トピックス20070510




海外預金はマークされるか? ATO通信



バードレポート・トピックス版2007.5.10.
税理士法人ATO財産相談室の阿藤芳明税理士にお願いし、同社発行ATO通信を転載させて頂きました。

同社は、http://www.ato-zaiso.net/をご覧下さい。ご相談等は同社03-5468-6700までどうぞ。


  • 海外預金はマークされるか?
  • 国際税務専門官の設置
  • 米国の不動産を売却したお客様
  • 国際税務専門官の調査
  • 預金口座の検証
  • 税務署の海外調査の限界


海外預金はマークされるか?

   ATO通信19.4.27

今や日本の企業が海外に進出し、或いは投資をすることは珍しいことではありません。そして個人のレベルでも、海外の不動産に投資したり預金をする事が希有な例とは言えなくなってきたようです。

何よりの証拠に、税務署にも"国際税務専門官"なる調査官が配置され、法人ばかりでなく個人の海外取引にも目を光らせているからです。

1.国際税務専門官の設置



その地域の中心となる大きな税務署に限定されてはいますが、数名の国際税務専門官が設置されています。全体として人数はそれ程多くはないため、小さな税務署も兼任しているようです。海外取引と言えば、最低限の知識として英語が必要ですが、税務署という役所はこの点は極めて弱い。昔に比べれば補強されてはいるものの、民間レベルから見ればお粗末そのものです。

筆者がアチラの世界にいたときなど、何万人という職員の内、毎年20名程度しか本格的な英語の研修に参加させていなかったのですから。

しかし、その必要性については気付いていたからこそこのような専門官を設置したのでしょう。

これにより、海外取引が想定される法人や個人の資産家に対しては、その調査に当たって国際税務専門官のご登場と相成るわけです。

2.米国の不動産を売却したお客様


相続税の申告業務をお手伝いしたお客様の事例です。お話を伺っている内に、ご主人が亡くなる数年前、夫婦で等分に共有していた米国の不動産を売却した事実が判明しました。相続税の調査があった場合、その売却資金が何に使われたかの確認は必ずなされます。

そのため、私共では申告書を作成する段階でお客様にその事を必ずお尋ねすることにしています。奥様によれば、売却に関する資料は何も残っていないが、シティーバンクのNY支店の預金となっている旨、そしてその預金口座は夫婦のジョイント口座として共同名義になっている旨のご説明を頂きました。

従って、裏付ける資料は無いがシティーバンクの残額の半金を相続財産として計上して欲しいとのご依頼です。税理士としては後日の税務調査を想定して、総て実際の書類で確認するのが必須の作業です。

しかし実際の書類をご呈示ご提出頂けない場合は仕方がありません。お客様には未確認である旨の書面をお渡ししてお申し出に基づく申告書を作成する事になります。

3.国際税務専門官の調査



さて、このような状況下で前述のお客様の相続税調査が行われました。勿論、海外の銀行に預金がある場合の調査ですから、国際税務専門官の出番で、まずはお手並み拝見です。国際税務専門官と言っても、ご自宅での調査にあたっては、何も特別なことをする訳ではありません。ただ、よく調べたものだと脱帽する事もありました。

アメリカでは日本と異なり、不動産について日本で言う登記という制度はありません。従って登記簿の謄本を取り寄せるという訳にはいかないのです。

その代わり、どういうルートで調べたのかは定かではありませんが売買の記録を見つけてきたのです。そこには亡くなったご主人の名前が確かに記載されています。

奥様の説明とは異なり共有ではなく、ご主人の単独名義として。つまり売却代金が溜まっているシティーバンクのNY支店の預金残高も共有だったら半額を計上するという考え方は成り立たない事になってしまったのです。

4.預金口座の検証


元はと言えば、シティーバンクのNY支店の預金口座の全貌が分かれば何の問題もなかったのです。

それがないために奥様のお申し出通りの申告をしたのですが、実は税務署もこの預金口座の動きそのものは分かっていないのです。

例えば国内の銀行の口座の場合、通帳を紛失しても、入出金の動きを復元することは可能です。と言うより、通常、相続税の申告書を提出すると税務署は分かっている範囲の総ての銀行に対し入出金状況の復元を照会文書の形で銀行に依頼するのです。つまり、調査に来た時点で税務署は預金の動きについては既に把握済みなのです。

5.税務署の海外調査の限界


しかし、今回の国際税務専門官はそこまでの確認はしていませんでした。つまり、日本の銀行に対してと同じような照会や依頼はしていないのです。現時点ではこの辺が税務署の海外調査の限界なのでしょうか。

また、海外と一言で言ってもその範囲はいささか広いものがありますが、税務の世界もアメリカとの絆は強く、IRS(日本の国税庁に相当)とは定期的に情報交換をしています。とりわけ不動産の売買については、日本に居ながらにしてかなりの情報が入ってきているようです。

冒頭で税務署は英語が弱点と述べました。しかし、海外は英語に限定されません。今回はアメリカの財産や預金だったので英語の世界でしたが、独、仏、伊、蘭、西がこれからの狙い目なのでしょうか?




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