実録不良債務処理




実録不良債務処理 第7回 担保売却後の残債



実録不良債務処理 住宅新報1997年5月16日から7月4日まで連載 
第1回 不良債権処理と不動産第2回 資産家の相続税対策の清算第3回 苦しい連帯保証人第4回 マイホーム売却損第5回 土地売却で会社債務整理第6回 銀行は会社清算を要求第7回 担保売却後の残債第8回 最後の切り札・滌除
この原稿は97年春に書かれています。その後に税制の改正もあり・金融監督庁の対応も変わっていますので、現在とは異なるところもあります。またその後の貸し渋り等を経て、経済環境も大きく変わっています。そのために現在になじまない内容も有りますが、ご容赦下さい。特に金融機関の対応は、その後極めて厳しくなっています。この原稿は今となっては金融機関に対して好意的過ぎる内容になっています。バードレポートと重複する部分もあります。

住宅新報1997年6月27日号掲載

 「給料の差押え」とか「公正証書による借用証書」とかは、消費者金融等が行うもので、大手の銀行が行うようなものではないといわれていましたが、今ではそうともいえないようです。
 一流企業にお勤めのAさんが、相談に見えました。大手の銀行に給料の差押さえをされたとのことです。その上で公正証書による借用証書の作成を迫られています。Aさんは、バブル期に自宅を担保で不動産投資に手を染めて失敗しました。借入返済が苦しくなり一方的に突然返済をストップしてしまいました。しかも銀行への説明や話合いを一切もせずに、銀行からの内容証明や裁判所からの文書等が送られてきてもすべて無視しました。
 するとある日、勤務先の会社の社長宛に給料差押えの命令が届いて、上司から「おまえは、一体どうなっているんだ」と大騒ぎになったそうです。
 この段階でのAさんの失敗は、銀行に対して誠意がなかったことです。銀行としてもAさんと話をしたいのですが、それができなければ嫌がらせの「給料差押え」でもして、Aさんを話し合いのテーブルにつけさせるしかありません。返済不能になったとしても、それなりの誠意ある説明と返済への努力は必要不可欠です。
 結局、Aさんは自宅と投資不動産を売却する方向になっています。自己破産も考えたようですが、不動産を任意売却し、手数料・測量費等を差し引いた残額を銀行に返済し、残債については給料から少しずつ返済していくことになりそうです。
 Aさんは勤務先に恵まれていました。「給料差押え」となっただけで退職を迫る会社もあるようですが、Aさんの会社は社宅を用意してくれました。自宅売却後の住まいは当面は確保できました。
 さて、問題は、売却後の残債の借入条件です。銀行としてみれば、無担保となってしまうので債権保全のためにいろいろな要求をしてきます。「公正証書での借入証書」と「保証人」です。
 「公正証書での借用証書」にすると、いざとなれば給料・退職金・動産等の差押え等が簡単にできることになります。今回のAさんに対する給料差押えに際しても、そこに至るまでに銀行は裁判所等に通い時間と金をかけています。Aさんが異議申立をすれば判決までもが必要なはずでした。ところが「私の返済が滞ったなら、強制執行されることを承諾します」の一文が入っている公正証書にされていれば、面倒なしに簡単に「差押え」ができることになります。
 リストラや事故病気が無いわけではありません。返済したくともできないことも起こるでしょう。銀行は国が守ってくれますが、自分と家族の生活はAさんが守るしかありません。まさかの時の生活を守るためには「公正証書」には応じられません。
 そして、銀行は社会人になったばかりの子を「包括根保証人」にしろといいます。Aさんの返済が滞ったならば、子供から回収したいのでしょう。包括根保証の契約書は、紙1枚の簡単な書類です。しかし中身は大変重いものです。現在から将来に至るまで一切合切を包括してすべて連帯保証するということです。
 Aさんがすべきは、借金を自分一人だけで抱え込むことです。自分が返済できるものは誠意を持って返済し、完済できずに自分が死んだら妻子に相続放棄をさせて、借金をこの世に残さずあの世まで待っていくべきです。また、生きている間にもリストラ等返済不能の事態やその結果の自己破産の可能性もあります。妻子を保証人にしてしまえば、その時は妻子は借金地獄にまっしぐらです。借金は自分一代限りにして、妻子に残してはいけません。
 任意売却に際しては、このような交渉が必要なこともあります。弱気になって銀行の求めに応じるのは悲劇の始まりです。Aさんは「そんな条件ならば、任意売却でなくていい。競売にしてくれ。」との粘り強い交渉を続けています。


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