進化する不動産




進化する不動産 第6回 建物



進化する不動産 住宅新報1998年10月9日から12月4日連載
第1回 証券化第2回 容積率移転第3回 自己責任第4回 効率経営第5回 貸し渋り第6回 建物第7回 収益還元

>住宅新報1998年10月16日号掲載

 日本の不動産はまず土地です。子々孫々と受け継ぐことができる永遠の財産は土地であり、一所懸命にこの土地にこだわります。アメリカのリアルエステートはまず建物です。それは建物が「不動」だからかもしれません。
 欧米ではでは第二次世界対戦前の建物は珍しくありません。
 ニューヨークのコンドミニアム(マンション)市場では戦前の建物も地元の人からは人気があります。それはがっしりした造りで、天井も高く間取りも広いからです。価格も戦後の物件と大きく変わりません。
 セントラルパーク近辺は高級住宅街です。戸建住宅は存在せず、戦前にできた中高層のコンドミニアムが当たり前のように立ち並びます。これはヨーロッパも同じ状況です。一方で、ハーレム地区では空き家のまま打ち捨てられた古いビルが目立ちます。建物はまさに「不動」であり、そうは簡単に壊れてくれないのです。
 アメリカ流のビル売買ではデューディリと称して建物について事細かく調べます。土地が財産の日本では建物に価値を見出さないのでしょうか、建物に対する調査はあまりしません。
 エンパイアステートビルは1931年築です。もうすぐ70年。このビルは築145年の2076年までリース済みです。それまでは使い続けるのでしょう。また築63年当時のの1994年にはリース済みのままで日本人投資家を含めた投資グループに売却さえされています。
 バブル時に日本からは築60年以上のビルを狙った投資が行われました。日本での減価償却の耐用年数は築60年なら12年だったので節税に使えたからです。
 エンパイアステートビルのようなランドマークばかりでなく、一般のビルで築60年を超えても水周りの補修等は必要としても、投資用として流通するのです。
 日本でも三越本店(1927年築)や高島屋日本橋店(1933年築)は築70年前後です。関東大震災の義捐金で設立された同潤会という財団法人が建てた住宅が青山・清砂・江戸川等に残っています。これらも築70年前後です。賃貸だったものが各戸に払い下げられたこともあり管理不充分で、機能的にはかなり老朽化しています。しかしエントランス等立派な駆体部分はしっかりしています。素人目ですが、三越や高島屋のようにきっちり管理さえされれば結構長持ちしそうです。
 「50年も経ったら建物はスラムだ」という議論が定期借地が始まった頃にありました。木造が多いこともあり「建物は長持ちしない」と私達は思いがちです。
 日本では、第二次世界大戦があったために築50年程度の良質なビルが存在しないのです。数少ない築70年のビルの次は戦後復興で少ない予算であわてて建てたビルになってしまうのです。長持ちする良質なビルを知らないだけかもしれません。もちろん、地震国という事情もありますが。
 グローバルスタンダードに対応するのなら、土地ばかりでなく建物の価値をも見直すことになりそうです。収益還元が当たり前になれば、土地ばかりでなく建物を注目せざるを得ません。
 不動産の価値が建物にもあることとなれば、狭小なビルやマンションは建築されることもなく、敷地は統合されて、大きな開発が進み、価値のある良質な空間が提供されることになるのではないでしょうか。
 土地だけでなく建物も「不動産」です。


cats_back.gif





バードレポートとは


 
clip_blue_1.gif




前号

次号


関連する項目
不動産ビジネス手法
不動産と金融会計
相続税対策申告
バードレポート以外

このレポートと同じ年分リスト
1998年リスト




あんしん生命資料請求
  • 使わなかったら払った保険料が全額戻ってくる医療保険

保険ショップインフォ
  • 地域から探す
  • 保険ショップの使い倒し方

保険ショップ


バードレポート

Google
Web検索
当サイト検索

バードレポート項目別
不動産ビジネス手法
不動産賃貸経営
不動産と金融会計
定期借地権定期借家
不動産証券化
債務整理と企業再生
不良債権処理
債務処理の税務
相続税対策申告
路線価評価相続評価
物納と相続税調査
譲渡税買換特例
住宅税制住宅減税
固定資産税
税制改正
その他不動産税制
その他税制
相続対策と遺産分割
生命保険
その他不動産関連
その他
トピックス版・年別リスト
カネボウ劇場
発行元情報

バードレポート発行順
発行年順リスト
clip_blue_1.gif
clip_blue_3.gif