進化する不動産




進化する不動産 第2回 容積率移転



進化する不動産 住宅新報1998年10月9日から12月4日連載
第1回 証券化第2回 容積率移転第3回 自己責任第4回 効率経営第5回 貸し渋り第6回 建物第7回 収益還元

>住宅新報1998年10月16日号掲載

 日本の基準からみれば米国は不思議な国です。余剰容積率移転が可能なのです。
 映画「ティファニーで朝食を」でも有名なニューヨークのティファニービルは余剰容積率を大きく残しています。隣接地に不動産王と言われたトランプ氏が超高層マンションを建設するにあたり、余剰容積率を隣接地に移転し売却しました。日本にあてはめれば、文化財としての維持管理費を捻出するために、札幌時計台の余剰容積率を隣接ビルに売却するといったことがおきるのでしょうか。
 容積率を隣接地に移すばかりではなく、離れた土地に飛ばす制度もあります。
 ロサンゼルス市は図書館を改装しようにも資金が足りませんでした。そこで、市の中心にある公園敷地の余剰容積率をそこから離れた商業ビル用地を所有する民間会社に売却しました。その民間会社は買った容積率をつかって超高層ビルを建築し、市はその資金で図書館を大改装しました。もちろん公園はそのままで、容積率について抜け殻状態になっただけです。日本にあてはめれば、日比谷公園について現況そのままでその余剰容積率だけを、三菱地所さんに売却し、その資金で日比谷図書館が新築され、三菱地所さんはその余剰容積率で丸の内を超高層化するというようなことがおきるのでしょうか。
 日本でも容積率の売買がなされています。東京都千代田区内幸町には、プレスセンタービル・富国生命生命ビル・日比谷国際ビルの3つのビルが一つのブロックを形成しています。ここは「特定街区」という開発手法で一体的に開発されているが、各ビルはそれぞれ別の所有です。プレスセンタービルだけが比較的低層で、他の2つのビルは超高層です。プレスセンタービルはわさざわざ小さなビルを建築し、残った余剰容積率を他のふたつのビルに移したのです。
 日本ではこのように事例はあるものの容積率売買は一般的ではありませんでした。それは「特定街区」「総合的設計」等の再開発事業によるもので、すべて新築の場合に限られるのが原則だったからです。
 それが、建築基準法改正により大きく変ることとなります。「連担建築物設計制度」の創設です。大規模再開発でなくとも、またすべて新築でなくとも、既存建物の余剰容積率について隣接地への移転が一定条件により可能になります。容積率を「飛ばす」ことはできませんが、隣接地への「移す」ことは可能になってきます。
 都市部の古い商業地は、既存不適格建物が多いようです。新築すればいまの建物より小さくなってしまうので、建替えが進みません。東京の「銀座」も同じ状況です。そこで行政サイドでは建替え促進のために、最大300%の容積率割増を検討しています。
 容積率割増は錬金術となるかもしれません。割増を受けた容積率の売却が可能になるかもしれませんから。
 大手町の丸ビルに隣接地に、三菱商事さんが借地権を有するビル敷地があります。このビル建替えにあたって300%の容積率割増を受けました。ところがこの割増分容積率のほとんどは、三菱地所さんが地主の丸ビル敷地に移されてしまいました。割増を受け、その割増分を移せたのです。
 これからはこういった取引が、もっとずっと一般的なものとなるはずです。
 土地の価値は、そこに建物を建てるばかりでなく、より複雑なものへと進化しつつあります。


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