トピックス版2011.10.13 




相続人となる人、相続税を申告する人 ATO通信



税理士法人ATO財産相談室の阿藤芳明税理士にお願いし、同社発行ATO通信を転載させて頂きました。  同社は、http://www.ato-zaiso.net/をご覧下さい。ご相談等は同社03-5468-6700までどうぞ。

  1. 相続人となる人、相続税を申告する人
  2. 法定相続人
  3. 実子と養子
  4. 相続税の申告義務者
  5. 相続税の計算はみなし相続財産も合算です!
  6. 単独での申告書提出もありですが…


相続人となる人、相続税を申告する人


ATO通信平成23年9月30日

相続人となる人が相続税の申告をし、納税する。一見すると当たり前のようではあります。が、相続人でも申告が必要ない場合もあれば、相続人でなくても、逆に申告が必要な人もいるのです。

基本的なことではありますが、誰が相続人で誰が申告義務を負うことになるのか。分かっていそうで分かっていない事柄を、まとめてみました。

1.法定相続人


言うまでも無い事ですが、誰が相続人になるのかは民法で決められています。配偶者は常に相続人ですが、第一順位は子、子がいなければ第二順位として親、第三順位は兄弟姉妹です。代襲相続と言って、子が相続時に既に死んでいる場合は子の子、つまり孫が。

また、あまり可能性はありませんが、親が相続人になる場合で、その親が死んでいる場合はその親。つまり祖父母が相続人になります。兄弟姉妹にも代襲相続自体はありますが、その子まで。子や親と異なり、それ以上は下の代にはいきません。上記の方は法定相続人ですので、相続税の納税額が算出される限り、何らかの相続財産を相続していれば、申告義務を負うことに。逆に、何らの相続税法上の財産も相続していなければ、法定相続人ではあっても申告義務は生じません。

2.実子と養子


上記で"子"と書いたのは、言うまでもなく実子のこと。では、養子はどんな風に扱われるのでしょう。養子も基本的には実子と同じ扱いです。

しかし、相続税の話になると、現在では養子は一人だけしか認められない、と思っておられる方が結構いらっしゃいます。民法の規定では、養子は何人になさろうと自由です。10人でも100人でも、お好きな数だけ養子にすることは可能です。

但し、相続税の計算をする場合には、実子がいる場合は一人だけ、いない場合は二人までを税法上相続人とする、と決められているのです。

また、ちょっとご注意頂きたいのは再婚で配偶者の実子を養子とした場合には実子と同じ扱いになります。また、実子の代襲相続人は本来の相続人ですが、同人を養子としていた場合も同様に実子扱いになるのです。

3.相続税の申告義務者


さて、それでは相続税の申告をしなければならない人に、話題を移していきましょう。基本的には上記の法定相続人が納税義務を負うことになります。しかし、相続人以外にも申告義務が生じる場合があります。それは、遺言による遺贈と言われる場合です。

ただ、これは遺言書にその旨が記載されていますので、相続人と協力して一緒に相続税の申告をすることも、実務的には多いものと思われます。

遺言書に記載はされていないけれども、つまり、遺贈ではないのに申告義務の生じる場合もあるのです。具体的には、民法上の相続財産には該当しないものの、相続税法上の"みなし相続財産"と言われるもので、相続税の課税対象となるのです。

生命保険金と死亡退職金がその代表的なものでしょう。とりわけ生命保険金については、相続人以外の方が受取人になる場合もあるので、実務では納税義務者を確定させる事は重要な事なのです。

4.相続税の計算はみなし相続財産も合算です!


こんな事もありました。相続人に実子はなく、養女の方お一人の相続です。被相続人は4人姉妹の長女。

晩年は養女の方とも行き来がなかったようですが、4人姉妹の仲は良かったのでしょう。3人の妹達を、それぞれまとまった金額の生命保険の受取人になさっておられたのです。

さて、相続税の申告書の作成を養女の方からご依頼頂いたのです。不動産と預金が相続財産と想定されていました。前述のとおり、姉妹の受け取った生命保険金は、そもそも本来の相続財産ではありません。受取人も指定されており、言うまでもなく分割協議の対象となるものではないのです。

しかし、この生命保険金は相続税の対象となり、養女が相続すべき財産と共に合算して税額を算出し、申告が必要なのです。つまり、相続人でもない人が取得した生命保険の金額を、教えて貰えないと相続税の計算ができないことになるのです。

5.単独での申告書提出もありですが…


ただ、養女とこの姉妹は決して良好な関係とは言えない状況。こういうケースでは、税理士も結構難しい立場に立たされるのです。

結論から言えば、姉妹達は相続税の納税義務があることなど、夢にも思っていなかったのは当然のこと。

事情を説明し申告書作成の協力を得るのに、相当に苦労をしましたが、最終的には揃って一つの申告書のご署名、押印。実は最悪の場合、姉妹達の生命保険金は無視をして、養女だけの申告をすることを覚悟はしていました。ただ、後日保険金の存在が税務署の知るところになれば、全体の税額が増えるため、養女の方にも影響は及びます。いずれにせよ、全員で一度の申告書提出が望ましい事は言うまでもありません。

相続人、相続税の申告義務者、相続税は財産以外にも結構面倒な要素を含んだ税目ではあります。  



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