トピックス版20013.5.2.




自用底地物納と地代の設定・高過ぎ地代の不当利得返還請求



自用底地物納と地代の設定・高過ぎ地代の不当利得返還請求

  • 自用底地物納と地代の設定
  • 高過ぎ地代についての国への不当利得返還請求

自用底地物納と地代の設定


貸宅地を相続税物納する際には、地代水準が問われます。物納後には国による貸付財産になるので安い地代では物納を認めないのです。
「普通財産貸付料算定基準」で国の求める地代水準が公開されていました。住宅用地は相続税更地評価額の1.3%。ただ都市部ではそれでは相場より高過ぎるので地域ごと地代が非公開で定めていました。
地代が水準未満だと「物納するには地代を1万円引き上げて下さい」等、国から指示されます。物納せざるを得ない地主さんは「月1万円値上げさせて下さい。その代わり解決金200万円支払いますから。」との珍妙な地代値上げ交渉で値上げし物納しました。
相続税の物納は厳しくなりまた件数も激減していますが、物納でしか救えない相続もあります。
自用底地物納とは、土地とその土地上の建物を相続し、土地だけ物納する制度です。国からの借地となりますが建物は所有継続できます。更地(自用地)評価10億円で借地権割合70%なら、底地評価3億円として収納され、書類が財務局から送付されます。
「あなたがご使用中の土地は、国に物納され国有財産となりました。今後は国が地主となりあなたにこの不動産をお貸しすることになります。つきましては同封の国有財産有償貸付契約書(借地契約書)に記名押印の上ご返送……。また貸付料は下記のとおりとさせていただきますとともに別送付する国の定める納入告知書により納付していただく……。」
地代が幾らになるか不明のまま手続きを続けていき、この書面で地代が一方的に決められます。
「普通財産貸付算定基準」はその後改定され、1.3%等の具体的数字は消えます。新規借地の地代は「相続税評価額×期待利回り」とあります。期待利回りは近隣類似物件から求めます。そして地代年額1000万円以上かつ面積2000u以上等特殊なもの高額なものは鑑定評価によるべきことも定めています。

高過ぎ地代についての国への不当利得返還請求


東京都のAさんは平成19年に7階建て賃貸マンション敷地を自用底地物納します。土地3400uです。
事前に物納担当官に「地代はどのくらい」か、と聞いたら年額540万円程と回答を受けています。固定資産税年額は172万円なのでその3倍ですから、それならまあ一般的な地代水準ではないでしょうか。
ただ国は不動産鑑定士の鑑定結果で地代決定しました。決定した地代年額は年額2970万円。土地更地価格18億円に期待利回り1.5%を乗じ、固資税を加算した金額です。Aさんは驚いたでしょう。540万円のつもりが2970万円となったのですから。
Aさんも地代鑑定で対抗し裁判(過払地代の返還請求)です。更地18億円の底地部分3割(借地権割合7割)の5億円余に対し、期待利回り2.4%を乗じ固資税を加算し地代は1550万円となりました。裁判所も独自鑑定を依頼し、ほぼ同様で1510万円でした。
どちらの鑑定評価が適切なのかの争いとなります。
判決は、更地価格18億円に利回りを乗じた2970万円はおかしい。底地価格5億円余に期待利回り2.5%を乗じた1500万円が適正だと判じます。
更地価格に期待利回りを乗じるのではなく底地価格に乗じるべきと言います。更地を新規賃貸するのなら更地全体に利回りを乗じもするが、借地権部分は権利金の授受があったのと同様であり(借地権部分が物納対象外というのは物納者が権利金を負担したのと同じ。国は更地を貸したのではなく底地部分のみを貸した。)、地代算定の対象として国が賃貸するのは底地部分だけだから、という理由からです。
それでも固定資産税の8.7倍。Aさん一族は過去にも自用底地物納を行っており1.5から3倍でした。
判決は、国に対してそれまで払った高過ぎ地代差額7000万円について不当利得としてAさんへの返還を命じました。国は控訴断念しています。
(東京地裁平成25.2.28.判決)
「自用底地物納」は便利な制度です。土地を売却したい、あるいは値上がりしそうなら、いつでも国から時価払下げが可能で、第三者に売却されることもありません。(バードレポート2000.9.18.参照)
なお財務局は物納での鑑定評価業務を鑑定士に一件ごと一般競争入札で発注しています。落札結果を見ると一件数十万円での落札が多いようです。
そんな落札結果を眺めていたら関東財務局が「地代利回りに関する調査業務」を一般入札で発注し、それを不動産鑑定大手の日本不動産研究所が予定価格423万円のところを367万円で落札していました。
国側も地代利回りに敏感になっているのでしよう


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