トピックス版20013.10.10




「行政指導」と言う名の税務調査?ATO通信



バードレポート・トピックス版 2013.10.10.

税理士法人ATO財産相談室の阿藤芳明税理士にお願いし、同社発行ATO通信を転載させて頂きました。  同社は、http://www.ato-zaiso.net/をご覧下さい。ご相談等は同社03-5468-6700までどうぞ。


  • "行政指導"と言う名の税務調査?
  • 『決算書(収支内訳書)の内容についてのお尋ね』
  • このお尋ねの注目すべき点は
  • 税務調査であれば
  • 便利な"行政指導"
  • 便利さの代わりに失ったもの
  • 損得勘定で考えれば…

"行政指導"と言う名の税務調査?


ATO通信平成25.9.30.
税務署もかなりお忙しいようです。なりふり構わず『決算書(収支内訳書)の内容についてのお尋ね』を濫発し、修正申告を期待しているのです。
このお尋ねが、かなりの数のお客様のところに届いているようで。これは一体何ものなのでしょうか。
しかも、面白い事に、"税務調査"ではないと言うのです。調査ではなくて、行政指導?
それでは早速、その疑問、ナゾを解き明かしていきましょう。

1.『決算書(収支内訳書)の内容についてのお尋ね』


7月に行われる税務署の定期異動の前後くらいからです。個人で不動産所得のある方に対して、このお尋ねがかなりの数の方宛に発送されているのです。
税務署のお尋ねは、不動産所得の経費のうち、租税公課、修繕費、借入利子、減価償却費等々の内訳を回答しろと言うもの。支払先の名称や修繕の内容、物件の所在地、支払金額の欄に続き、ご丁寧にもその金額の内、経費に算入した額を記載しろと言うのです。
支払った金額の内、経費に算入した金額は本当にそれでいいんですか?自宅部分が混入していませんか税務署はそこを疑っているんですよと言うものなのです。

2.このお尋ねの注目すべき点は


このお尋ねの冒頭に、こんな文章が添えられています。『この"お尋ね"は調査として実施しているものではなく、行政指導としてお尋ねしているものです。なおお尋ねに伴う自主的な見直しにより、修正申告書等が提出された場合については加算税が免除されます』と。
これをご覧になって、直ぐにその意味がお分かりになった方は、ほとんどいらっしゃらないでしょう。相当に奥が深いのです。
通常、税務署が一般の方向けに質問する場合、それは質問検査権という職権に基づく税務調査なのです。
しかし、これはわざわざ税務調査ではないと言っています。実は、ここがこの文書のミソなのです。

3.税務調査であれば


平成23年度の税制改正で、国税通則法と言う法律の改正が行われ、税務調査のやり方がかなり変更されているのです。調査を実施するに当たっては、事前に調査の対象となる方と税理士の双方に、色々な項目を連絡しておかなければならないのです。
具体的には、調査の日時や場所の他、目的、対象となる期間や帳簿書類等々、結構面倒な仕組みになっています。滅多やたらには、調査ができない仕組みなのです。
従って、今までのように、安易に軽い気持ちで経費の内訳を提出せよ、相手先を明示せよ、とは言えなくなってしまったのです。そうは言っても、少ない税務職員の数で、最大の調査結果を期待したいのが税務署の本音でしょう。
まして、このようなお尋ねが書面で来れば、一般の方はビックリです。脛に傷のある方は、筆者が見ただけでも相当数に上ることは間違いないのですから。

4.便利な"行政指導"


そこで考え付いたのが、税務調査ではなく"行政指導"なのです。これなら調査の目的から始まって、対象となる期間だの帳簿だのと面倒なことは必要ありません。調査の対象となる方と税理士双方に連絡する必要もないのです。
つまりお手軽に『税務署はあなたの申告内容、疑ってますよ!』と、軽いジャブを繰り出すことが可能なのです。"行政指導"とは何と便利な言葉なのでしょう。

5.便利さの代わりに失ったもの


税務署だって、これで総てが円満に解決できた訳ではありません。調査でないと言い切ったからには、修正申告が提出された場合にも、『加算税』と言うペナルティーが課せられないのです。
通常、税務署に『あなたの申告内容疑っていますから、内訳を教えて下さい。』と言われるのは、既に述べたように、質問検査権と言う権力の発動なのです。
従って、税務署に言われて修正申告を提出すれば、調査に基づく修正申告になる訳で、ペナルティーが課されるのが自然な道理。
しかし、です。その修正申告は納税する方が、税務署から言われたからではなく、自らの意思で、良心や善意から湧き出た感情で申告内容を訂正した物なのです。だからこそ、ペナルティーは無し。

6.損得勘定で考えれば…


はっきり言って、税務署は損得勘定で考えたのでしょう。このようなお尋ねは、実は以前から行われていたのです。
大口資産家と言われる高額な不動産所得の方を除き、自宅と小さなアパートだけの方を相手に、わざわざ税務調査を行う程、税務署は暇でもないし、第一人数不足なのです。調査は行い難くなる、人員は不足する、不動産所得の調査までやっていられない、そんな諸般の状況を考えれば、ペナルティーは諦めよう。
但し少しでも脛に傷ある人から修正申告を取ってやろう。と、これは筆者のうがった思い込みでしょうか?


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