定期借地の相続税の実際




定期借地の相続税の実際…保証金債務と底地物納に関連する資料(概要)



バードレポート299 2000年4月10日号 定期借地の相続税の実際…保証金債務と底地物納に関連する資料


関連資料・・ スクロールすると以下の順に並んでいます。
1.定借最前線 定借論壇 「悩む相続税対策」住宅新報1995.8.18.より
2.審査請求書 審査請求の理由 
3.国税不服審判所 裁決書

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定借最前線 定借論壇 「悩む相続税対策」住宅新報1995.8.18.

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その後の評価の改正もありましたが、状況は現在も同じです
改正内容は、上記「関連するバードレポート」をご覧下さい。

平成4年の定期借地権制度創設

 農地の宅地並課税、路線価引き上げ・固定資産税評価額の引上げ。地主さん苦難の時代の到来です。
 地主さんがアパートを建築しても、その建築が地主さんの本当の「目的」とは限りません。「相続対策」が「目的」であり、「建築」は単なる「手段」だったりします。
 地主さん自身も気付いていないその相続対策という「目的」を明らかにしてさしあげ、その「目的」を達成させてあげれば、その結果として「手段」たる不動産が動きます。
 平成4年の改正借地借家法が施行は、地主さん苦難の時代を狙って施行されたとしか思えないほどの絶妙なタイミングでした。そして、相続コンサルと定期借地権推進が結びつくことは当然の成り行きです。そして、このあたりから私の悩みが始まりました。
 固定資産税対策を兼ねた土地活用が「目的」であれば定期借地権は「手段」として光り輝きます。しかし、相続税対策を絶対の「目的」として、そこに定期借地権を「手段」として立ち向かわせようとすると、苦しさで頭の奥がうずきだします。
 相続税対策は節税と納税とに分かれます。節税とは評価額を引き下げ税を減らすこと、納税は発生する税額をスムーズに納税できるように財産の組替え整理することです。
 節税に定期借地権を活かそうとすると絶壁から落ちるような絶望感を感じます。定期借地権の設定された土地の評価額が高すぎ、かつ保証金の債務控除について圧縮計算するからです。なにしろ定期借地権設定により相続税が増大することすらもある程です。
 節税ではなく納税に定期借地権を使おうとすると、絶望こそしませんが、生ぬるいビールを炎天下で飲む気分です。
 保証金で相続税の納税はできますが、土地値の2割程では帯に短し・・・。物納するなら保証金を返済しろといわれます。債務控除では圧縮計算して相続税を多く取られるのに、その保証金について額面満額返済しろというのでは不合理不条理です。保証金がダメなら権利金と思っても、権利金受領時の所得税額には眼の玉が飛び出ます。

「残す土地」と「あきらめる土地」

 相続税対策は「残す土地」と「あきらめる土地」との区分から始まると、私は思います。「あきらめる土地」を物納なり売却なりが可能な状態にならしめ、「残す土地」を相続税から救います。定期借地権設定ではその土地をどちらの区分に入れるかが天下分け目です。
 定期借地権の唯一最大のデメリットは「50年間の長期に渡り土地活用が固定され、社会情勢の変化に対応したフレキシブルな対応ができなくなくなること」だと思います。50年固定されるのなら「残す土地」とするしかありません。例外は物納を前提として「あきらめる土地」とすることでしょう。
 「残す土地」にするならとことん節税したいものです。しかし土地評価と保証金評価の問題で節税になりません。保証金と地代のキャッシュバリュ−に注目すれば「残す土地でありながらも納税用にも使える便利な土地」ともいえますが、中途半端です。保証金と地代とで相続税を納税するためには所有土地のかなりの部分を定期借地権にしなくてはいけません。すると将来に対するフレキシブルな対応ができません。「あきらめる土地」として物納するのなら保証金返還の問題が出ます。また物納制度がこのまま続くのかとの不安もあります。「あきらめきってしまう土地」ならば生前売却や更地のままという方が説得力があります。
 相続対策で定期借地権は四面楚歌。頭が痛くなるのもお分りいただけるでしょう。地主さんの最大の興味は相続税です。定期借地権が相続税対策になるのならば、土地供給は更に一気に進むのですが。

保証金方式と権利金方式

 悩みの元凶は保証金の取り扱いです。保証金の課税方式が変わるのか、それとも保証金課税を避けて権利金に進むのか。保証金の性格が議論されているようです。また将来の流通の観点からは保証金より権利金といった議論もあるようです。
 今の私にとっての救いは、権利金方式、または権利金保証金いづれもなしの定期借地権です。もちろん一番望ましいのは、税制が現実対応して変わることですが、そうでなければ実務家として現実対応するしかありません。
 保証金方式全盛の世の中で、物納でとってもらうために、権利金方式の契約書をつくりながら、「世間様と違うこんなものをつくってしまってバチは当たらないだろうか。」と悩み続ける毎日です。


審査請求書 審査請求の理由

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保証金債務控除額について

1.借地人からの解約自由について

 現在における一般的な戸建住宅の定期借地契約では、そのほとんどの契約において、借地人からの契約途中での「解約権」が何らの拘束なく認められている。もちろん解約に際しては保証金は元本全額が土地所有者から借地権者に対し返還される。

 定期借地権の設定に際し授受される無利息保証金により土地所有者が享受する経済的な利益相当額は、定期借地権の設定に際し授受される権利金と同様に、土地所有者にとっては前受地代、借地人にとっては前払い地代を構成することは事実である。

