●株式買取価格の鑑定価格が裁判所に

 カネボウの162円でのTOBに応じなかった少数株主が、株式の
買い取り請求を起こしました。162円なんかじゃなくてもっと高い
はずだ。カネボウ側はTOB価格と同額の162円を主張します。

 株主側はいくつかのグループに分裂しているので複数の株価鑑定
評価がでており、金額的には700円から1800円程度です。

 裁判所として適正な買い取り価格を定めます。その価格に大きな
影響を及ぼすのが、今回の裁判所が選定した専門家による鑑定価格
です。代表訴訟の判決翌日に鑑定書が裁判所に提出されました。

 1株323円でした。

 過去のTOB価格は162円ですので、その丁度2倍です。

 TOBに応じた1万人を超える株主が、ファンド側脅迫的文書(「
カネボウの解散の可能性についても検討することを予定しています
…」)もあって162円、でTOBに応じ売ってしまったのです。本当
は323円の価値があったかもしれないのに…。

 この金額ので決定するとすると、TOBに応じた株主は162円、
訴えた株主は323円、TOBにも応じずかつ訴えなかった株主は会
社の残余財産の分配価格(162円より低くなりそうです)で、それぞ
れ株式が換価されていくことになります。323円との差額はファン
ド側の利益となったといえるでしょう。(もっとも323円が正しいか
どうかは別の問題ですが。)

 悲しいのはTOBに応じずに、かといって裁判所に買い取り請求
をしなかった株主で、残余財産の分配額は162円よりもかなり少な
くなる見込みです。ちゃんと戦わなくては自分の財産を維持できな
い時代です。


●今回の株式の鑑定評価 (興味なければ読み飛ばして下さい)

 今回の鑑定はDCF(ディスカウントキャシュフロー)法を採用し
ています。将来のキャシュフロー(収益)を一定の割引率で現在の価
値に引き直したものです。

 DCF法ですから、割引率やキャシュフローをどう決めたかなど、
専門家にとっては興味深い点が多い鑑定評価書です。ちなみに割引
率は6%台、キャシュフローは平成18年度から平成25年度までの8年
分の事業収益を使っています。

 平成21年まではカネボウの数字をそのまま使い、平成22年度以降
は推定値です。「営業利益が継続するとの仮定を置いている」「成
長率を0としている」「減価償却額と同額の設備投資が行われると
仮定」「2010年3月期の計画値が永続的に続くと仮定」といったよ
うに仮定だらけのキャシュフローです。

 なおカネボウ側の鑑定価格は次のようになっているようです。今
回の鑑定書に記載されています。鑑定をしているのは上場コンサル
会社の関係会社です。
  ・DCF方式 120円
  ・類似業種価額方式106円
  ・時価純資産価額方式33円
  ・配当還元方式67円
  ・売買実例比較方式162円(これはTOB価格)

 そもそもTOB価格の162円は第三者による鑑定(みずほ証券によ
るものと言われています)による価格です。その鑑定はいったい何
だったのでしょうか。今回の鑑定でも基礎数値は同じ数値が使われ
ているはずなのですが。

 また一連の株価算定の流れの中で東京大学の神田秀樹教授の鑑定
意見書がでています。商法会社法の権威による意見書ですので、ち
ょっとご紹介しておきましょう。

 「以上のとおり、私は、本件のように、議決権の総議決権数に対
する割合が総計でも約4.3%にとどまり、会社の支配権には関係な
い株式については、その保有によって享受できる経済的利益は会社
から受ける利益配当の額を超えることはないから、その買取価格の
評価方法として、理論的には配当還元方式が正しいと考える。」

 「他の方法を用いることの論理的妥当性を検証しない以上、原則
とされるべきは配当還元方式であって、配当還元方式に基づく評価
額を実際の算定の困難さ等の点において調整するという限度でのみ、
他の方式を用いることが認められると考えるべきである。」

 権威による意見書ですので私などが口をだせるものでもないので
すが、このような買い取り請求事案についても「配当還元」で評価
しろ、ということなのです。さて配当還元価格と本来の時価との差
額は誰に帰属するのでしょうか。個人株主の買い取り価格はすべて
配当還元になってしまうんですね…。なおカネボウ側の鑑定による
と配当還元なら1株67円です。

●オカネの争いでの裁判所を舞台にした戦い方

 カネボウ側はこの神田教授の鑑定意見書をもとに配当還元が正当
であるとの書面を裁判所に提出しています。権威ある意見書や正当
性のありそうな意見書を出して、「だから我々の言うことが正しい
」というのが、このような裁判での闘い方です。

 権威からのこのような意見書がでてくれば、DCF法を使おうと
した裁判所からの鑑定人だって多少はビビッてしまったはずです。
それも狙ったのでしょう。

 もちろん権威に対する意見書依頼は「このような結論をお願いで
きれば…」であることが実務です。

 意見書を書く側だってビジネスです。ビジネスだから依頼者の利
益のために書きます。ビジネスですから当たり前です。

 これがこのような訴訟での戦い方です。自らの主張にそった有利
な鑑定書や意見書を権威筋に書いてもらえるか否か。また優秀な弁
護士をそろえることができるのか。

 株主総会での「誠意がない。モラルがない。事実をオープンにし
ろ。」との株主の声に私はうなづいてしまいます。

 でも民事でのこのような訴訟になれば、誠意もモラルも関係あり
ません。勝てばいいのです。このようなファンド絡み裁判に正義と
か公正なんて求めちゃいけない。裁判官にこちらの意見を正しいと
思い込ませて、勝てばいいだけです。

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