進化する不動産




進化する不動産 第5回 貸し渋り



進化する不動産 住宅新報1998年10月9日から12月4日連載
第1回 証券化第2回 容積率移転第3回 自己責任第4回 効率経営第5回 貸し渋り第6回 建物第7回 収益還元

>住宅新報1998年10月16日号掲載 

 なぜ不動産を買ったのでしょうか。 バブル期はキャピタルゲイン狙いでした。投資用は勿論のこと、サラリーマンのマイホームだって値上がり期待でした。
 そしてバブルが崩壊し不動産価格下落後にもワンルームもファミリー向けマンションもよく売れました。この時期、なぜ不動産を買ったのでしようか。  それは投資利回りです。物件価格が値下りにより物件の投資利回りが上昇しました。借入金利は低く、毎月の持ち出なしでの不動産投資も可能です。ファミリーマンションも同様です。物件は安く金利は低く、家賃を払うよりもローンを払うほうが安くなったからです。
 買った理由でなく、買えた理由もあったはずです。それは、金融機関が融資したからです。バブル後の銀行の悩みは「借りたがる」取引先ばかりで、「貸したい」取引先がないこと。優良な取引先が融資申込みをしたならば、不動産投資であっても、喜んで貸してくれました。
 法人であれ個人であれ、優良な取引先への融資や住宅ローンは大丈夫でした。だから買えたのです。買いたい理由と買えた理由が揃ったから売れたのです。
 しかし、今は貸し渋りです。たとえ優良な取引先であってもダメです。買えた理由は消滅しました。
 ニューヨークのエンパイアステートビルの展望台からは建設用クレーンは二本しか見えません。最近でこそ景気後退が心配されるアメリカですが、ここ数年は絶好調でした。さぞオフィスビルの建設ラッシュだろうと思います。しかし、ニューヨークのマンハッタンで過去5年で建築されたオフィスビルはたったの一棟です。
 一方で東京タワーの展望台からは三十本を越える建設用クレーンを見ることができます。日本は空前の大不況のはずなのに、この差は何でしょうか。
 アメリカでは不動産には融資が付かないのです。何も収益を生まない土地の購入になどに融資はつきません。それではと土地だけは自己資金で取得しても、それでもビル建築資金の融資はでません。事前にテナントが決まり、建物完成後のキャッシュフローが確実とならない限りは融資がつきません。短期で資金回収が可能な分譲マンション(コンドミニアム)には資金がでても、長期資金のオフィスビルには資金が出ないのです。
 クレーンが少ないのにはこういった事情も大きいようです。もっとも余りの好景気に、ここ一年は地上げまでも始まったようですが。
 私達は不動産と金融とを分けて考えがちでした。しかし今や不動産の基本は金融のようです。買いたい理由があっても買える理由(=銀行にとっての貸したい理由)がなくては買えません。そして銀行が融資する金額がその不動産の価値になるとも言えそうです。
 さて日本の銀行は生き残り競争中です。「行け行けドンドン」に戻るはずもなく、「貸し渋り」が通常の姿になるでしょう。
 その状況で何が起こるでしょうか。売手買手のバランスが崩れ、不動産への期待利回りは上昇しています。魅力的投資商品をつくりやすい環境になっています。
 新しい不動産金融も始まるでしょう。横並び融資からリスクに応じ金利に差がつくようになり、不動産の証券化による直接金融も始まります。「貸し渋り」の時代は工夫が要求されはしますが、大きな新しいビジネスチャンスの時代です。


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