トピックス20060914




税務署の追及 ATO通信



税理士法人ATO財産相談室の阿藤芳明税理士にお願いし、同社発行ATO通信を転載させて頂きました。
 同社は、http://www.ato-zaiso.net/をご覧下さい。

  • 税務署の追及
  • 税務署はどこまでしつこいか?
  • 相続人が知っていること、知らないこと
  • 税務署の追求
  • 税務署の反面調査はどこまで行うか?


税務署の追及

   ATO通信18.8.31

どの税目に限らず、申告書を提出すれば後日税務署の調査はつきものです。調査で特に困るのは知らないことを質問された場合。

所得税や法人税なら自分の意志で行ったこと、身に覚えはありますが、面倒なのが相続税です。『それは"親父"がやったこと、相続人の私には分かりません』の答弁は一体どこまで税務署に通じるのでしょうか。

1.税務署はどこまでしつこいか?


不動産の売却でまとまった大きな金額が懐に入り、当然の事ながら税務署に申告します。ここまでは良いとして、10年後に売却したご本人の相続が起こり、相続税の調査がありました。

こんな時、税務署は決まって売却代金の行方を質問してきます。『10年前に土地を売却してますね、その時の3億円は何に使ったのですか?』

税務署には毎年相当数の申告書が提出されます。過年度の申告書をいつまでも内部に保管しておくスペースはありません。署によっても違いますが、保管年限は4〜5年分が限度でしょう。それを過ぎると各署からのものをまとめて別の場所にある大倉庫に移管するのです。

ただ、申告書自体を保管していなくても、データはいつまでも残ります。詳細は不明ながら、後日追及するための材料には事欠かない状況なのです。結論として、金額にもよるでしょうが、売却から10年程度はお金の行方の質問を覚悟しておく必要がありそうです。

2.相続人が知っていること、知らないこと



相続事案で困るのは、被相続人が自分で総てのお金を管理していて、相続人には全く知らしめていない場合です。会社のお金や不動産関係の収入、支出は資料を整理していけば後からでも分かるでしょう。問題なのはプライベートの支出部分、筆者の経験では大半が女性関係に使われた場合です。

相続人も女性の存在自体は知っている場合は多いもの。ただ、配偶者である奥様が健在な場合、知られないように隠すケースが多いのは言うまでもありません。逆に奥様に先立たれている場合、相続人である子供達も女性の存在は周知の事実。入籍さえしなければ黙認した方が自分達も楽、というのがどうも世の常と言うもののようです。

3.税務署の追求



さて、話は相続税の調査に戻ります。お客様にご了解を頂いた範囲で御紹介させて頂きます。

一つは事業家Aさんのお話です。Aさんは奥様を早くに亡くし女性関係が盛んだったようです。大変に気前が良く、旅行に行っても最上級の部屋に泊まり湯水の如くにお金を使ったそうな。そうでもしないと女性にはなかなかもてないのかも知れませんが、事実、相当額が複数の方々に渡っていたそうです。

一方、Bさんはいわゆる地主さんです。Bさんも奥様に先立たれたのは同じですが、それ以前からやはり特定の女性がいらしたようです。ここでの御紹介はBさんご自身ではなく、Bさんのお母様の相続税調査の話です。両事案とも相続の開始数年前に億単位の土地売却代金があったのですが、それがどんな形で残されているかが不明だったのです。前述の通り、上記のいずれの調査においてもお金の行方を追求されました。

税務署の狙いは相続人がそのお金を相続財産から除外して隠している事の立証なのです。ですからお金の使途が、例えば借金の返済、賃貸マンションの建築資金等々はっきりしていれば問題はありません。法人税には使途不明金使途秘匿金の課税があり一刀両断ですが、相続税はそれぞれの事情によりなかなか複雑です。

4.税務署の反面調査はどこまで行うか?


Aさんの相続人達は困ってしまいました。お金が女性に渡っていることの推測はできますが、本当に何に使われたかは分からないからです。税務署にもその旨を説明し、女性の住所、氏名も明らかにしました。

女性にお金が渡っているのが真実なら、Aさんからの贈与となり、贈与税の対象ともなり得ます。そうなってもそれはその女性の問題であり、Aさんの相続人達の責任ではありません。その旨をはっきり税務署にも主張したのです。

結論を申し上げると、こんなケースではほとんど反面調査は行われません。女性名義で不動産の登記でもなされていれば別ですが、どの時点でいくらが渡ったのか、特定ができないからです。

結果、状況証拠だけでは課税ができず、相続人達の話や態度に信憑性があれば、金額が多くてもそれ以上の追求はなされないと思っていいでしょう。

一方、Bさんの場合はちょっと面倒です。被相続人であるお母様は何年も寝たきりで、ご本人が使った形跡はないのです。調査ではBさんは知らぬ存ぜぬを繰り返すばかり。こういう場合、税務署が何かを掴んでいれば税理士が呼び出され、解決を迫られます。実はBさん自身の女性関係を税務署に指摘され、その確認を依頼されたのです。銀行調査からBさんが女性のために勝手にお母様の預金を引き出していた事実を確認していたのです。完全にお手上げで、修正申告となりましたが、Bさんにとっては税金より女性の存在が子供達にバレた事が何よりの痛手になったようです。



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