 しかしながら、このように保証金の経済的利益は前受賃貸料の一部の性格はもつものの、賃借人からの解約が自由に認められていることを考えれば到底確定したものということはできない。借地人は当該土地を期間満了まで利用する権利はあるが、借りなけばならない義務はなく、一方的に解約をすることができる。そしてその際は、例え50年間の定期借地権契約の1年後であろうとも、土地所有者はその保証金全額を返済する義務を負う。

 期間満了までは賃借人からの解約禁止が定められていれば、経済的利益として財産として算定し、債務額面金額から控除する考え方もあろうが、借地人よりの解約自由であれば、この経済的利益は確定したものではなくいわば未実現である。そのためこの経済的利益を債務額から控除すれば未実現の財産に対する相続税の課税となってしまう。

2.本件における借地人との合意解約について

 なお、本件定期借地権が設定されていた貸宅地のうち1筆については、相続税納税のために売却をした。(○○−○−○、契約日平成8年8月2日、保証金債務額500万円、相続税上の債務控除額27万円)買主は土地賃借人であり、まず定期借地契約を合意解除し、保証金債務は500万円として売買代金の一部として額面により、手付金に充当した。

 これはその保証金につき借地人からの請求により解約し、保証金を額面満額にて返還したことと変ることがない。売買対価としてはその債務を現在価値の27万円としてではなく、500万円としている。

 これは、額面500万円の保証金を500万円として返還したことを示している。500万円と27万円との差額の473万円は未実現のままであり、未実現の財産に相続税が課せられたこととなっている。

 また、相続税納税のために額面満額で返済した債務について、相続税計算にあたっては、額面500万円のわずか約18分の1の27万円でしか債務控除されないのは不合理としか考えられない。

 なお、土地売却にあたっての譲渡所得の申告にあたっては、その保証金債務の額面金額を収入金額として計上を行っている。

 所得税法36条では、経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利の経済的な利益の額をもって収入金額とすべきとなっている。額面500万円を経済的な利益の額として所得税の申告を行ったのであるが、保証金債務につき複利現価による現在価値が時価であり経済的な利益の金額だとすれば、譲渡所得の収入金額については額面ではなく、その現在価値を収入金額とすべきなのであろうか。

3.利息相当額の経済的利益の考え方について

 またこの経済的利益が、借地人よりの解約禁止がされており、確定した経済的利益であったとしても、次の理由により債務金額から控除することに合理性がない。

 定期借地権による土地賃貸借契約の無利息保証金については、複利現価による経済的な利益相当額を算定し、債務額からその経済的な利益相当額を控除することにより評価を行っている。利息相当額を経済的利益相当として、債務の額面金額より控除したこととなる。

 一般に本件のような定期借地権においては無利息保証金をさしいれることが多く、定期借地契約を含め不動産の賃貸借に際しては、無利息保証金等を差し入れる場合には、それに見合う賃貸料相当が、当該保証金等のない賃貸借に比して低く約定されるのが普通であると認められ、したがって、不動産所有者は通常の場合に比較して少ない賃貸料しか得られないことになるが、保証金の運用益を折り込むことによって、不動産の賃貸による運用利回りを計算することが普通である。

>  無利息保証金の経済的な利益相当額が、当該賃貸借の相続開始後の賃貸収入に対応しないものであれば、確かに相続財産の一部として債務額から控除することによって課税価格に算入すべきと思われる。しかしながら、おなじ無利息保証金の経済的な利益相当額であっても、当該賃貸借の相続開始後の賃貸収入に対応する部分の金額は債務から控除する必要がない。(昭和57.6.14裁決)

 本件保証金債務は、形式上長期かつ無利息であるが、それは、本件保証金の利息と本件土地の賃貸料の額の一部とを相殺して単にそのように約定されているものであり、実質的には本件保証金債務額から控除されるべき経済的利益の額(すなわち、相続開始後の期間の賃貸収入とは対応しない経済的利益の額)はないものと認められるから、単に形式的に無利息であるからとして当該債務の額を算定することは相当でない。

 また、所得税の課税の上では、定期借地権の無利息保証金についてその運用益を不動産所得に計上すべきとの取り扱いがなされているが、このような課税を行うのは無利息保証金の経済的利益相当額を賃貸収入に対応するものと考えればこそであろう。

 相続開始後の賃貸収入に対応する経済的利益については、相続開始の時点では、未実現のものである。当然に保証金債務額から控除する金額も存在しない。また相続開始後の賃貸収入に対応する経済的利益相当額に対し債務額から控除することにより、相続税の課税をするとなれば、それは将来の地代所得に対する課税であり、相続税と所得税との二重課税となる。

4.本件物納に際しての賃料改訂の指示

 なお、本件土地の内2件を物納申請したところ、○○国税局より、「物納申請不動産に関する書類の補完等の通知書」が発せられ、次の指示があった。

 「保証金を清算した上で、保証金の授受のない賃料の改訂を検討してください。

 (理由)将来、借地人へ返還となる保証金の債務を国は引き継ぐ事ができないため。また、国との契約は保証金の授受を伴わないため。」

 これは、保証金を清算することにより、その経済的利益(相続開始後の賃貸収入に対応する経済的利益)がなくなるために、その地代そのものを引上げるようにご指導を受けたものと理解している。 以上


予備的主張

 平成9年6月23日大津地裁判決では後発事情も斟酌することとなっている。財産評価基本通達1.でいう「すべての事情」にはこれら事情まで含まれる。
  三越木屋事件(昭和47年最高裁)は、権利金の価値の認識したものであるが、本件は57年裁決と同様に地代補完の立場に立ったもので、同列に扱うのは不相当である。またまた、三越木屋事件は、租税回避目的の特殊例であるが、本件は57年裁決と同様に一般の経済取引によるもので、この点からも同列に扱うのは不相当である。





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